ピーナッツにはさまざまな健康効果があるという慶應義塾大学医学部 井上浩義教授。そこで、たくさんの健康効果の中から、とくに女性向けのものについて聞いてみました。いちばんにあげられたのは「便秘の解消」。その理由とは…?
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ピーナッツには食物繊維がたっぷり!
ピーナッツにはポリフェノール、ビタミンEやB1、食物繊維、ミネラル、オレイン酸などさまざまな栄養素が含まれていて、いろいろな健康効果が期待できるといいます。そこで、とくに女性に効果的な健康効果を聞いてみました。
「便秘の解消ですね。便秘には医学的な定義はありませんが、便秘は男性に比べて女性は約1.5倍といわれていますから、便秘に悩まされている女性も多いと思います。便秘の改善のひとつは食物繊維をとることが大切ですが、なかなか摂取できていないんですね。
例えば、20代の女性の1日の摂取目標量は18gなのですが、実際にとっているのは15g程度なんです。ピーナッツは食物繊維が豊富ですから、不足している食物繊維を補うためにピーナッツがおすすめというわけです」
実際に「平均年齢約45歳の健康な女性16人に毎日30粒のピーナッツを8週間食べてもらって便通の変化を調べる」という臨床研究もおこなわれ、結果も出ているのだそう。
「全員の平均をみると、便通が改善する傾向がみられたものの、それがピーナッツの影響だといいきれるレベルには達しませんでした。でも、もともと便通が週に4回以下という便秘傾向の女性だけを抜き出してみると、明らかに改善されていることがわかったんです。便通がよくなれば体から老廃物もとり除きやすくなりますから、美容的にもすばらしいことですよね」
食物繊維は整腸作用を高める効果も!
便秘傾向の人はピーナッツを食べることで改善が期待できるということですが、逆に、ふだん便秘ではない人は便がゆるくなったりしないかちょっと心配ですが…。
「便秘でない人は、変わることはありません。1日1回とか2回とか、普通に便通がきている人というのは、ホルモンがきちんと出ていて、腸がきちんと動いているんです。ですから、食物繊維が送られてきても『あ、食物繊維がきたね、じゃあ、ゆっくり動きましょうか』といった感じで対応できるんですね。ピーナッツを食べてもきちんと対応できるから大丈夫ということなんです」
要するに、腸がきちんと対応できなくなった状態が便秘ということなのだそう。
「便秘だけでなく下痢も同じで、ホルモンが乱れてしまっているということなんです。ですから、そういう乱れた状態を正常に持っていくために、食物繊維を少し多めにとっていくことをおすすめしたいですね。食物繊維は腸内善玉菌の餌にもなります」
食物繊維には「水溶性」と「不溶性」の2種類があり、ピーナッツの食物繊維は「水溶性」。この「水溶性」というところもポイントのようです。
「不溶性食物繊維は水分を吸い、繊維質を保ったまま排出されます。腸の動きを刺激し、便のかさを増し、排便を促す、ということですね。それによって、便通がよくなったり、あるいは、お腹のゴロゴロ感やガス感がなくなったりします」
不溶性食物繊維は、糖の急上昇を抑えて食後血糖値の急上昇を抑えるといった効果や、腹もちがいいので間食を防ぐ効果も。次回以降も、さらにくわしく教えてもらいます。
参考書籍
『ハーバード大の研究でわかった ピーナッツで長生き!』
取材・文/小高希久恵