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利用者急増!「シェアサイクル」を活用すると暮らしはどう便利になるのか?

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利用者急増!「シェアサイクル」を活用すると暮らしはどう便利になるのか?

新型コロナウイルスの流行によって、私たちの暮らしは大きく変わりました。テレワークやリモート飲み会など、1年前には考えられなかったようなことも、今や当たり前になりつつあります。

そんな生活様式の変化に伴い、移動手段として再び注目を集めているのが自転車。通勤ラッシュでの“三密”が避けられるという理由から、徐々にニーズが高まっています。とくに、誰でも簡単に自転車を利用することができる「シェアサイクル」への注目度は高く、日本国内におけるサービスの普及が急速に進んでいます。

今回は、そんなシェアサイクルの特徴や便利な使い方について、NPO自転車活用推進研究会の理事長、小林成基さんに話を伺いました。

Contents 目次

はじまりは、街中で自由に使える白い自転車

日本では、最近になってやっと実用化が進んできた「シェアサイクル」。そもそもこのサービスは、いつどこで始まったのでしょうか?

「『シェアサイクル』は、1960年代にオランダで行われた『Witte Fietsen』という取り組みがはじまりとされています。とある市議会委員が街をより便利にするため、“ホワイトバイク”と呼ばれる白い自転車を、誰もが自由に使えるようにしました。しかし、盗まれたり壊されたりといったトラブルが続出。残念ながら、定着には至りませんでした。その後、2000年代に入るとICT技術(情報通信技術)が発達し、個体認識が可能に。その結果、どこで誰がどの自転車を借りたのかが簡単に把握できるようになり、ようやくドイツでシェアサイクルのシステムが確立したのです」(NPO自転車活用推進研究会 理事長・小林成基さん、以下同)

オランダの国立公園に駐輪されたホワイトバイク。

「自転車」ではなく「時間と移動」を借りる

では、シェアサイクルとはいったいどういったサービスなのでしょうか?

まずその特徴のひとつとして、“自分の自転車を持たなくてもいい”という利点が挙げられます。品質の良い自転車を、誰でも安価で使用することができるのです。しかし、それだけを聞くと「レンタルサイクルと何が違うの?」と感じる人も多いでしょう。小林さんは両者の違いについて、ずばり「“自転車”を借りるのか、“時間と移動”を借りるのか」ということだと言います。

「レンタルサイクルはその名の通り、自転車を借りるサービスです。有人の窓口で手続きを済ませ、自転車を受け取り、利用し終わったら元の場所に返す必要があります。

一方のシェアサイクルも、自転車を借りることに違いはないのですが、その根本には“短距離の移動を便利にする”という考え方があります。そのため、点在する無人のステーションで24時間いつでも借りることができ、終わったら別のステーションに返すことも可能となっています。必要な時に必要な区間だけ利用することができる。つまり“時間と移動”を借りられるサービスということです」

三密回避だけじゃない! いまシェアサイクルが支持される理由

三密が避けられるという理由から、需要が高まっているシェアサイクル。2020年5月の利用台数は、前年を大きく超えたといいます。

「東京郊外を中心にサービスを展開する『HELLO CYCLING』では、5月の前年同月比がなんと3倍。都市部を中心に展開している『ドコモ・バイクシェア』も、1.5倍にまで増えたそうです。また、今までは自宅から駅までの利用だった人が、電車に乗らないでそのまま会社まで行くケースも多くなっているみたいですね。台数だけではなく、時間と距離も伸びているということです」

しかし、シェアサイクルのメリットは、それだけではありません。誰でも乗りやすい自転車を、管理なしに利用できるところも魅力のひとつです。

「現在、都内で利用できるシェアサイクルの自転車は、ほとんどが電動アシスト自転車です。とくに坂の多い都内では、格段に移動がしやすくなるでしょう。また、赤い自転車がトレードマークのドコモ・バイクシェアでは、約20インチの小径車のタイヤが採用されています。タイヤが小さいと漕ぎ出しが楽なので、とても乗りやすいと思いますね。品質の良い自転車ほど『セキュリティのしっかりした駐輪場を用意しないと』『メンテナンスをきちんとしないと』と考えてしまうものですが、『シェアサイクル』ならそんな心配も無用です」

ドコモ・バイクシェアでは小径タイヤの電動アシスト自転車が採用されているので、坂道も楽々進むことができます。

実際に使ってみよう!

