ポジティブ思考や自信家とも似ていて、誤解されがちな“自己肯定感”。心理カウンセラーの山根洋士さんは、自己肯定感とは「自分はありのままでいい、生きているだけで価値がある、という感覚」だと説明します。才能や自信とは別に、自己肯定感があるだけで生きやすくなりますね。今回は、山根さんの著書『「自己肯定感低めの人」のための本』(アスコム)から、自己肯定感とは本来どういうものかを見ていきましょう。
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自己肯定感は高めなくていい
ダイエットも仕事もうまくいかない、何をやっても続けられない…。そんなとき心のなかから「自分なんて…」という声が聞こえてくるよう。
自己肯定感が低い人は必要以上に自信をなくしたり、自分を責めたりしがちです。けれど無理に、自己肯定感を高める必要はありません。
「自己肯定感が低い人は高めようなんて思わなくていいんです。大事なのはいろんな悩みや問題に直面したときに、自分はそういうものだと納得できること。あなたに必要なのは自己肯定感よりも“自己納得感”です。よいも悪いも含めて今の自分にまず納得する、そうしないといつまでも悩みが解消されないのです」と山根さん。
できない自分も含めて、自分を受容することから始まります。
自己肯定感はどこからくる?
「自分なんて…」という経験をくり返すと自己肯定感はどんどん低くなります。じつはこの「なぜかできないこと」の裏側には、人の無意識が関係しています。
「人の行動の9割は無意識に行われているとされています。無意識にある心のクセが思考をネガティブにし、行動にさえブレーキをかけてしまいます。このメンタルのノイズが、いつの間にか発動して、あなたが意識していない行動を勝手に起こしてしまうのです」
「やせたい」と思っているのに、「やせないほうがいい」という無意識のノイズがある場合、やせられない現実が生まれます。この無意識に気づいていないと、「自分なんて」という感情のループが始まってしまうのです。
しかし、自分の心のクセを知り、ノイズがわかっていたら、自分を責める感情は湧いてこないのです。
メンタルノイズを知ろう
心のクセは誰もがあり、メンタルノイズも生きる過程で増えていくもの。
「頭と心、意識と無意識にあべこべが生じてしまうのは人の仕組み上、当たり前のことなのです」と山根さん。
「さまざまなノイズに気がつくと、自分で納得して、自分で決めている感覚を得られるようになります。自分でノイズに気がついて自分でどうするかを決める。そうすることで、『自分らしく生きている』 、『自分の人生を生きている』感覚になります。これがまさに自己肯定感です」
自分のノイズに気がつくだけで、自分を責めるループから抜け出せて、心がラクになっていくそう。それがまさに自己肯定感というべきもの。本来の「自己肯定感」が想像と違ったという人もいるかもしれませんね。
そして自己肯定感と深くかかわるメンタルノイズはいくつか種類があるといいます。次回は、このメンタルノイズについてもっと掘り下げていきましょう。
文/庄司真紀
参考書籍
『「自己肯定感低めの人」のための本』(アスコム)