糖質オフやMEC食といった食のトレンドの影響を受け、たんぱく質を積極的にとる人が増えています。大切な栄養素であることは変わらないのですが、なんと、過剰に摂取したたんぱく質は体内でさまざまな悪影響を引き起こすのだそう! 株式会社ドールが主催したパインデトックス啓発セミナー・実践レシピ試食会に参加して、意外と知らないたんぱく質過剰のリスクとその対処法を聞いてきました。
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便秘や肌荒れだけじゃない! 恐ろしいリスクとは?
私たち現代人の食生活を見てみると、食肉の消費量は、この50年あまりで約10倍に増加。(農林水産省「食料需給表」平成25年参照)一方、野菜や果物の摂取量は減少傾向にあり、「国民総肉食化」が進んでいることが分かります。
さらにたんぱく質の摂取に拍車をかけているのが、糖質制限ダイエットの流行や、筋トレ女子など体を鍛える人が増えているということ。特に若者のたんぱく質摂取量が増加しており、「平成28年国民健康・栄養調査」では、20代のたんぱく質平均摂取量は男性74.5g、女性60.5gと、厚労省が定める日本人の食事摂取基準(男性60g、女性50g)を大きく上回る結果に。
では実際に、たんぱく質をとり過ぎるとどのようなリスクがあるのでしょうか?
酵素栄養学の第一人者である、鶴見クリニック理事長の鶴見隆史先生にお話をうかがいました。
「良かれと思って、たんぱく質をたくさんとっている人も多いと思いますが、体内で消化しきれなかったたんぱく質は、腸内で腐敗し、そこから窒素残留物というアンモニア物質が発生します。すると、ガスや便が臭くなるほか、便秘や肌荒れを引き起こす原因に。さらに腸内腐敗が進むと、大腸がんや動脈硬化のリスクも高まります。」(鶴見先生)
「万病の元は腸から」と言われるのはこのため。窒素残留物は血中にも流れ出し、悪さをするのだそう。
「赤血球は、体の隅々の細胞に酸素と栄養素を運び供給するという、とても重要な働きを担っています。正常な赤血球は丸い形をしており、血液の中を一つ一つ流れていますが、赤血球同士がくっつき、糸で五円玉をつないだようなルロー(連銭形成)という状態になると、毛細血管に入れなくなってしまうのです。つまり、末梢の血管に血液が流れづらくなるということ。」(鶴見先生)
私たちの体内には、もちろん、たんぱく質を分解するための酵素も備わっています。ですがその量には限りがあり、特に動物性たんぱく質は消化されず腸内に残りやすく、一旦消化不良が起こると、体内の酵素は大量に消化作業へと回されます。結果、どんなに栄養価の高いものを食べても、栄養素がきちんと吸収されなくなってしまうのです。
消化を助ける食物酵素は、生野菜やフルーツにも多く含まれています。これらの食べ物を積極的にとることで、体内で不足した酵素を補うことも可能です!
パイナップルに含まれる「ブロメライン」が効果的
特に南方系のフルーツにはたんぱく質分解酵素が多く含まれ、中でも鶴見先生がオススメするのは、パイナップル。
「最近は見かけなくなりましたが、昔は、店で提供されるステーキにパイナップルが添えられていることがよくありました。パイナップルに含まれるブロメラインには、肉などのたんぱく質を分解する働きがあるので、今思うと、とても理にかなっていますよね……。ブロメラインをとることで、腸への負担も軽減されますし、ルローをほどき末梢への血流を改善する(血液がサラサラになる)効果も期待できると言われています。食後のフルーツには、酵素をとるという大切な役割があるんですよ。」(鶴見先生)
酵素は、とり過ぎたからといって体に悪影響を及ぼすことはなく、むしろ、とればとるほど良いのだそう。しかし、熱に弱く、キウイに含まれるアクチニジン以外は、48℃で2時間、50℃で20分、53℃で20秒で、ダメになってしまうため、生で食べるのがベスト!
鶴見先生は「パインデトックス」という、食間や食後に生のパイナップルを食べることによって、たんぱく質の消化を促す健康食習慣を推奨しています。
「パインデトックス」のために実践したいレシピ3選
厚生労働省が発表した「2015年国民健康・栄養調査」では、20代~40代の半数以上が全くフルーツを摂取していないというデータが出ています! フルーツ離れが進んでいる、ということですね。
普段、あまりフルーツをとらない人の中には「どのようにフルーツを食べればよいのか」分からない人も多いはず。そこで料理研究家の関口絢子先生に、パイナップルを活用したレシピを教えていただきました。
朝食にオススメ! パインボウル
パイナップルの消化酵素だけでなく、バナナのビタミンB6、シリアルの食物繊維やビタミンを組み合わせたヘルシーな一品です。
材料(1人分)
- パイナップル1/3カット
- バナナ1本
- 豆乳ヨーグルト1/2カップ
- シリアル適量
- ミント3枚
つくり方
- 1.器にバナナを入れフォークの背でつぶす。パイナップルは半量を細かく刻み、残りはスライスする。
- 2.1のバナナにヨーグルト、刻んだパイナップルを入れて混ぜる。スライスしたパイナップルとシリアル、ミントをトッピングする。
昼食にオススメ! パインデトックスウォーター
消化を助けるしょうが、アンチエイジングやリラックス効果のあるバジルでさわやかな仕上がりに。しょうがは、ジンジャーシロップでもOK。バジル以外は、コンビニでも手に入るので外出先でも手軽につくることができます。
材料(1人分)
- パイナップル1/4カット
- しょうが1かけ
- バジル2~3枚
- ミネラルウォーター300ml
つくり方
大きめのガラスピッチャー(メイソンジャーやタンブラーでも可)に、適当な大きさに切った材料と水を入れる。
夕食にオススメ! パイナップルのグリーンソースがけ
たんぱく質を代謝するビタミンB6が豊富なクルミ、消化酵素を助けるパセリやニンニクで仕上げたグリーンソースを、パイナップルにかけました。肉料理などの添え物としてもオススメです。グリーンソースは、肉や魚にかけてもおいしくいただけます。
材料(1人分)
・パイナップル1/6カット
グリーンソース
・パセリ1枝(5g)
・クルミ3粒
・オリーブオイル大さじ1
・ニンニク1/4かけ
・塩少々
[つくり方]
- 1.パセリは茎をのぞいた葉の部分、クルミ、にんにくをまな板の上で細かく刻みながら全体を合わせ、包丁でたたく。オリーブオイル、塩を加えて混ぜる。
- 2.カットしたパイナップルの上にソースを乗せる。
セミナー終了後、3品とも試食させていただいたのですが、どれもパイナップルの甘さと酸味が生かされた味になっていて、とてもおいしかったです。特に「パイナップルのグリーンソースがけ」は今まで食べたことがなく、一口食べるまでは「ニンニクとパイナップルは合うのか?」と半信半疑でしたが、ソースの塩気がパイナップルの甘さを引き立てていて、クセになりそうな味わい!
とても簡単なレシピなので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
年末年始は外食の機会も増え、たんぱく質の摂取量も多くなる時期。みなさんもさっそく、「パインデトックス」を始めてみませんか?
文/FYTTE編集部