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セルフケアにはリスクがあると知ることも大切
セルフケア派では、カミソリで剃毛する人も多いはず。自宅で気軽にできますが、それではダメでしょうか?
「アンダーヘアをカミソリで剃毛すると、皮膚が傷つきやすくなります。ですから、セルフケアはクリニックでの脱毛の前後の処理にとどめておくのが安心です。率直に言えば、カミソリで剃ってもすぐに毛は生えてきますし、生えてきた毛は毛先がチクチクして、パートナーと密着した際に肌を傷つけるおそれもあります。剃毛効果が持続しないわりに体にはリスクが高いことを理解しておいたほうがよいですね。
最近ではVIOゾーンの肌が傷つき、バリア機能が低下した状態で性行為を行うと、ヘルペスや梅毒、水いぼ(伝染性軟属腫)、尖圭コンジローマなどの性感染症にかかるリスクが高まる、という研究論文も発表されています。行為の直前に剃ることは避けましょう」(慶田先生)
ほかにもブラジリアンワックスで毛を抜く方法はいかがでしょうか?
「ブラジリアンワックスを使う場合は、毛を毛根から引きちぎる感じになります。すると、角層のバリアが一気に失われ、カミソリでの剃毛と同様に感染症のリスクが高まると同時に、毛乳頭の中にある毛細血管に傷がつき、炎症を起こす原因になります。毛穴の出口がふさがってしまい、生えてきた毛が中でとぐろを巻いたように伸びてしまう、埋没毛というトラブルも起こしやすくなります。
デリケートゾーンにできたおできを診察に来た患者さんで、よくみると毛穴の中に驚くほど長い毛が詰まっていた、というケースも多いですよ。
また、ワックスをして一時的に無毛になっても、毛包の中の、毛を作る機能は残ったままなので、しばらくするとまた生えてきます。お手入れの手間や痛みをガマンする苦しさの割には脱毛効果が長続きしない、といえると思います。
肌トラブルも心配です。剃毛やワックスに限らず、肌を傷つけるということはさまざまな病気やトラブルから体を守るための砦を失ってしまうということ。間違ったセルフケアで肌を傷つけるくらいなら、毛はボーボーのままのほうが安全のためにはいいかもしれません。脱毛効果や安全性を考えると、VIO脱毛は医療クリニックでのレーザー脱毛がベストだと思います。
女性のVIOゾーンは、膣から子宮・卵巣・腹膜までつながっており、内臓に直結するデリケートな部分です。皮膚科専門医が常駐する医療クリニックなら、脱毛前の診察で皮膚病のチェックもできるので安心できるのではないでしょうか」
皮膚科医の考えるVIOケアのメリット・デメリットをまとめると…?
慶田先生のお話によると、VIOケアについては、セルフケアさえ気をつければ圧倒的にメリットのほうが多いということになりますね。
【メリット】
〇ニオイが軽減する
〇清潔に保ちやすい
〇炎症を防ぎ肌荒れしにくくなる
〇妊娠出産時や介護時の衛生ケアなどが行いやすい
〇性生活が快適になりパートナーへの思いやりにもつながる
【デメリット】
×剃毛などで皮膚が傷ついた状態での性行為は性感染症のリスクが高まる
ただ、これまでお手入れをしていなかった人は、VIOケアにかかる時間や費用などはデメリットと感じるかもしれません。それについてはいかがでしょうか。
「美肌のためにエステに通いつづけることとは違って、クリニックでのVIO脱毛は5~8回ほどで毛が生えなくなり、いずれ終わりがやってくるもの。メリットを考えれば投資価値は大きいと思います」(慶田先生)
確かに一時的な投資の必要はありますが、今以上に体が清潔に保てたりファッションも自由に楽しめたりするのはとても魅力的です。次回からは、クリニックでの医療脱毛やセルフケアを行う場合の方法など、さらに具体的なVIOケアについて迫っていきます。これからの情報もぜひ参考にしてみてくださいね!
取材・文/牧内夕子 イラスト/黒川ゆかり