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CATEGORY : ヘルスケア |妊娠・出産

母乳をあげるとお母さんにもいい効果! 海外研究で明らかになった授乳の恩恵とは?

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授乳する母親

赤ちゃんが生まれたあとに、母乳をあげるか、粉ミルクにするかは悩ましい問題となることもあります。母乳をあげたくても心身が疲れていると大きな負担にもなりかねません。このたび海外の研究から、母乳をあげると、お母さんにも恩恵があるという報告がありました。恩恵があるならば、救いになるかもしれません。

監修 : 星 良孝 <ステラ・メディックス>

ステラ・メディックス代表取締役社長 獣医師/ジャーナリスト
専門分野特化型のコンテンツ創出を事業として、医療や健康、食品、美容、アニマルヘルスの領域の執筆・編集・審査監修を担っている。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BP社において「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年に会社設立。YouTubeステラチャンネルでもヘルスケアの話題を発信。
YouTube:https://youtube.com/@stellach

Contents 目次

母乳をあげると体にどんな影響がある?

授乳中の母親

赤ちゃんが生まれたあとは、昼夜問わず、赤ちゃんがミルクを求めるので、ゆっくり寝ていることがままならず、心身ともに負担が大きいものです。そんななかで、しかも母乳で育てるのはなかなか大変です。そのように疲労感にもつながりそうな一方で、従来の研究では、授乳中の女性は、心臓や血管系の病気になりづらいとわかっていました。

このたび米国テキサス工科大学健康科学センターの研究グループは、母乳を与えることで、内臓脂肪を減らすような効果があるのではないかと考えて、その変化を検討しました。対象としたのは、25年間のうち1回以上の出産を経験した910人の女性の過去のデータです。内臓脂肪と、心臓の周囲の心膜脂肪と呼ばれる脂肪量の画像検査の結果を分析したのです。

内臓脂肪を減らす効果

授乳する母親

こうしてわかったのが、母乳をあげている女性は、心臓を含めた内臓についている脂肪の量が少なくなる傾向があるということでした。具体的には、授乳がない場合と比べて、授乳期間が1~5か月、6~11か月、12か月以降と長くなるほど、内臓脂肪の量と心膜脂肪の量が減っていくことが確認されました。授乳期間が長いことが体重減少につながることも確認されました。

こうした関係性は、女性の年齢や肥満度、脂肪摂取量や運動などによらず確認できるもので、授乳することで体内の脂肪を減らす効果がありそうだといえそうです。研究グループは、脂肪が減るために、糖尿病や心臓発作などのリスクが減って、心臓や血管の病気になりづらくなっているのだろうと考えています。赤ちゃんに母乳をあげるのは大変ではありますが、結果として自分自身が健康になっている恩恵があるのは救いといえるのかもしれません。

<参考文献>

Study Investigates Link Between Lactation and Visceral, Pericardial Fat
https://dailydose.ttuhsc.edu/2021/april/appiah-lactation-and-fat-volume.aspx

Appiah D, Lewis CE, Jacobs DR, Shikany JM, Quesenberry CP, Gross M, Carr J, Sidney S, Gunderson EP. The Association of Lactation Duration with Visceral and Pericardial Fat Volumes in Parous Women: the CARDIA Study. J Clin Endocrinol Metab. 2021 Feb 1:dgaa980. doi: 10.1210/clinem/dgaa980. Epub ahead of print. PMID: 33524143.
https://academic.oup.com/jcem/advance-article-abstract/doi/10.1210/clinem/dgaa980/6125723
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33524143/

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