いよいよ年の瀬となり、寒さが本格化してきました。近年は暖冬が続いていましたが、今年は寒冬になるといわれていますね。新型コロナウィルスが依然として猛威を奮うなか、免疫力に直結しさまざまな不調の原因ともなる“冷え”には、万全の対策が必要です。また、自宅で過ごす時間が長くなりそうな今年の年末年始は、おこもり美容の絶好の機会。そこで、「体の内側から健康で美しく、ハッピーに」をコンセプトに、自然療法・予防医学・栄養学などをバランスよくとり入れた発信を行うホリスティック薬剤師の佐々木貴美さんに、ナチュラルな冷え対策とアンチエイジングアプローチ方法について、お話をうかがいました。
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“万病のもと”冷えに効く、ナチュラルセルフケア
女性に多い冷え症ですが、冷えを放置しておくと、体にさまざまな不調を引き起こす原因になるといいます。
「体が冷えると、血流の悪化や免疫力の低下が起こり、感染症にかかりやすくなるほか、疲労を感じやすくなったり、アレルギー反応が出やすくなったりと不調の原因になります。また、体内に老廃物がたまりやすくなり、肥満やセルライトの原因にも」(佐々木さん)
そんな万病のもとである冷えを改善する方法について、くわしく教えていただきました。
「まず、手軽にできる冷え対策としては、根菜類、冬が旬の野菜、しょうが、唐辛子、にんにく、発酵食品、スパイスなど、体を温める食材をとることが挙げられます。しょうがは、加熱や乾燥によって体を温める効果が増すので、蒸ししょうがのパウダーなどをとり入れるのがおすすめ。暖かい地域で育つ食材や、夏が旬の食材は体を冷やしやすいものが多いため、注意が必要です。
また、血流をよくするためには、入浴、ウォーキングなどの運動、ストレッチが有効。腹巻きやソックスなどで冷えやすい部位を温めるのもポイントです。ストレス過多であったり交感神経優位の状態、呼吸が浅い状態だと体は冷えやすくなってしまうので、心身ともに健康的な生活を心がけましょう。呼吸を意識することも大切ですよ」
そのほか、冷え対策に有効なナチュラルアイテムについても教えていただきました。
「漢方では、婦人科系のトラブルや症状緩和にはたらきかける『当帰四逆加呉茱萸生姜湯(トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ)』が、末端の冷えや、しもやけにも有効です。また、下肢の冷えや腰痛、夜間頻尿などには『八味地黄丸(ハチミジオウガン)』がおすすめ。アロマでは、ゆず、ジンジャー、ジュニパーベリー、ローズマリー、ブラックペッパーなど。ハーブや生薬では、ジンジャー、ゴツコラ、イチョウ葉、高麗人参などをとり入れるのがいいでしょう。そのほか、入浴をより効果的にするには、『ウチダの浴剤』などの薬草湯、レッドイライトなどのクレイバス、エプソムソルト、ゆず湯もおすすめです」
漢方的アンチエイジングの要は「補腎(ほじん)」にあり!
コロナ禍においては、自宅で過ごす時間が長いぶん、美容の底上げにとり組んでいる人も多いでしょう。佐々木さんによると、寒い冬に機能が低下しやすい「腎」をケアすることは、アンチエイジングにもつながるといいます。
「漢方の考えでは、アンチエイジングの要は『補腎(ほじん)』、つまり腎をケアすることと考えられています。腎とは、腎臓、副腎、生殖器だけでなく、骨、耳、髪などにも対応していて、生命エネルギーを蓄えたり、水分代謝やホルモンの調整をしたり、成長、生殖、骨代謝など、重要かつさまざまなはたらきに関わります。
冷えに弱い腎の機能が低下し、エネルギーが不足していると、腰痛や足腰のだるさ、頻尿、抜け毛、耳鳴り、めまいなどが起こりやすくなるほか、疲れやすい、むくみやすい、寒がり、骨がもろい、精力減退ぎみなどの不調を感じやすくなってしまうのです」
冷えに弱い「腎」のケアとおすすめアイテム
腎の機能低下を防ぎ、健やかに若々しくあるためには、どのようなケアが有効なのでしょうか。
「補腎(ほじん)には、黒色そして塩味の食材をとるのがポイントです。例えば、黒ごま、黒豆、黒きくらげ、わかめ、ひじき、のり、梅干しなど。それから、抗酸化力の高い栄養素をとることも有効なので、ビタミンCや水素、スーパーフード、フィトケミカルを意識的に摂取するといいでしょう。また、ムリなダイエットや不規則な食生活、寝不足、冷え症、ストレス過多、ハードな運動などは、腎のエネルギーを消耗することにつながります。体を冷やさないように気をつけて、しっかり栄養をとり、パワーを補いましょう」
補腎(ほじん)に有効なナチュラルアイテムとしては、漢方、生薬、ハーブなどが挙げられるそう。
「漢方では、下半身の冷え、腰痛、頻尿などがある場合には『八味地黄丸(ハチミジオウガン)』、冷えがない場合には『六味丸(ロクミガン)』がおすすめです。また、『鹿茸(ロクジョウ)』と呼ばれる鹿の角は、補腎(ほじん)の最強の漢方といわれています。アンチエイジングの観点では、『女貞子(ジョテイシ)』が白髪や抜け毛に有効。ハーブではホーステイル、生薬では高麗人参、クコの実、なつめ、龍眼(りゅうがん)の実などがおすすめです。
また、補腎(ほじん)は不妊治療や妊活をされている女性にも重要で、アーユルヴェーダで婦人科トラブル、不妊、強壮剤、若返りなどに欠かせないハーブとして知られるシャタバリをとり入れるのもおすすめです。冷えを防いで腎をケアすることで、若々しさや活気を養いましょう」
コロナ禍に見舞われた2020年。さまざまな不安や不便、葛藤などがあり、それは今なお終わりの見えないものですが、新型コロナウィルスをきっかけに、健康意識が高まった、生活習慣を見直したという人も多いのではないでしょうか。静かに過ごす年末年始、今年1年がんばってくれた体を労り、新年に向けていっそう美と健康に磨きをかけられるよう、有意義なものにしたいですね。
文/野田美香