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ナッツの摂取と乳がんの間に関連。海外研究で示されたリスク低下率はどれくらい?

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ナッツ

不飽和脂肪酸や食物繊維、ヘルシーな植物成分などが栄養豊富なナッツ。健康効果に関する研究結果もいろいろと出ていますが、このたび、海外の研究からナッツをたくさん食べていると、乳がんで亡くなる、あるいは再発するリスクが低くなるという報告がありました。アーモンド、くるみ、ピーナッツなど、ナッツなら何でも効果に違いはないそうです。

監修 : 星 良孝 <ステラ・メディックス>

ステラ・メディックス代表取締役社長 獣医師/ジャーナリスト
専門分野特化型のコンテンツ創出を事業として、医療や健康、食品、美容、アニマルヘルスの領域の執筆・編集・審査監修を担っている。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BP社において「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年に会社設立。YouTubeステラチャンネルでもヘルスケアの話題を発信。
YouTube:https://youtube.com/@stellach

Contents 目次

乳がんサバイバーのデータを分析

ナッツを食べる人

ナッツの健康効果はこれまでにも複数報告されてきました。たとえば、病気の予防に加え、死亡率全般を低下させる効果、特定の病気による死亡率を低下させる効果などの報告があります。

今回、米国と中国の研究グループは、初めて乳がんサバイバー(乳がんを体験した人)を対象として、長期間の生存率とナッツ摂取量との関連性を調べました。

分析に使ったデータは、中国で行われた大規模な乳がんサバイバーの研究に参加したおよそ3500人のもの。乳がんの診断から5年後の時点で調査された詳しい食事内容に基づいてナッツ類(ピーナッツを含む)の摂取量を算出し、全般的な生存率、再発などのない生存率との関連性を分析しました。参加者の多くが、食事内容の調査時点から8年以上追跡され、その間に374人が(252人が乳がんにより)亡くなりました。

特に初期の人で明らかな関連性

ナッツを手にする人

一連の分析で確認されたのが、食事内容の調査から5年後(つまり、診断から10年後)の時点で、ナッツを日常的に食べていた人は食べていなかった人に比べて、生存率全体も再発などのない生存率も高かったことです。生存率に影響するいろいろな要素を加味して分析した結果、ナッツをたくさん食べていた部類に入る人は、食べていなかった人に比べて、全体的な死亡リスクが28%、乳がんが再発または転移するか、乳がんによって死亡するリスクが52%低くなりました。

この関連性は、初期(ステージI、II)乳がんの人ではっきり見られました。ナッツの種類による違いはなく、エストロゲン、プロゲステロン受容体の状態など、生存率に影響を与える要素によっても、関連性は変わりませんでした。ナッツの消費量は乳がんの生存率、特に再発や転移のない生存率に関連すると研究グループは結論づけており、参考としてよいかもしれません。

<参考文献>

Wang C, Gu K, Wang F, Cai H, Zheng W, Bao P, Shu XO. Nut consumption in association with overall mortality and recurrence/disease-specific mortality among long-term breast cancer survivors. Int J Cancer. 2021 Oct 19. doi: 10.1002/ijc.33824. Epub ahead of print. PMID: 34668194.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34668194/

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