これまでお風呂の研究を20年行い、約3万人を調査した医学博士、早坂信哉さんによると、手軽で毎日ムリなく実践できる、最高の健康法が入浴だといいます。そこで、著者『最高の入浴法』でも詳しく紹介されている入浴で得られる健康効果について、お話を伺いました。
Contents 目次
入浴することで得られる7大健康作用をご紹介!
これまでに現代医学で明らかになっている代表的な入浴の健康効果を紹介しましょう。
(1)温熱作用……体を温めて、血流アップ!
「入浴の代表的な健康効果の温熱作用(温め効果)によって、血管が広がり、心臓の動きも強くなります。そのため、たくさんの血液が体中を巡るようになり、血液が酸素や栄養分、ホルモン、免疫物質など私たちの体にとって『大事なもの』を運び、二酸化炭素や疲労物質、老化物質などの『いらないもの』を回収してくれます。
また、血流が増えることで、体のすみずみの細胞までに血液が行き渡り、新陳代謝が活発になることで、体がリフレッシュします。
さらに、温めることで神経の過敏症を抑える効果も。そのため、神経痛などの慢性的な痛みを改善したり、肩こりをほぐす効果もあります」
(2)静水圧作用……しめつけて「むくみ」を解消する
「静水圧作用とは、お湯の水圧によって全身がマッサージされたような状態になり、血流や生理に影響を与えることをいいます。水圧で体を締めつけることによって血液の流れがよくなるので、脚のむくみなども解消されます」
(3)浮力作用……筋肉や関節をゆるめて緊張をほぐす
「水中では重力から解放され、体重が「10分の1」程度になります。この浮力作用のおかげで、関節や筋肉への緊張がゆるみ、リラックス状態にしてくれます」
(4)清浄作用……体の汚れを洗い流す
「皮膚の表面を洗い流すことで、不要な皮脂などを除去するほか、体に有害な物質や微生物を取り除きます。また、温かいお湯に浸かることで、毛穴が開き、汚れや皮脂を自然に流れ出させる効果もあります。
『夏場はシャワーだけ』という人も多いですが、しっかりとお湯に浸かったほうが全身をくまなく清浄できるので、汗をかく夏こそお湯に浸かりましょう」
(5)蒸気・香り作用……免疫力を高めて、自律神経を整えてくれる
「鼻やのどの粘膜は、乾燥すると免疫力の低下を招きがちです。そんなときこそ、お湯の蒸気で湿り気を与えてくれる入浴が有効。入浴中に『長い深呼吸」をするだけで粘膜の乾燥を防ぎます。
また、洗面器にお湯を張り、好きな香りのアロマオイルなどを垂らせば、浴室内に香りが充満します。これは、自律神経の調整に役立ちます」
(6)粘性・抵抗性作用……手軽な運動療法効果をゲット!
「水中で体を動かすと、陸上の約3~5倍の負荷がかかります。これを利用して湯船でゆっくりとした運動やストレッチを行えば、効果的に筋肉に刺激を与えることができます」
(7)開放・密室作用……日常から解放されるリラックス効果が得られる
「昔から日本では、銭湯などでの裸のつき合いのコミュニケーションが成立していました。特に家族間での入浴コミュニケーションは大切に考えられています。衣服を身につけないでお風呂に浸かる時間は、心と体が開放的になる究極のリラックス空間なのです」
参考書籍
『お風呂研究20年、3万人を調査した医者が考案 最高の入浴法』
文/奥沢ナツ