次世代新素材「ブリュード・プロテイン™」誕生から今に至るまで

注目の次世代新素材繊維とは、植物由来のたんぱく質素材「ブリュード・プロテイン™」。
開発は、2015年にスタート。この頃は、まだITとバイオの融合が始まったばかりでしたが、人間の産業界における廃棄が一般的なことを考えたときに、未来の可能性を感じたのが「ブリュード・プロテイン™」。
これから先、人間界も持続可能な生産、循環できるシステムを作っていかなければ、いつか追いつけなくなる日がくるだろうと感じ、バイオテクノロジーとコンピューターサイエンスを使って、自然界の生物の生産方法を真似する必要がある。そこで、地球が植物と動物、微生物で成り立っていることから、この植物と微生物の成分である炭水化物とたんぱく質に注目。研究・開発の末、生まれたのが、微生物の力を活用したたんぱく質素材である「ブリュード・プロテイン™」なのです。

「ブリュード・プロテイン™」素材の魅力

「ブリュード・プロテイン™」は、シルクのような光沢と繊細さをもつフィラメント糸です。さらに、上質でなめらかな肌ざわりのカシミヤや嵩高性（かさだかせい）にすぐれたウールのような紡績糸（ぼうせきいと）にも加工することができます。
今後、「ブリュード・プロテイン™」の生産規模が拡大していくと、例えば、高級獣毛でありながら、さまざまな環境リスクを指摘されているカシミヤ繊維と比較した場合、温室効果ガス排出量の大幅な縮小と、土地や水の使用量削減が見込まれます。
また、「ブリュード・プロテイン™」自体は、生分解性を有するため、現状問題になっている石油由来製品によるマイクロプラスティック排出の課題解決への貢献が見込めるなど、従来の動物由来、植物由来、合成素材に代わるソリューションを提供できる素材として、期待が寄せられています。

「ブリュード・プロテイン™」の可能性

微生物に作らせた技術は、まさに世界初！
すでに世界中の80社以上の企業と契約するほど、日本のみならず世界から注目されています。
「ブリュード・プロテイン™」は、ゴミにならず、作ったものは資源となります。これは自然界では当たり前のことですが、人間にとっては当たり前のことではなかったこと。
「ブリュード・プロテイン™」をきっかけに、これからは地球に還る成分でものを作るようにシフトチェンジする必要性の普及、加速した普及が期待されるよう、タイプラントでの原料生産量の規模も拡大し、量産体制での一般販売も実現しました。
まずは、「THE NORTH FACE（ザ・ノース・フェイス）」、「Goldwin（ゴールドウイン）」に加え、「nanamica（ナナミカ）」ほか２ブランドで一斉に、「ブリュード・プロテイン™」繊維を使用した新製品が、2023年秋に発売されます。

アイテムは、ジャケット、フットウエアなどさまざまなバリエーションで展開するとのこと。ぜひチェックしてみてくださいね。

【取材協力】ゴールドウイン

取材・文／高田空人衣