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CATEGORY : ヘルスケア |妊娠・出産

妊活でもアルコールは大敵? 海外研究で、月経周期の段階によって飲酒の影響に違いがあると判明

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ワイングラスを持つ人

妊娠したらアルコールは禁物といわれますが、健康への影響も含めると妊活中も控えたほうが無難とは思えます。そんななか、月経周期における飲酒と妊娠しやすさとの関連性について、海外研究の報告がありました。結果としては、妊娠を望むならアルコールを避けるのが賢明のようです。

監修 : 星 良孝 <ステラ・メディックス>

ステラ・メディックス代表取締役社長 獣医師/ジャーナリスト
専門分野特化型のコンテンツ創出を事業として、医療や健康、食品、美容、アニマルヘルスの領域の執筆・編集・審査監修を担っている。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BP社において「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年に会社設立。YouTubeステラチャンネルでもヘルスケアの話題を発信。
YouTube:https://youtube.com/@stellach

Contents 目次

400人以上を19か月調査

飲酒する女性

子どもをもうけようと妊活している間、お酒を飲んでいいのかは気になるところ。妊娠を考えるならば、避けたほうがよいとも思えますが、実際はどうなのでしょうか。

このたび米国の研究グループは、月経周期を「排卵期」と、その前後である「卵胞期」と「黄体期」の3期間に分けて、アルコールと妊娠する確率との関連性を検証しました。

飲み過ぎた場合や、喫煙、カフェインなどほかの要素の影響、お酒の種類が関係するかどうかも調べました。対象としたのは、妊娠に関係する研究に参加していた、生殖能力では特に問題がなく、妊活も避妊もしていない400人以上(19〜41歳)の女性会社員。妊娠を望んでいるかは問いません。

最大で19か月間、アルコールやカフェイン摂取のほか、喫煙、ストレス、運動、生理の状況や性活動について毎日記録してもらいました。また、生理(または生理予定日)の1日目と2日目には尿を採取し、妊娠検査を行いました。お酒はビール、ワイン、スピリットに大きく分け、それぞれ355 ml、約150 ml、44 mlを「1杯」として、1日に4杯以上を過度の飲酒(飲み過ぎ)としました。

お酒が要注意なのは「黄体期」

グラスにワインを注ぐ女性

明らかになったのは、飲酒をすることで妊娠の可能性が低下するということです。

特に月経周期の後半である黄体期は中程度~多量の飲酒量の場合に、まったく飲まない場合と比べて妊娠する確率が40%以上低くなる結果になりました。さらに、排卵期に大量の飲酒をした場合、妊娠する確率は61%低下するという結果に。

また、多量の飲酒をした場合、黄体期には1日飲み過ぎがあるごとに妊娠確率が19%下がり、排卵期はさらに大きく41%下がりました。一方で、排卵の前にはこうした関連性は見られませんでした。

研究グループはそれぞれの影響は推定値であると補足していますが、大量ではなくても飲酒が妊娠確率に影響する可能性は高いようです。なお、いずれもお酒の種類は関係ありませんでした。妊娠を希望するときには、飲酒を避けるのが無難といえそうです。

<参考文献>

Mohammad Yaser Anwar, Michele Marcus, Kira C Taylor, The association between alcohol intake and fecundability during menstrual cycle phases, Human Reproduction, 2021;, deab121, https://doi.org/10.1093/humrep/deab121
https://academic.oup.com/humrep/advance-article/doi/10.1093/humrep/deab121/6294415

Drinking alcohol is linked to reduced chances of pregnancy
Study suggests women should avoid alcohol in second half of menstrual cycle
https://www.eshre.eu/Press-Room/Press-releases-2021/alcohol_fertility

 

 

 

 

 

 

 

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