30代後半から女性に多く見られる婦人科系のお悩み。今や20代の若者世代も不調を訴える女性が増えています。その症状を少しでも軽くするために、いったいどんなケアをすればいいのでしょう? 一般的に美容や健康に役立つとされているお風呂が、じつは女性特有の悩みにも有効だそう。東京都市大学人間科学部教授で温泉療法専門医・医学博士の早坂信哉先生に、婦人科系の悩みに有効なお風呂の入り方を教えてもらいました。
Contents 目次
女性特有の悩み・症状別の入浴法3つ
「冷え性」が軽減するお風呂の入り方
多くの女性を悩ます冷え性。冷え性の人は手足が冷たくなり苦痛や不快につながります。日本人は、冷え性が多いのですが、「冷え」は東洋医学的な考え方で西洋医学的な概念にはありません。
つまり、驚くことに海外では「冷え」という概念がないそう。そのため、これは日本人特有の症状ともいわれています。
また、「女性のほうが『冷え』を訴えるのは、男性よりも筋肉量が少ないからといわれています。筋肉は、血流をよくして熱を作る働きがあります。現在、『冷え』は一般的に、『体に自覚的な冷えの苦痛がある』『体幹と末梢の温度差が大きい』『いったん冷えると体温の回復が遅い』などの症状があります」
冷え性を改善するには、温熱効果のあるお風呂(40度のお湯で約15分)で血流をよくしてあげることです。湯船に浸かる時間がないときは足浴や手浴などの部分浴(42度の少し熱めのお湯)がおすすめです。
【効果的な入り方】
寝る1~2時間ほど前に40度のお湯に約15分ほど浸かり、体をじっくり温めましょう。物足りない方は最後に42度の少し熱めで追い炊きをすると温まった感が得られます。
「生理痛・PMS」のときのお風呂の入り方
生理痛やPMS(月経前症候群)といった月経前後には、個人差がありますが、ホルモンバランスの崩れや、子宮内の膜が剥がれ落ちるときに生じる子宮の変化などで、頭痛や吐き気、イライラやうつ症状などが起こります。
月経前後の体調不良には、入浴の温熱効果で血流をよくして、リラックスすることで症状がやわらぎます。生理初日~2日目はシャワー程度で済ませ、3~4日目からは湯船に浸かって体を温めるのがポイントです。40度のお湯に15分浸かり、出る直前に42度のお湯で追い炊きをして下半身をしっかりと温めましょう。
また、生理中の入浴は、決してタブーではありません。生理中に痛みを感じる場合は、基本的に温めて血流を促すことで軽減していきます。ただし、出血が多い日は入浴を控え、シャワーや足湯を併用してムリのないリラックスできる方法を選んでくださいね。家族と同居している場合は、最後に入浴するようにするなどの工夫をしましょう。
「更年期障害」を軽くするお風呂の入り方
更年期障害は、主に女性が閉経前後に女性ホルモンのバランスが崩れることで、自律神経の働きが悪くなることから生じる障害です。個人差はありますが頭痛やめまい、肩こりなどの身体的な症状から、うつやイライラなどの精神的なものまで心身全般に現れます。もともとバランスが崩れている人は障害も大きく出るといわれています。
お風呂の活用法としては、40度のお湯に5分入浴→休憩→5分入浴→休憩→10分入浴と反復してくり返し入ることで、症状が緩和したという研究報告もあり、ふだんお風呂に入らない人なら1週間くらい継続すればその効果をより実感できると期待されます。更年期障害は自律神経の乱れからくるので、その働きを正常に戻すように、毎日決まった時間にお風呂に入り、しっかり睡眠をとるといった規則正しい生活を送ることも重要なポイントになります。