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「食べていないのにやせない」理由

 食事を減らしてもやせない人は、3つのタイプに分けられます。
「1つめは、そもそも基礎代謝が低い人。ダイエットの基本は、消費カロリーより摂取カロリーを減らすことですが、基礎代謝が低いと消費カロリーも少ないため、少し食事を減らしたくらいでは、なかなか効果が表れません。2つめは、食事を減らしただけでなく、歩く、階段を上る、下るなどの、日常の活動量まで減らしてしまった人。摂取カロリーだけでなく消費カロリーも減らしたことで、結局プラスマイナスゼロとなり、やせません。そしてもっとも多いのが、3つめの栄養が偏っているタイプ。極端に食事を減らし過ぎてしまったり、お菓子を食事代わりにしてしまったりなど、カロリーばかりにとらわれていると、エネルギー消費のために必要な栄養素が不足し、やせにくい体になってしまうのです」(よこはまメディカルクリニック院長・土田隆先生)


【タイプ1】基礎代謝低下型

<このタイプの特徴>
・甘いものが好き
・子どものころから太っていた
・運動はニガテ
・コーラなどの炭酸をよく飲む
・平熱が35℃台だ

基礎代謝が低いため、消費カロリーが少ないタイプ。もともと体があまりエネルギー摂取を必要としていないため、食事制限のみのダイエットでは効果が表れにくい。

【タイプ2】生活活動代謝低下型

<このタイプの特徴>
・1度に食べる量は少ないほうだ
・ごはん・パン・めん類などはよく食べる
・運動はしていない
・食後2~3時間ですぐおなかがすく
・家の中ではいつもいる場所が決まっている

食事を減らしたぶん、活動量も減らしてしまったタイプ。摂取カロリーが減ったことで、エネルギー不足となり、無意識のうちに活動量が減ってしまっている可能性大。

【タイプ3】栄養偏り型

<このタイプの特徴>
・ごはん・パン・めん類などの主食をおかわりしがち
・ジュースをよく飲む
・肉や野菜はあまり食べない
・甘いものが好き
・油ものを控えている

摂取カロリーは少なくても、肉や油を極端に抜く、お菓子が食事代わりなど、栄養バランスが偏っているタイプ。エネルギーを消費するために必要な栄養素がとれていません。

もともと運動をしていなかったり、子どものころから太っていたという人に多いのが基礎代謝低下型。
「基礎代謝とは、体温維持や内臓を動かすなど、生きていくうえで最低限必要なエネルギーのことで、1日の消費エネルギーの大半を占めています。この基礎代謝は、年齢や性別のほか、筋肉量によっても大きく左右されるため、筋肉が多い人ほど、消費エネルギー量も多くなります。ところが、運動不足などで筋肉が少ない人は、たとえ20代でも基礎代謝がかなり低下しているケースも。そのような人が基礎代謝の高い人と同じように食事を減らしたとしても、消費エネルギー自体が少ないためやせにくいのが現実です」(土田先生)

全消費エネルギーに占める基礎代謝の割合は?

■基礎代謝:約70%(そのうち筋肉によるエネルギー約30~40%)
呼吸や体温維持のほか、脳や内臓を動かすなど、生きるために最低限必要なエネルギー。中でも筋肉が消費する量は30~40%と最大。

■生活活動代謝:約20%
家事や仕事などの日常の活動や、運動するときに消費されるエネルギー。1日の活動量によって消費されるエネルギーは変わります。

■DIT(食事誘導性熱産生):約10%
食べたものを消化・吸収するときに使われるエネルギー。食後に体がポカポカしてくるのは、このエネルギーにより発生した熱のため。

食事を減らすだけでなく、筋肉量を増やそう

基礎代謝が低い人が食事制限のみのダイエットをすると、ますますやせにくい体になるそう。
「人間の体は食べたものを熱源としてエネルギーをつくり出します。そのため、摂取カロリーが低ければ、体熱産生が減り、体の冷えを招くことにつながります。特に、基礎代謝の低い人は筋肉が少なく、血液を送り出す筋肉の働きも弱いため、血流が悪くて体が冷えてしまいがち。体温が1℃下がると、代謝は13~20%も低下してしまうため、食事を減らすだけのダイエットは、さらなる基礎代謝の低下を招いてしまうのです。食事を減らすだけでなく、筋肉量を増やして消費カロリーを増やすことが肝心です」(土田先生)

食事だけでなく活動量も減らしてしまったのが生活活動代謝低下型。
「電力不足のときに節電して少ない電力でも生活できるようにするのと同様に、体もエネルギーが不足すると、少ないエネルギーでも生きていけるよう省エネモードになります。その結果、いつもは階段を上っていたのにエスカレーターを使うなど、無意識に活動量を減らしてしまうケースが多く、消費エネルギー量が減ってしまうのです。特に日ごろから運動習慣のない人は、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回らずにやせないという結果に」(土田先生)
省エネでエコな体はダイエットには不向き。食事は減らしても、燃やす体をキープすることがカギ。

食事を減らしたら活動量は増やす

生活活動代謝低下型の行き着く先は、基礎代謝低下型。
「活動量が減れば、使われる筋肉量も減るため、筋肉が落ちてしまいます。その結果、基礎代謝まで下がってしまうことに。代謝を下げずにダイエットするには、食事を減らしたらそのぶん活動量を増やすくらいのイメージで、積極的に動くことが大切です」(土田先生)

