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人気書籍『なんとなく不調をととのえるスープ』の著者に聞く! 食養生のコツとおすすめスープレシピ

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かぶとカリフラワーのスープ

⻑野県のホリスティックリトリートで調理を担当する鈴木愛さんの著書『なんとなく不調をととのえるスープ』。免疫力やデトックスなど、不調に対応するスープを多数掲載し、2019年の発売以降、根強い人気を誇っています。今回は、鈴木さんが心がけているスープ作りのコツとご自身の体調管理法、季節に合ったおすすめのスープレシピをお聞きしました。

監修 : 鈴木 愛

1980年生まれ、東京都出身。映画やCMなどの衣装の仕事を経て食の世界へ。都内自然食レストランや、和食店で調理を学ぶ。2010年からホリスティックリトリート穂高養生園に勤務。自然に根差した野菜の調理法を学び、季節をベースとした食と体の結びつきを深く意識する。 食によって日々を心地よく過ごしてほしいという願いを込 めて「冬草」の名で活動をはじめる。不定期で東京・表参道のサロン「omotesando atelier」にて「ととのえる食事会」を開催。要予約。著書に『なんとなく不調をととのえるスープ』(世界文化社)がある。
冬草 https://www.facebook.com/fuyukusa.gohanya/

Contents 目次

季節の野菜を中心に

かごに入った季節の野菜

だるさ、胃腸の疲れ、心のストレスなど…不調のサインを感じたら、手助けとなるのが、栄養とうま味たっぷりの体にやさしいスープ。

「スープは消化がよいので、体調がよくないときも食べやすく、スープだけでも食事として満足感が得られるのがいいところ。書籍では胃腸の負担を少なくするために、動物性のものは使わず、季節の野菜を中心に紹介しています」と鈴木さん。

季節の変わり目に体調を崩す人が多いですが、「季節の野菜は、その季節の体に必要な役割をもっているので、身近な旬の野菜をとることで、体が季節の変化に自然と対応できるようになります」と話します。

鈴木さんのスープは豊かな味わいや食感をもつ野菜をそれぞれ活かす組み合わせで、おいしさを引き出しています。

「野菜のうま味を引き出すために、少ないだしでゆっくり火を入れます。また、いくつかの食材を組み合わせることでうま味に広がりがでるようにしています。食事を作るときは、自分も含め食べる人がそのときに何を必要としているか―体調や季節、嗜好、生活のペース、いつ食べるのかといったことを心がけて作っています」

長い目で自分の体調管理を

調味料
「調味料を変えると体が変わります」と鈴木さん。熟成や発酵などの段階で無理をさせず伝統製法で作られたものがオススメといいます。

鈴木さんが体調管理で実践している食事法やセルフケアについてもうかがいました。

「毎日、規則的に食べるというよりも、その時々の体調に合わせた食事をするようにしています。食べ過ぎや不調のときは、消化に負担をかけないような食べ方をしたり、食べなかったり。逆に体が欲しているときはしっかり食べるなど、少し長いスパンで体調を観察しながら調整をしています」

運動は軽いウォーキングを続けているそう。
「15分でも30分でも散歩などで軽く体を動かすようにしています。時間のあるときにまとめてではなく、毎日小さくても続けていると体調がよく、無理せず、できるだけ、というのが私には合っているようです。それと、朝起きたときと夜眠る前、呼吸を整えるようにしています。それがよいリセットになりますね」

乾燥を防いで体をうるおす「白菜のくず汁」

白菜のくず汁

今回は鈴木さんおすすめの“ととのえるスープ”を2つご紹介します。

寒い時期はのどや肌だけでなく体を内側からうるおす野菜の出番。鈴木さんがぜひとり入れてみてほしいスープのひとつに挙げるのが「白菜のくず汁」です。

「白菜は呼吸器をうるおして、感染症予防に役立ちます。白菜は体を冷やす性質があるので、温める働きのあるしょうがや血行を促進するくずと組み合わせたスープです」

【材料】(2人分)
白菜 3~4枚
えのきたけ 30g
生しいたけ 1個
塩 適量
しょうゆ 小さじ1/4
昆布だし 400ml
くず粉 10g
[薬味とトッピング] しょうが(せん切り) 適量

【作り方】
(1)白菜は細切りにする。えのきたけは根もとを切り落として半分に切る。生しいたけは石づきを切りとって3mm幅に切る。
(2)鍋に(1)のえのきたけ、生しいたけ、塩ひとつまみを重ね入れ、昆布だしをひたひたに注ぎ、ふたをして弱火にかける。火が通ったら白菜を加えて残りの昆布だしを注ぐ。
(3)白菜がやわらかくなったら、塩小さじ1/3、しょうゆを加える。くず粉を水20ml(分量外)で溶いて加え、混ぜながらとろみをつける。
(4)器に盛ってしょうがをのせる。

<おいしさのヒミツ>
白菜のような淡い甘みが主役の場合は、えのきたけや生しいたけなどの穏やかなうま味を足して味を引き立てます。くず粉はとろみをつけて体を温めながら、満足感も得られます。

体の芯までじっくり温める「かぶとカリフラワーのスープ」

かぶとカリフラワーのスープ

もうひとつは体を温める食材を用いたスープ。免疫力アップにも役立ちそうです。

「かぶは胃腸を温めて消化を助けます。カリフラワーも血液循環をよくして、冬に弱りやすい腎の働きを助けます。どちらもビタミンCが豊富なので、感染症が流行りやすい季節に頼もしい食材の組み合わせです」

【材料】(2人分)
かぶ 1個
カリフラワー 30g
玉ねぎ 1/3個
にんにく(みじん切り)  小さじ1/4
昆布だし 300ml
豆乳 100ml
白みそ 大さじ1
塩 適量
ごま油 小さじ1
[薬味とトッピング] 黒こしょう 適量

【作り方】
(1)かぶはくし形切りにする。カリフラワーは小房に分ける。玉ねぎはみじん切りにする。
(2)鍋にごま油、にんにくを入れて弱火にかけ、香りが立ったら 玉ねぎと塩ひとつまみを加えてじっくり炒めて火を通す。
(3)カリフラワーと塩ひとつまみを加え、昆布だしをひたひたに注いでゆっくり煮る。カリフラワーがやわらかくなったら、 かぶ、残りの昆布だしを加える。
(4)かぶがやわらかくなったら豆乳を加え、ゆっくり混ぜながら温める。火を止めて白みそ、塩小さじ1/4を加える。器に盛って黒こしょうをふる。

【おいしさのヒミツ】
かぶとカリフラワーはじっくり煮て甘みを立たせ、玉ねぎとにんにくでうま味の底上げを。白みそを少し加えて甘みとうま味のバランスをとります。

“ととのえるスープ”は、「不調があっても、“ここに戻れば大丈夫”と安心できるお守りのようなもの」と鈴木さん。スープで体をいたわると、内側から自然とエネルギーが湧いてきます。

文/庄司真紀

『なんとなく不調をととのえるスープ』(世界文化社)

なんとなく不調をととのえるスープ』(世界文化社)

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