たんすのこやしを作らないための洋服の選び方シリーズ、第3回の今回は「ニット」の選び方についてスタイリストの筆者がお伝えします。自分にとってベストな適正量の見極め方に加え、ニットの意外な魅力についてもお話しします。
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ニットの適正量って?
ニットは、コートよりも多くの枚数持っている人がほとんどではないでしょうか。量があればあるほど、メンテナンスコストが高くなりますから、そんなにお金をかけられないという人は、この機会にホームクリーニング可のニットに変えていくことも、今後考えておくといいですよ。
それから、収納スペース。ニットは吊りではなく畳みでしまうものなので、例えせまいスペースであってもたくさん収納しやすくなりますが、ニットはぎゅうぎゅうにつめて収納してしまうと、虫害にあいやすくなりますし、毛が潰れて型崩れの原因にもなります。目安として、これまで5枚きっちりと入れていたスペースには、3枚程度を心がけて収納するのが望ましいです。
ちなみに、ニットは毎日同じものを着用することはおすすめしません。これもまた、傷みやすくなるからです。少なければ正解、ではないのがニット。1回着たら3日は休ませるということをルーティーンにしてください。このルーティーンを守る前提で、ニット以外の服も含めて1週間ローテーションするとしましょう。
例えば、
月曜/ニット<1>
火曜/ワンピース
水曜/スウェット
木曜/ニット<2>
金曜/チュニック
土曜/ニット<1>
日曜/長袖カットソー
この場合、ニットは最低2枚あれば事足りるということです。
ピリング(毛玉)処理にはホテルのアメニティの“シェーバー”、もしくはキッチンスポンジを使うのがおすすめ。失敗なく簡単にとれます。
意外! ニットはトレンドに左右されにくい
衣類全般、トレンドの影響をモロに受けやすいものですが、そんななかでニットはほかの衣類と比較すると、トレンドに左右されにくい洋服なんです。“上質なものを長く使う”この言葉がしっくりと合い、実際にそれが叶うのがニット。
トレンドが理由でたんすのこやしにはなりにくいため、ちょっとお値段が張るものも、時代を超えて長く愛用し続けることができます。高かったのに時代遅れになっちゃったと、いうことになりにくいのも、ニットの特徴なんです。
スタメンニットは、マメさで決まる
自分にとってスタメンニットはどれなのか。それは、自分のマメさがひとつの見極めになります。先ほど、ニットは毎日同じものを着続けるとよくないということをお話ししました。そのうえで、3枚のニットを着まわすとします。
マメさを3段階で表すと、最もマメではない人は、色形まったく同じニットを3枚そろえることが向いています。
ニットはピリング(毛玉)ができやすかったり、湿気などの外的トラブルにも合いやすかったり、収納の仕方が悪いと、伸び縮みという内的トラブルにもあいやすいデリケートな衣類。そのため、日頃の扱いにそれなりに気を使う必要性がありますし、ピリングの処理など日々のメンテナンスも欠かせません。こういったことに無頓着で、面倒という人、そもそもコーディネートに悩むのも面倒という人が、ニットのバリエーションを増やしたところで結局使わずに終わってしまいます。まったく同じニットを着まわすほうが、よほど理にかなっているのです。
マメさが標準の人は、デザインがまったく異なるニットをそろえる方法が向いています。最適な選び方として、スタメンコートに合わせてニットを選ぶとよいです。
ポイントは、袖幅! スタメンコートの袖幅がタイトなのに、ニットの袖幅がワイドなら、着づらいですよね。そこで、スタメンコートとの袖の相性をしっかり抑えておくことが、たんすのこやし化しないニット選びに欠かせない項目になります。
そして、最もマメな性格の人は、標準の方法に加えて同じ形のニットを色違いでそろえる方法も向いています。マメではない人が色違いで揃えても、そのうちの一枚しか使わず、ほかの色はたんすのこやしになりやすくなります。
これをこやしにしないのが、マメな人。小物でアレンジしたりするのが得意で、いわば自分に何が似合うのかをよくわかっている人。そこにセンスのよさ+マメさがあるからできるのです。
ついつい誰もがやってしまいがちな色違い買い。これが成功する人とは、情報に惑わされず、自分に似合うものを取捨選択できる人。もともとマメなおしゃれ上級者に限られます。
ぜひ一度ご自身のタイプを振り返りながら、ニット選びを心がけてみてくださいね。次回は冬の帽子についてお話します。