コロナ禍でおこもり時間やおうち時間が増えたことで、以前よりも自宅でゆっくりと湯船に浸かる機会が増えたという人も多いのではないでしょうか? 医学博士の早坂信哉先生によると、じつはコロナ流行後、入浴剤は売れ行きが伸びている商品のひとつと言われているそうです。そこで今回は、自宅で楽しみたい生薬や最近話題の炭酸系のものなど、いろいろな入浴剤について解説していただきました!
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身近な入浴剤「無機塩類系」とは?
みなさんは、入浴剤にどんな種類があるのか知っていますか? 入浴剤とひと口に言っても、無機塩類系、炭酸ガス系、生薬系、酵素系、清涼系、スキンケア系などその種類や効能はさまざま。ここでは、その中でもみなさんになじみ深い「無機塩類系」について早坂先生に教えていただきました。
「無機塩類系とは、簡単に言うと温泉に含まれているミネラル成分を入浴剤として使ったものです。具体的には、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウムなど。ドラッグストアなどで比較的安く売られている粉末系の入浴剤をイメージしていただくとわかりやすいと思います。最近では、“〇〇温泉の湯”と言った温泉の名前がついている入浴剤も無機塩類系であることが多いですね」(早坂先生)。
では無機塩類系の入浴剤にはいったいどんな効果があるのでしょう?
「基本的な作用としていちばん大きいのは保温効果です。塩類が皮膚をコーティングしてくれることによって、入浴後も体から水が蒸発するのを防ぎ、その結果湯冷めしにくくなるというわけです。一方で、海外の入浴剤では、たとえばエプソムソルトというものには硫酸マグネシウムが入っており、こちらも無機塩類系の入浴剤のひとつです。また、バスソルトや岩塩を使った入浴剤も無機塩類系になります」(早坂先生)。
このように、無機塩類系と言っても非常に幅広く、昔ながらの入浴剤もあればイマドキのオシャレなバスソルトまでさまざま! 早坂先生によると、入浴剤を選ぶときのポイントとして、できれば医薬部外品や浴用化粧料というような表示が出ているものが望ましいとのこと。これらのものであれば安心して使用できますし、体に対する効果も期待できるでしょう。
ヨモギやドクダミなどの生薬系入浴剤って?
続いては、生薬や薬草を使った入浴剤について。
「生薬のタイプの入浴剤は、独特な香りや生薬に含まれる成分によってさまざまな効果が期待されています。実際に研究が一部進んでいるものもあり、たとえば当帰、唐辛子、ウイキョウ、センキュウ、チンピ、ショウキョウといった生薬を入浴剤として使うことによって血行が促進したりするようです。また、生薬を使った場合は香りがありますので、これがいわゆるアロマの役目を果たすのではないでしょうか。こういった漢方薬のような市販品を使うという手もありますが、それ以外にも、生の草を乾かして使うという方法もあります。
たとえば、ヨモギは日本のハーブと言われ、昔からよく日本人が使っていたようです。ヨモギは皮膚の民間薬として知られていて、タンニンなどの成分が肌を引き締める収れん作用が皮膚疾患の改善に有効だと言われています。一般的には生のものよりも乾かして使うほうが薬湯としての効果が高くなると経験上言われているので、乾かして使っていただくといいのかなと思います。
ほかにも、十薬があると言われるドクダミにも皮膚の再生効果や殺菌作用などがあり、皮膚に使われる万能薬として使われてきたようですね。身近なものを使っていただくのはもちろん、ドラッグストアなどで売っている生薬を用いた入浴剤も、香りがよくて楽しめるのではないかなと思います!」(早坂先生)。
最近話題の炭酸系入浴剤! どんな効果があるの?
最後にご紹介するのは、炭酸系の入浴剤です。早坂先生によると、入浴剤の中でも炭酸系のものは、ここ数年市場の人気を締めているのだとか…!
「最近人気の高い炭酸系入浴剤は、炭酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウム(重曹)など炭酸塩と言われるものと、クエン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸と言われる有機酸類というものが組み合わさり配合されているものになります。水に溶け込んだ二酸化炭素が皮膚から吸収されて血管を広げる特徴があり、疲労回復や体への温熱効果が期待できます。お湯がぬるくても温かく感じるという特徴は、天然の炭酸泉でも同じです。炭酸は、皮膚にある暑さや寒さを感じるセンサーを狂わせることによって、ぬるくてもプラス1、2度は温かく感じるということなのです」(早坂先生)。
では、そんな炭酸系の入浴剤は天然の炭酸泉と同じような効能を持っているのでしょうか?
「やはり天然の炭酸泉と比べると入浴剤は少し効果がうすくなります。しかし、炭酸系入浴剤は少量でも水に溶かすことで血液の流れが1.5倍~2倍までに増えたり、睡眠の質が高くなったりといった調査研究もあります。自宅で炭酸泉を楽しむ場合には、こういった炭酸系の入浴剤を使ってみるという方法もひとつですし、クエン酸と重曹を混ぜてバスボムを手作りしてみるというのも楽しいかもしれませんね。
ちなみに、炭酸の泡が出ていないから効果がなくなるというわけではありませんが、通常溶かしてから2時間以内に湯船に入るようにするといいでしょう。それ以降になるとどんどん炭酸ガスが抜けていってしまうので、気をつけるようにしましょうね!」(早坂先生)。
体の疲労を改善したり、気持ちを落ちつかせたり、保湿や保温を促したり…いつものバスタイムをより快適な空間にするために、ぜひ自分にぴったりの入浴剤を見つけてみてくださいね!
【提供元:Voicy】
参考:入浴剤いろいろ 最近人気の炭酸系
そのほか、今回の記事参考元、「入浴剤いろいろ 自宅でも楽しみたい生薬系」「入浴剤いろいろ 無機塩類系」の放送を聞くには【Voicy】へ
文/FYTTE編集部