シェアサイクルの特徴が分かってきたところで、次は基本的な使い方を確認していきましょう。今回は実例として、「ドコモ・バイクシェア」の利用方法を紹介します。

1. ネットで会員登録する

まずはネットで会員登録を行います。個人情報や決済情報などを入力し、お手持ちのスマートフォンや交通系ICカードを登録したら準備完了です。

2. ステーションで自転車を選ぶ

近くのステーションに行き、使いたい自転車を選びます。登録したスマートフォンや交通系ICカードをかざすだけで鍵が開く仕組みになっていることが多く、簡単に借りることができます。

3. 目的地近くのステーションに返却する

必ずしも借りた場所に返す必要はありません。目的地近くのステーションを探して返しましょう。

「現在、首都圏にある自転車の台数は、ドコモ・バイクシェアで9710台、HELLO CYCLINGは6230台です。ステーションの数もだんだんと増えてきて、最近は駅の近くや商店街の他、ビルの空きスペースに設置されることも多くなってきました。位置情報はネットでも見ることができるので、あらかじめ目的地付近の情報まで確認しておきましょう。そうすることで返却場所を探す時間を減らし、よりお得に利用することができます」

ドコモ・バイクシェア https://docomo-cycle.jp/
HELLO CYCLING https://www.hellocycling.jp/

“ラストワンマイルのための足”を活かして、限りある時間を有効に

シェアサイクルのことは理解できたけれど、実生活でどのように活用したらいいのか分からない……という人も多いのではないでしょうか。そこで小林さんに、便利な利用方法について聞いてみました。

「シェアサイクルは“ラストワンマイルのための足“とも言われています。ラストワンマイルとは、電車やバスを降りて、目的地まで歩く10分くらいの距離のこと。その距離を、徒歩から自転車に置き換える、というふうに考えてもらえるといいかもしれません。例えば勤務時間中、郵便局や銀行に行かなくてはならない時。ハイヒールを履いて歩き回るのは大変でしょうが、自転車を借りれば効率よく移動することができます。また、ランチタイムの利用もおすすめです。歩きだと少し遠いと感じるお店でも、自転車に乗れば気軽に行くことができます。ぐっと行動範囲が広まるので、貴重な休み時間がもっと楽しくなるはずです」

仕事の都合で移動が必要になった際、足の代わりとなってくれるシェアサイクル。ほかにもこんな使い方ができると言います。

「終電に乗り遅れてしまった時、シェアサイクルを利用して帰宅する人も多いようです。24時間いつでも使えるので、始発まで待つ必要がなくなるんです。営業時間後にカットの練習をする美容師さんをはじめ、遅くまで仕事をする人にとってはすごく便利なサービスだと思いますね。また、シェアサイクルに使用する自転車は、ベルやライトがきちんとメンテナンスされているので、暗い道でも安心して走ることができます。『夜遅くに歩いて帰るのは不安』という女性にもおすすめです」

ポイントは借りる前の点検確認

しかし、利用者が増えてきたためか、メンテナンスが追い付いていないという問題も発生しているようです。

「新型コロナウイルスの影響で利用者が一気に増えた5月は、電池切れの自転車も多くなってしまいました。ステーションに並ぶ自転車が、十分に充電されていないなんてこともしばしば。なので利用する方にも、借りる前の確認を徹底して欲しいですね。電池残量だけではなく、タイヤがパンクしていないか、ブレーキはきちんと作動するかなどを確認することで、借り換える無駄な手間をなくし、安全に利用することができます」

電池残量はボタンを押すだけで確認できます。十分に充電されている自転車を選んで、借りるようにしましょう。

また、シェアサイクル人口が増えてきたからこそ、問題になっているのが自転車事故だとか。当たり前ではありますが、スマートフォンで地図を見ながら走るのはとても危険。赤信号は停まる、自転車専用道路や通行帯をクルマと同じ方向に走るなど、基本的な交通ルールをしっかりと守って利用することが何よりも大事です。

使えば使うほど便利になっていくサービス

「シェアサイクルの面白いところは、使えば使うほど便利になっていくところ。通信会社が運営していることが多いので、それぞれのICT技術を活かしてサービスが展開されています。そのため、あまり使われていないというデータが出てしまったステーションは、どんどん撤退していってしまうんです。自分たちがより快適に移動するためにも、便利な場所にステーションがある場合には、積極的に利用するようにしてください」

まだ利用したことがないという人も、まずは自宅や会社近くのステーションの位置を確認するところから始めてみましょう。小林さん曰く、目的地の100~200メートル圏内にステーションがあったら使わないともったいない、とのこと。ちょうど良い場所にない場合でも、会員登録だけでもしておけば、ステーションが新設されたら知らせてくれます。

「新型コロナウイルスの影響でインバウンドが激減する今こそ、初めて挑戦するのに最適な期間であると考えます。“シェアサイクルで借りた時間と移動”を活用すれば、もっと上手な暮らしが実現できるはずです。みなさんも、その良さに是非気付いてほしい。また、アフターコロナの世界では、東京オリンピックや大阪万博が開催される予定です。戻ってきた海外からのお客さんのためにも、また日本の移動を豊かで快適なものにするためにも、今のうちに日本人がシェアサイクルに慣れ、活用できるようになってくれるとうれしいと思います」

 

Profile

NPO自転車活用推進研究会 理事長 / 小林成基
衆議院公設秘書や大臣秘書官などを務めた後、研究員として廃棄物、バイオマス、環境行政などに関わる。その一方で、アクト・ローカリーの一典型として自転車の活用を推進し、2000年に自転車活用推進研究会を創設。2006年にNPO化した。現在は同研究会の理事長。日本シェアサイクル協会、自転車利用環境向上会議全国委員会の副会長などを兼任。国土交通省、警察庁、自治体の自転車関係会議委員も務めている。

 

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