筋肉を落とさないためにはやはり筋トレなどの運動をしなきゃダメ?
「筋肉を増やすには筋トレが必要ですが、今ある筋肉量をキープするだけなら、それほど激しい運動は不要。5分でもいいから歩く時間を増やしたり、ひとつひとつの動作を大げさに動くだけでも効果があります。大切なのは、筋肉が使われるような体の動きをすること。いくら仕事や家事などで忙しくしていても、あまり動きがなければ、熱量は使われないため活動量は増えません」

熱量を使わない動きとは

例えば炊事は一見忙しそうでも、キッチンの狭い空間での動きであって、歩く距離はなし。移動距離が少なく、手の動きも小さいようだと、忙しくしていても熱量はほとんど使われません。

熱量を使う動きとは

例えばゆっくり歩きながら掃除機をかけるだけでは、あまり熱量は使われません。熱量を使うにはぞうきんがけなどで手足を大きく動かしたり、足での移動を多くしたりなどが必要。

やせるには、消費エネルギーより摂取エネルギーを少なくすることが基本ですが、カロリーの帳尻さえ合っていればいいわけではありません。
「確かにカロリーだけで考えれば、肉や油、ごはんやパンなどの高カロなものを避け、こんにゃくや寒天、野菜や海藻類など、低カロなものばかりにすればいいことになりますが、実はコレではやせません。カロリーはエネルギーをつくるための熱源ですから、カロリーがないということは、体の中で熱をつくらないということ。つまり、ノンカロリーなものばかり食べていると、体が冷えて代謝も落ちるため、太りやすくなってしまうのです」(管理栄養士・伊達友美先生)

食べたものが消費カロリーを左右する

同じカロリーでも、中身によって身につく割合は異なります。
「食品に表示されているカロリーは、空気中に存在しているときのカロリーで、それが丸ごと身につくわけではありません。食べたものは、まず歯でかむというエクササイズをしてエネルギーを消費します。また、胃で消化液と混ぜ合わせたり、腸でぜんどう運動をすることでもエネルギーを使うため、そのぶんのカロリーが消費されます」(伊達先生)

つまり、食事でエネルギー摂取をすると同時に、消化・吸収するためにエネルギーを消費もしていて、これをDIT(※食事誘導性熱産生:食べたものを消化・吸収するときに使われるエネルギー)といいます。

「同じカロリーでも、かみごたえのあるステーキと、消化の早い菓子パンでは、DITはステーキのほうが高く、身につきにくいのです。また、食事を減らせば当然DITも減るため、食事の減らし過ぎは代謝を下げることにつながります」

DITを高めるコツ

■体が温まる食材を一緒にとる
唐辛子、しょうが、にんにくなどのスパイスは、体を温めて熱を発生させる高DIT食。
また、温かいみそ汁やスープなども体温を上げて、エネルギー消費を高めます。

■食材の原型に近いものを食べる
食材の原型が見えるものほど、かみごたえがあり消化にエネルギーが使われます。肉ならハンバーグよりステーキ、パンやめん類よりごはんやいもなど、原型に近いものが◎。

三大栄養素をとらないと体は燃えない

野菜はダイエットの味方だけど、野菜ばかり食べていても実は無意味。
「野菜がダイエットに重要なのは、エネルギー産生に必要なビタミンやミネラルが含まれているからですが、肝心な熱源となるのは、たんぱく質・炭水化物・脂質の三大栄養素だけ。そのため、野菜ばかりで三大栄養素をとらなければ、エネルギーは消費されません。さらに、三大栄養素不足は、肉体的にも精神的にもやせにくい体をつくってしまいます。たんぱく質は筋肉や皮ふの原料、脂質はホルモンや細胞膜の原料として不可欠なため、不足するとキレイにやせられません。また、糖質は脳の唯一のエネルギー源なため、不足すると脳の働きが低下しやる気もダウン。燃える体をつくるには、三大栄養素をしっかりとることが不可欠なのです」(伊達先生)

【三大栄養素その1】炭水化物

■やせやすい心と体をつくる
脳の神経細胞や筋肉を働かせるなど、もっとも多く使われるエネルギー源。1日の総摂取カロリーの大半は、炭水化物でとる必要があります。ただし、脂質量の多いお菓子や甘いものではなく、主食をメインにするのが鉄則。

■1日2杯ごはんを食べる
サラッと食べられるめん類や、やわらかいパンに比べ、素材の形が見えるごはんは、消化により多くのエネルギーを使うダイエット向きの主食。1日2杯はしっかり食べて。

【三大栄養素その2】脂質

■代謝を上げてデトックス
もっとも効率のよいエネルギー源であるほか、細胞膜やホルモンの原料にもなります。また、良質な油は血液をサラサラにしてエネルギー代謝を上げたり、腸をなめらかにして便秘を解消したりなど、デトックス効果もあり。

■良質な油をプラスする
α-リノレン酸を含むえごま油やしそ油、生魚、くるみ、ピーナッツなどは、ダイエット向きの良質な油。体の老廃物を排出する効果が高く、太りにくい油です。

【三大栄養素その3】たんぱく質

■筋肉をつくって脂肪を燃焼
筋肉をはじめ、体のあらゆる部分をつくる材料として不可欠。また、炭水化物や脂質に比べDITが高く、体を温める効果あり。羊・牛・豚などの赤身の肉に含まれるL-カルニチンは、体脂肪を燃やすのに役立ちます。

■1日手のひら2枚分が目安
1日に食べておきたい肉や魚などの量は、自分の手のひらの大きさ・厚さの2倍程度が目安。大きさは指先まで入るため、かなり意識して食べないと足りません。

監修/土田 隆(よこはま土田メディカルクリニック)・伊達友美、構成・文/宝田明子

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