季節が寒くなるにつれて、気になってくるのがかかとのガサガサやひび割れ。ストッキングがひっかかったり、素足を人に見られて恥ずかしい思いをしたり……なんてことはありませんか。かかとのケアについて、ひふのクリニック人形町の上出良一院長に伺いました。
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■角層が厚いかかとは乾燥でガサガサになりやすい
寒い季節になると、空気が乾き始め、肌は乾燥します。体のほかの部位に比べて、かかとは特にガサガサになりやすいと思いませんか。それには、理由があります。
・足の裏には皮脂腺がない
足の裏には皮脂腺がないため、もともと乾燥しやすい部位です。ちなみに、夏場に足裏がべたついたり、靴でムレるのは、汗が原因です。
・かかとは角層が厚い
かかとは体重がかかる場所で、その衝撃に耐えられるように防御機能として、もともと角層が厚くなっています。そして、顔や体の皮膚とは違い、ターンオーバーに120日間かかり、新陳代謝が遅いために古い角質もたまりがち。冬は、乾燥が加わることで、角層がさらに厚くなります。異常に角層が厚くなる「角化」が起こることもあり、ひび割れや亀裂、ひどいときには出血がみられます。
■かかとケアには尿素やワセリンを
このガサガサになったかかとのケアで、やすりなどで削っている人も多いかもしれません。でも、それはNGケアです。
「こするという行為は、それだけで刺激になり、角層がいっそう厚くなってしまいます」と上出院長。
かかとのケアにも、保湿が大切です。注目したい成分が二つあります。
・尿素
「尿素には角質をやわらかくする効果があり、かかとのケアに向きます。ボディクリームやハンドクリームでもOK。ドラッグストアで手に入るので、使いやすいですね」(上出院長)
・サルチル酸ワセリン
「脂の膜で角質をやわらかくして、水分の蒸発を防ぐ働きもあります。角化症の治療に皮膚科でも処方されています」(上出院長)
かかとケアを行うタイミングは、お風呂上がりがベストです。
「角層が水分を含んでやわらなったところで尿素入りクリームやワセリンを塗り、ラップで押さえて靴下をはきます。寝るときはそのままで。数日ですべすべになってきますよ」(上出院長)
■保湿でも改善しないときは、かかと水虫かも?
「しかし、保湿をがんばっているのに、なかなかガサガサが改善しない場合、かかと水虫も考えられます。かかと水虫は、白癬菌というカビ菌の感染によって起こります」(上出院長)
次のようなことがあれば、かかと水虫に要注意です。
・丸い皮めくれがみられる。
・かかとだけはなく、足指にも水虫がみられる。
・家族に水虫の人がいる。
かかと水虫を治すには、足裏を清潔に保つことが大切です。ただし、自分で判別するのは難しく、気になるときは皮膚科にかかりましょう。
取材・文/海老根祐子