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一歩一歩のアクションで、太平洋ゴミベルトと呼ばれるビーチの大量のゴミをなくしたい。「サスティナブル・コーストラインズ・ハワイ 」

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汚れた海

ハワイに「サスティナブル・コーストラインズ・ハワイ」というNPO団体があります。今年で設立13年目を迎えるこの団体は、ビーチクリーンナップ、街のゴミをゼロにしていく運動、また、ハワイにあるビショップミュージアムで海洋汚染や海洋環境について真剣に考えることの重要性ついてレクチャーをしています。創業メンバーのひとり、来迎 秀紀(きむかい ひでき)さんにお話をうかがいました。

監修 : ホリコミュニケーション/編集者 (編集者)

ホリコミュニケーションLLC
2007年より海外企画編集会社を設立。ハワイにオフィスを設ける。アメリカ、イタリア、イギリス、スペイン、アジアなど50名ほどのライターを登録、世界の情報を日本の雑誌、ウェブマガジン等へ提供している。www.horicomm.com

Contents 目次

カフクビーチ画像

2010年、「サスティナブル・コーストラインズ・ニュージーランド」に影響を受けた仲間たち8人で、ビーチクリーンナップから始めようと設立したのが「サスティナブル・コーストラインズ・ハワイ」です。今年13年目を迎え、多くのボランティアもその運動に賛同し、活動の幅も広がっています。

今回取材に応じてくれた来迎 秀紀(きむかい ひでき)さんは、サスティナブル・コーストラインズ・ハワイの創業メンバーのひとり。2013年にフロリダからハワイに移ってきました 。フロリダ在住のときも、個人レベルで、サーフィン帰りにゴミを拾ったり、アル・ゴア氏の著書『不都合な真実』を読んだりする中で、環境問題に興味をもち始めていた来迎さんは、ハワイの海にこんなに多くのマイクロプラスティックゴミが集まってくることに驚かされたと言います。

来迎さん画像
お話をうかがった来迎秀紀さん

「オアフ島の北部、カフクビーチ周辺は太平洋ゴミベルトと言われ、循環流に乗り、ゴミが集まって来ます。この現象はオアフ島だけではなくハワイ諸島全体に言えること。コロナもあり、活動が思うようにできませんでしたが、やっと7月はカウアイ島に行けました。8月にはモロカイ島に行く予定です。

shutterstock

ハワイの人は島に住んでいることもあり、サスティナビリティの精神を強く持っていると言われますが、どのような視点から環境について考えるかは、コミュニティによってかなり異なります。たとえば、オアフ島の南側、ワイキキに住む人は、旅行客が捨てていくゴミを気にします。一方、北部のカフクのビーチは漂流物のゴミでいっぱいです。また、西側では違法投棄が問題になっているなど、場所に応じて、焦点となっている事柄が違うのです」(来迎さん)

現在、地元の学校で講義を行うことが多い来迎さん。ハワイで生まれ育っている子どもたちは、サンゴの生態系など、自分たちをとり巻く環境についての知識にはくわしく、また、人間はこうした自然に生かされているのだという意識がとても高いと言います。

「小学校から高校まで、学校の先生たちと方針をすり合わせながら、『Connection(自然とのつながり)、Disconnected(消費経済、使い捨て文化)、Reconnect(自然とまたつながるアクション) 』という大きなテーマをもとに講義を進めています。先祖はタロファームからどのような恩恵を受けていたのか、今はそうした自然とのつながりが破壊されていること、そして再び、どうやって循環可能な関係をとり戻していくのか。必要な分だけいただき、それ以上のものを獲ったり狩ったりしないという昔からのハワイアンの教えを入り口にして導いていきます。
また、廃プラが海に捨てられることで、どのような問題が起き、気候変動にどのような影響が及ぼされていくのかというのも大きなテーマのひとつです。

マイクロチップのゴミが集まる様子を伝える来迎さん
マイクロチップのゴミが集まる様子を伝える来迎さん

最近は、使い捨てプラスチックを減らす活動の一環として、エコを応援するサウスショアやソルトなどのショッピングセンター、ホテルなど、いたる所にウォーターサーバーが置かれています。マイボトルを持ち歩く人も確実に増えています。

また、先日行われた、オアフ島北東にあるワイマナロビーチのクリーンナップでは、1500人ものボランティアが参加してくれました。たった8人で始まったサスティナブル・コーストラインズ・ハワイですが、ここ10年で協力者がかなり増えたと実感しています。最近ではシャネルとのタイアップなど、企業が協賛する形でのクリーンナップも増えました。

モロカイ島Mo‘omomi海岸線画像

ビーチクリーンナップは、必ずしもビーチに出なくても行うことができます。ひとりひとりが使い捨てのプラスチックをできるだけ使わないようにするなど、小さなアクションが大きな波につながります。そして最終的な目標は、海岸が、ビーチクリーンナップの必要がなくなるほどキレイになることです。

ただ、それを実現するにはハワイでのとり組みだけでは無理です。まずはゴミを出さないという出発地点について、学校での教育を強めていこうと心がけています。40か国以上の国にあるサスティナブル・コーストラインズのスタッフや関係者と、オンラインで、教育のあり方について密に話し合っているところです」

取材・文/堀内章子
写真(地図以外)/サスティナブル・コーストラインズ・ハワイ

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