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疲れを感じたらとり入れたい! プロがおすすめする「疲労回復」に効果的なサプリメント
日常生活の中で「疲労」はどうしても避けることのできないもの。仕事や運動のパフォーマンスを上げるために、疲労は“作らず、ため込まず”がいちばんですが、疲れを感じない生活を送るというのはなかなか難しいものです。今回は、約16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発をしてきたコンディショニングスペシャリストの桑原弘樹先生に、疲労のメカニズムと疲労回復に効果的なサプリメントについて伺いました。
Contents 目次
肉体的疲労の原因となる「乳酸」と、疲労回復の手助けをする「クエン酸」と「グルタミン」
――そもそも「疲労」はなぜ起こるのでしょうか?
「短時間の動きによる肉体的疲労の多くの原因は『乳酸』にあります。乳酸というのは、体内で糖がエネルギーに変わるときに生まれる副産物。糖がスムーズにエネルギーに変わることができていれば乳酸は生まれませんが、ふだん以上の運動をしたときなどにそのエネルギー生産の流れが滞り、乳酸が生まれます。
そうして生まれた乳酸は体内で蓄積され、体を酸性に傾かせます。すると同時に疲労感を感じるようになり、パフォーマンスの低下につながるのです。
例えば登山しているとき、途中で脚がパンパンになって上がらなくなってくる…これは糖がうまくエネルギーに変換されずに、一時保存の形態である乳酸に変化しているからなんですね」(桑原先生)
――なるほど。「乳酸=疲労物質」というわけではないんですね。
「その通りです。確かに疲労は感じますが、決して疲労物質ではありません。滞っていた流れがスムーズになれば、たまっていた乳酸も再びエネルギー源として流れていくわけです。
乳酸は成長ホルモンの生成を促したり、筋力トレーニングの効果を上げたりと、私たちの体に有効に働いてくれる物質でもあるんです。しかし『疲労』を感じさせる一面も持っている、ということです」(桑原先生)
――疲労を解消するためにはエネルギー生成の流れをスムーズにしてあげればいい、ということでしょうか。
「そうです。疲労を感じているときにお風呂などでゆったりとしてあげると、疲れが和らいだように感じるのは、渋滞していたエネルギーの生産ラインが通常スピードになって流れていくからです。
それから、疲労回復の手助けをしてくれる栄養素をとり入れるのも効果的です。レモンや梅干しなどに含まれる『クエン酸』は体内に入るとアルカリ性に変わり、乳酸によって酸性に傾いた体を中和して弱酸性へと向かわせてくれるんです。乳酸による疲労を感じたときは『クエン酸』をとることをおすすめします」(桑原先生)
――疲れたときに酸っぱいものを食べるといいと言われるのは、「クエン酸をとるといい」ということだったんですね。乳酸以外にも疲れの原因となる物質はあるのでしょうか?
「体内で最も多いアミノ酸である『グルタミン』の不足も疲労につながります。グルタミンは、通常筋肉や血液中に滞留して、小腸の細胞のエネルギー源となる栄養素です。しかしハードなトレーニングなどで大量に消費してしまうと、疲れが抜けにくくなったり、免疫力が下がったり、風邪をひきやすくなると言われています。
本来グルタミンは、体内で合成可能な非必須アミノ酸なので、食品からとり入れなくても合成可能ですが、日常的に運動をしている人はサプリメントなどで意識的に摂取するのがいいでしょう」(桑原先生)
根深い疲労の素となる「活性酸素」には、「抗酸化剤」が効果的
――「活性酸素」が細胞の老化や疲れの原因ということもよく耳にしますが…。
「そうですね。私たちが呼吸によってとり入れた酸素の一部は、反応性の高い『活性酸素』となって細胞膜などを酸化させます。酸素は栄養素から作られる電子と反応をしてエネルギーを生み出しているわけですが、あまった酸素は活性酸素となって体の細胞と反応して酸化させてしまうんです。これが『体のサビつき』と言われ、長期的な疲労につながる原因です。
乳酸はすぐに疲労を感じさせる一方、活性酸素はすぐには疲労を感じさせにくい物質です。活性酸素によって傷んでしまった細胞はエネルギーが出しにくい状態になります。これが長期間にわたる根深い疲労の一因だと考えられています」(桑原先生)
――「疲れがなかなか取れない」と感じるのは、活性酸素による影響でもあったんですね。細胞の酸化に対抗する物質はないのでしょうか?
「細胞の代わりに活性酸素の身代わりになってくれる『抗酸化剤』をとり入れることです。野菜や果物などに含まれる『ビタミンA・C・E』や、牛や豚の内臓に多く含まれる『α-リポ酸』、エビの甲羅や鮭の色素などに含まれる『アスタキサンチン』、さらに『ポリフェノール』や『カロテノイド』と呼ばれる植物の色素にも抗酸化力があります」(桑原先生)
長年サプリメントの企画・開発に携わり、ご自身も今でも日常的に18種類ものサプリメントを実験的に愛用しているという桑原先生。食べものだけでは補いきれない部分を、サプリメントで代用してみてはいかがでしょうか。
取材・文/佐藤有香