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CATEGORY : ヘルスケア |不調

夏にクラっと来るのはなぜ? ツライふらつきに効果的な耳と首のストレッチ

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暑そうな女性

今年は梅雨明けが早く、6月末から連日猛暑が続きました。4月頃からは日々の寒暖差が大きく、「体がついていかない」と感じていたところに、いきなりの猛暑で体に不調を感じている人も多いのではないでしょうか。「クラッとする」「フラつく」のも女性が夏に感じやすい不調です。原因と対策について、せたがや内科・神経内科クリニックの久手堅 司院長にお話をうかがいました。

監修 : 久手堅司 (くでけん・つかさ)

せたがや内科・神経内科クリニック 院長。医学博士。日本内科学会・総合内科専門医、日本神経学会・神経内科専門医、日本頭痛学会・頭痛専門医、日本脳卒中学会・脳卒中専門医。気象病、自律神経失調症など多数の外来を設置し、原因がわかりにくい不調の診療にあたる。雑誌やテレビ番組などメディアに多数出演するほか、講演などでも活躍中。
著書『最高のパフォーマンスを引き出す自律神経の整え方』クロスメディア出版、
監修本、『面白いほどわかる自律神経の新常識』宝島社。

Contents 目次

このシリーズでは、夏に感じやすい女性の5大不調について、不調を感じやすい原因と、夏の不調をやわらげるために習慣化したいポイントをお伝えします。
1 夏に不調を感じやすい原因と夏の不調をやわらげるポイント
2 疲れ、だるさ
3 ふらつき、クラっとする感じ ←今回はココ
4 異常に汗をかく、汗をかかない
5 眠れない
6 頭痛

クラッとしたり、フラつくのはどうして?

額に手を当てる女性画像

立ち上がった拍子にクラッときたり、歩いているときにフラついたりするのも、夏によくある症状です。内耳や脳の病気が関係することもありますが、耳や脳に異常がない場合、原因として自律神経の乱れが考えられます。

●立ち上がった拍子にクラッとする

立ちくらみは、立ち上がったときに、血圧の維持がうまくできないことで起こる場合があります。
「暑さで汗をかくと血管が広がりますが、そうすると血圧が下がり、座った状態から立ち上がったときに、血液がうまく押し上げられず、一時的に脳の血流が不足することで、立ちくらみが起こります。自律神経の不調が影響しており、もともと低血圧の人は注意が必要です。低血圧に自律神経の不調が重なると、さらに血圧が低くなり、たちくらみのほかにも、めまい、朝起きられない、疲れやすい、頭痛といった症状で日常生活に支障が出ることもあります」

●歩いているときにフラつく

歩行時に体がフラついたり、フワフワした浮遊感を感じたりする「非回転性のめまい」も、自律神経の乱れが原因となっている場合があります。
「暑さというストレスや屋内外の寒暖差で、自律神経の交感神経優位の状態が続くことが一因です。交感神経は血管を収縮させるため血流が悪くなり、全身が栄養不足、酸素不足になることで、ふらつきが起こります」

耳ストレッチで、フラつきを改善

耳画像

自律神経が関係する立ちくらみやフラつきは、平衡感覚に関係する「内耳」の血流をよくすることで軽快します。耳のストレッチを行いましょう。

【耳ストレッチ】
耳を引っ張ったり回したりすることで、頭、顔まわり、首の筋肉をほぐす効果もあります。気づいたときに、1日3~4回行いましょう。

◎耳伸ばし

耳たぶの上のほうを手でつまんで、水平に引っ張る。そのまま5~10秒間キープ。

◎耳引っ張り

右手で右耳の上を、左手で左耳の耳たぶをつまむ。右耳は右ななめ上方向に、左耳は左ななめ下に引っ張る。そのまま5~10秒間キープ。左右を入れ替えて同様に行う。

◎耳回し

左右の耳を、手を使って前後に大きく回して、耳まわりの筋肉をほぐす。

自律神経の不調によるめまい症状は、頭への血流を改善する肩こり・首こり解消のストレッチも有効です。

【首伸ばしストレッチ】

(1)細長く折りたたんだフェイスタオルの両端を持って、後頭部と首の境目に当てる。

(2)顔をななめ上に向け、タオルを上方向に引っ張る。タオルと首が押し合うように、首は下方向へ力を込める。そのままで30秒間キープ。

(3)顔をななめ下へ向け、タオルを下方向へ引っ張る。首はななめ上方向へ力を込める。そのままの状態で30秒間キープ。勢いをつけてタオルを引っ張ったり、首を無理に伸ばしたりしないように注意。

低血圧の人は、これらのストレッチに加えて下半身から上半身へと血液を押し上げるポンプの役割をする「ふくらはぎ」の運動も行いましょう。座りながら、その場で足踏みをしたり、つま先を上下させたりするだけでもOKです。

ストレッチを続けるとともに、自律神経を整えるために生活習慣を見直すことも大切です。
こんな生活をしていませんか?

□昼夜逆転の生活をしている
→自律神経は、日中は交感神経優位、夜は副交感神経優位になります。できるだけ生体リズムに合った生活を。
□週末に寝だめをしている
→寝だめは生体リズムが乱れるもと。週末にゆっくり寝たい場合は、平日のプラス2時間までを目安に。
□完璧主義で100点を目指さないと気がすまない
→完璧主義はストレスのもと。「70点主義」でいきましょう。
□日中はデスクワークでほとんど動かない
→デスクワークの人は自律神経が乱れやすいといわれています。血流も悪くなるので、こまめに体を動かして。
□口さびしくて、常にアメやチョコレートなどを食べている
→甘いものを食べて、常に血糖値が高い状態になると、副交感神経が働きっぱなしになり、自律神経が乱れやすくなります。
□スマホやパソコンを長時間使っている
→デジタル機器の長時間の使用は姿勢が悪くなり、背骨のゆがみから自律神経を乱します
□寝る間際に夕食をとっている。
→寝る直前に食べると、睡眠に影響して、自律神経が乱れやすくなります

当てはまることがあったら、そこから改善していきましょう。

貧血でもクラッとする

こめかみに手を当てる女性画像

特に夏場に多いわけではありませんが、「鉄欠乏性貧血」でめまいを感じることもあります。「鉄欠乏性貧血は、体内の鉄分が不足することで、赤血球中のヘモグロビンという成分が作られにくくなることで起こります。血液検査でわかります。気になる場合は、かかりつけの内科などに相談しましょう。

貧血は血液中のヘモグロビン値だけでは正しく診断されないこともあるため、貯蔵鉄量を見るフェリチン濃度も調べることをおすすめします」

また、めまいが現れるメニエール病といった内耳が関係する病気や脳疾患もあります。気になるめまいが自律神経の不調によるものか病気によるものかは、自分ではなかなか判断がつかないもの。心配な症状が続くときは、耳鼻科、脳神経外科などで診てもらいましょう。

取材・文/海老根祐子

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