年末年始の運動不足、食べ過ぎ、不摂生が尾を引いて、お腹の調子がイマイチ…という人は、多いのではないでしょうか。お腹の調子を整える“腸活”は、じつは免疫力や肥満防止、心の健康とも深い関係があるそう。毎日のスープでおいしく腸活しながら、体全体を元気に、美しく変えていきませんか。日本スープ協会のセミナーに参加してきました。
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腸の働きについて教えてくださったのは、医療法人団順幸会・小林メディカルクリニック東京の院長・医学博士の小林暁子先生です。小林先生によると、現在、便秘や腸内環境の不調で悩んでいる人は、通院している人数だけでも全国で1200万人にのぼるそう。
「腸は、栄養を吸収するだけでなく、病原菌の排除、免疫細胞の活性化、“幸せ物質”“ストレス対応物質”といわれるセロトニン・ドーパミンなどの脳内伝達物質の活性化など、さまざまな役割を担っています。
したがって、腸内環境が整っていないと、便秘や肥満の原因になるだけでなく、広範囲にわたって不調が起きてしまいます」(小林先生)
「コロナ禍でストレスの多い生活になっているかと思いますが、ストレス対策をしたければ、まず腸内環境を整えることが大事です。なぜなら免疫細胞の7割を腸が活性化するからです。また、“脳腸相関”という言葉があります。腸管神経系と腸内微生物と脳は、24時間休まず、ミリ秒単位で情報をやりとりしています。ストレスの感じ方は腸内細菌が決めているといっても過言ではなく、また心を落ち着かせると腸も落ち着くので、健康な心身を維持するためには、腸内環境を整えることが欠かせないのです。
では、いい腸内環境とは、どのような環境のことでしょうか。それは、腸内環境の多様性を上げるということです。腸内細菌は生きものです。生きものは、住環境を整え、おいしいごはんを食べ、いい仲間がいると、がんばってお仕事をしてくれます。
“住環境”は腸の運動そのものです。便を押し出すための、腸のぜん動運動が正常に起こらない便秘は大敵です。“おいしいごはん”は、オリゴ糖や食物繊維に代表される“プレバイオティクス”。善玉菌のエサになります。そして、“いい仲間”は発酵食品に代表される“プロバイオティクス”。オリゴ糖や食物繊維を摂取することで、善玉菌の活動を活発にしてくれます。
食物繊維は、日本人が全体的に不足している栄養素です。水に溶けない『不溶性食物繊維』と水に溶ける『水溶性食物繊維』の2種類があります。不溶性食物繊維は加熱して食べる食物繊維で、玄米や根菜などに多く含まれます。すっきりしたお通じに役立つ食物繊維です。
水溶性食物繊維は海藻やくだものなど、生でとれるものに多く含まれます。腸内細菌のエサになるのはこちらの食物繊維で、腸内細菌が食べると免疫力や基礎代謝を上げるのに役立つ短鎖脂肪酸を作ってくれます。今、糖質制限をするために炭水化物を控えている方もいるかもしれませんが、穀物の中に含まれる水溶性食物繊維も大事です。じょうずにとりましょう。
発酵食については、世界中のいろいろな発酵食をとるのがおすすめです。
プレバイオティクスとプロバイオティクスの両方を組み合わせてとることをシンバイオティクスといいます。シンバイオティクスによって、お腹の健康を守るとともに、体本来の力を強める機能が、さらに高められると考えられています。
具だくさんスープは、いろいろな食材を一緒に食べることができるので、腸活にふさわしい料理法です。腸はケアをすれば裏切りません。今から始めても成果が出ます。正しくスープを作って家族も自分もさらに元気になろうというパワーを持って過ごしていってください」
続いて登場したのは、スープ作家の有賀薫さんです。365日、約9年間にわたって毎朝スープを作り続けているという有賀さん。今回はインスタントやレトルトのスープに数品をプラスすることで、簡単でおいしい腸活スープを作る方法を実演してくださいました。
レンチンした玉ねぎとコーンで腸活!「ざくざくコーンスープ」
【材料(1人分)】
クノール® カップスープ・北海道コーンクリーム……1袋
冷凍コーン……大さじ1~2(お好みの量)
玉ねぎ……1/8個
【作り方】
(1)玉ねぎはみじん切りにして、解凍した冷凍コーンと一緒に耐熱容器に入れ、ラップをふんわりかける。
(2)600Wの電子レンジに2分30秒~3分かける。
(3)玉ねぎがしんなりしたら、 カップスープの素を加えて熱湯150mlを注ぐ。
※耐熱容器はマグカップでもよい。
※味が足りない場合のみ、塩をほんの少々加える。
※玉ねぎの代わりに、そのほかの冷凍野菜をレンチンして加えても◎
きのこをプラスしてボリューム&食物繊維アップ「きのこの参鶏湯」
【材料(1人分)】
M C C世界のスープ食堂・もち麦入り参鶏湯……1パック
好みのきのこ……60g(写真はしめじ・しいたけ)
酒……大さじ1
塩……ひとつまみ
青ねぎみじん切り……お好みで少々
【作り方】
(1)きのこは、石づきを取り、手で割くか、細かく刻む。
(2)(1)を鍋に入れ、酒と塩を振ってふたをし、弱火で2~3分加熱する。
(3)酒が蒸発し、きのこがしんなりしたらスープを加え、やや火を強めて温める。好みで青ねぎを散らす。
※香りと食感をきのこで補うことができます。かむ回数が増えることで満足感がアップします。
わかめスープに雑穀米をプラス♪「わかめと雑穀米の中華リゾット風」
【材料(1人分)】
理研の三陸産わかめのスープ……1袋
雑穀ごはん……1/2膳
ごま油……小さじ1/3
【作り方】
(1)ごはんを器によそい、ごま油をかける。
(2)理研の三陸産わかめのスープをふりかけて、熱湯160mlを注ぐ。
(3)全体をざっくり混ぜて2分おいて、できあがり。
※「ごま油」の代わりにオリーブオイルをかけ、最後に粉チーズとパセリ(お好みで)をかければ味が一転! 「洋風おじや」に変身します。
※雑穀ごはんはレトルトを使えば、より手軽に作ることができます。
いかがでしたか。「スープのいいところは、あとから味の調整ができること」と有賀先生。また、プラスする食材は「同じものを入れるのが基本」だそう。コーンスープにはコーン、かぼちゃにはかぼちゃ、ほうれん草にはほうれん草といった具合です。
私自身、家でよくスープを作っていましたが、今回のセミナーで、スープへの敷居がより低くなりました。有賀先生に教えていただいた基本をもとに、フリーズドライの海苔のスープに、わかめ・ねぎ・麩といった乾物のみそ汁の具を加えたり、ミネストローネの素にトマトの水煮缶をプラスしたりすると、スープそのものに手を加えた感が増し、ちゃんとした一品として見えるように。また、小林先生のおっしゃっていた「シンバイオティクス」を意識して、食物繊維と発酵食品を食卓に増やすようにもしてみました(キムチを小皿に盛って出す、といった手軽さではありますが)。
私たちがこの世界を生きているように、腸という世界に生きる腸内細菌たちが少しでもがんばってくれるよう、これからも食生活を工夫していきたいと思います。(編集まりりん)
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