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CATEGORY : ヘルスケア |不調

朝起きられないのは、低血圧のせい? 医師に聞く低血圧の特徴

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ベッドで体を起こして額に手をやる女性の画像

特に病気があるわけではないけれど、疲れやすい、元気が出ない、だるい、朝起きられない、ふらつくといった症状に悩まされていたら、低血圧かもしれません。“生活の質”にかかわるため、改善していきたいものです。伊藤メディカルクリニック院長で、循環器専門医の伊藤幹彦先生に、低血圧の症状について伺いました。

監修 : 伊藤 幹彦

伊藤メディカルクリニック(東京・新宿区)院長。東京医科大学卒業後、東京医科大学第2外科(現心臓血管外科)入局。心臓血管外科医として東京医科大学病院、東京医科大学八王子医療センター、東京医科大学茨城医療センター(旧東京医科大学霞ケ浦病院)、他病院でも活躍。東京警察病院外科医長など歴任し現職に至る。これまでの外科医としての経験をもとに、全身を診る診療を心がけ、循環器専門医として地域の人々の健康維持に貢献している。

Contents 目次

疲れやすい、だるい……本態性低血圧の特徴

机にうつぶせる女性の画像

女性に多い低血圧は、低血圧を引き起こす疾患を伴わず、慢性的に低血圧が低い「本態性低血圧」と、寝ている姿勢や座った姿勢から立ち上がったときにめまいなどがする「起立性低血圧」です。この2つが重なっている場合もあります。

それぞれの特徴的な症状をみていきましょう。

本態性低血圧

疲れやすい、だるい、朝起きられない、といった症状がみられます。

■疲れやすい、だるい、食欲不振、不眠、冷え症
「血圧が低いことで、全身の血のめぐりが悪くなり、脳や臓器の働きも鈍くなることで起こると考えられています」
■朝起きられない
眠っているときは、自律神経は副交感神経優位ですが、目が覚めると交感神経優位に切り替わります。しかし、低血圧の人は、自律神経の乱れを伴うことも多く、交感神経と副交感神経のスイッチングがうまくいかず、朝なかなか起きられないことがあります。
「午前中は頭がぼーっとしてしまい、午後からやっと調子が出てくるという人も少なくありません」
■動悸・息切れ
「低血圧では、1回の拍動につき、全身に送られる血液が少なくなってしまうため、十分な血液を送り出そうと、心臓の拍動が多くなることで、動悸・息切れが起こります」

入浴中や満員電車でふらつく……起立性低血圧

額と胸に手をやる女性画像

一方、起立性低血圧に特徴的なのは、めまい、立ちくらみです。

起立性低血圧

■めまい、立ちくらみ、ふらつき
「寝ている姿勢や座った姿勢から立ち上がったときに、血液を押し上げる力が弱いことで、重力に引かれて下半身に下がった血液が、一時的に心臓に戻りにくくなり、脳に十分な血液が行き渡らないことで起こります。朝起きられない、という症状として出ることもあります」

また、よくあるケースが、入浴中の立ちくらみです。「湯船につかることで体が温まることで血管が開き、血圧が下がるため、立ち上がったときに、クラッとします。アルコールも、血管を広げ、血圧を下げるため、飲酒時の転倒にも要注意です」

起立性低血圧は、循環に問題があるだけではなく、「ストレスも関係している」と伊藤先生は指摘します。

「満員電車で気分が悪くなって倒れそうになるのも、人が多いことや長時間立ちっぱなしというストレスも加わるため。思春期の頃に、朝礼で倒れた経験もあるかもしれませんが、これも起立性低血圧と考えられます」

■貧血との混同に注意
気をつけたいのが、貧血との混同です。「めまい、ふらつきなどは、貧血でも起こりますが、貧血は血液の赤血球中の酸素を運ぶ役目のあるヘモグロビンの不足で、体が酸欠状態になることで起こり、低血圧とは原因がまったく異なり、治療法も異なります。貧血は血液検査などで診断されます」
低血圧は、体質だけではなく、生活習慣も関係しています。低血圧の改善には、「生活習慣の改善も大切」と伊藤先生は話します。次回は、低血圧の改善方法についてです。

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