私たちの体が食べものによってつくられているように、口腔環境の良し悪しも日々の食生活の影響を受けています。たとえば、甘いものをほとんど食べないAさんと、カバンのなかにいつもチョコやグミなどのお菓子をしのばせているBさんがいるとしましょう。口内を洗浄する唾液量は人それぞれなので一概には言えませんが、単純に考えると、同じように歯みがきをしていても、虫歯になるリスクはAさんよりもBさんのほうが高そうに思いませんか?
そこで、「かなデンタルクリニック」院長の石川加奈子先生に、歯にいい食べものと、注意が必要な食べものについて教えていただきました。
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知らずに食べていた!歯にいい食べものとよくない食べもの
みなさんは普段の食生活で、“歯のため”を意識して食べることはどのくらいあるでしょうか。砂糖がたっぷり入っていたり、歯にくっつきそうなお菓子を避けている、という人は多いかもしれません。それ以外にも、歯の健康を維持したり、口腔環境をよくするために効果的な食べものがあるそうです。
「イチゴは、虫歯予防に効果的なキシリトールが多く含まれているのでおすすめです。北欧の小学校で、昼食後に子どもたちにイチゴを食べさせる習慣をつけたところ、歯科検診での虫歯の本数が減ったという報告も出ています。キシリトールは野菜やくだものに含まれる天然の甘味成分で、歯の表面を溶かす酸をつくりださない糖。ただ、一度にたくさん食べるとお腹がゆるくなる人もいるようなので、食後、練乳などの甘いものをかけずに適量のイチゴを食べるといいと思います」(石川先生)
では反対に、歯のために好ましくない食べものはあるのでしょうか。
「ジュースや炭酸類など口のなかに残るものと、チューイングキャンディやキャラメルなど歯にくっつくものはあまりおすすめしません。でも、どちらもおいしいですよね(笑)。
ジュースや炭酸類は食事の前に飲み、そのまま食事をとって唾液で流すとか、チューイングキャンディなども食べたら歯をみがくように習慣づけることが大事。
注意が必要なのは、砂糖が多く入ったスポーツドリンク。飲みっぱなしにしていると虫歯になりやすいようです。とはいえ運動中の水分補給や、これからの季節は熱中症対策にも有効ですので、スポーツドリンクを飲んだら口をゆすいだり、そのあと水や緑茶を飲むようにしてください」
虫歯予防のために、キシリトール入りのガムや清涼菓子(タブレット)をとり入れている人も多いですが、実際のところ効果はどの程度あるのかも気になるところです。
「私は、キシリトール入りのガムや清涼菓子は、甘味料としてキシリトールが100%使われているものをおすすめしています。虫歯は、歯の表面を覆うエナメル質が酸に溶かされることによって発生します。ガムやタブレットに酸をつくらないキシリトールが含まれていても、同時にキシリトール以外の甘味成分が入っていれば、それが酸を作り出し、虫歯の原因になってしまうんです。
キシリトール100%のガムは、硬めで味がすぐになくなり、あまりおいしくないと最初は思うかもしれませんが、口の中がさっぱりしますし、よくかむことで唾液が出るので虫歯予防には効果的です」
甘味成分がキシリトール100%のガムや清涼菓子はどこで買えるのでしょうか。
「歯科医院で買うことができます。ガム以外にも、チョコレートやラムネなどを販売している歯医者さんもあるので、興味のある人はぜひ試してみてください」(石川先生)
取材・文/浜野雪江