12月22日は、1年でもっとも日照時間が短くなる「冬至」。昔から、冬至にゆずを浮かべた「ゆず湯」に入るとかぜをひかない、とされてきました。単なる迷信かと思いきや、健康や美を支えてくれるパワーがたくさん詰まっているのです。ゆず湯のうれしい効果について、国際医療福祉大学大学院教授の前田眞治先生にお伺いしました。
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さわやかな香りが消費カロリーアップの源!
ゆず湯のうれしい効能として第一にあげられるのが、入浴時の消費カロリーアップ です。
「ゆずの果皮に含まれる〝リモネン″がお湯に溶け出して肌に作用すると、血管が拡張し、多くの血液が体中に流れます。お湯の熱が血液に伝わり、たくさん運ばれる結果、体温が上昇します。人間は体温が上がると、その分、熱を外に出して体温を下げようとしますから、全身の血液循環がよくなり、通常の入浴よりもカロリーを消費するのです」(前田先生)
〝リモネン″は、ゆず湯のさわやかな香りのもととなる成分。リラックス効果も抜群ですが、消費カロリーを増やす効果にもすぐれていたんですね!
全身に血液が巡り、汗も大量にかきますからこまめに水分を補給することも忘れないようにしましょう。
肌が健康に生まれ変わる美肌効果も!
リモネンによる血行促進作用は、消費カロリーを増やすだけではなく、美肌づくりにも効果的なのだとか。
「ゆず湯に浸かっている肌の血行がよくなると、いわゆる〝デトックス″が起こります。肌近辺にたまった老廃物が洗い流されるのです。そのぶん新しい皮膚のもとになるたんぱく質や酸素が供給され、肌がリフレッシュ。良質な皮膚再生の素材が多く体内に存在することは、より健やかな肌がつくられることにつながります」(前田先生)
ゆず湯の消費カロリーアップ&美肌効果を高めるポイントとは?
ゆず湯のうれしい入浴効果を高めるには、ただゆずをお風呂に浮かべればいい、というわけではありません。
「リモネンは果肉ではなく、果皮に含まれています。そこで皮をむいて、皮だけをネットなどに入れるといいでしょう。
リモネンは〝精油成分″と呼ばれる油ですから、やや高い温度のお湯に長い時間触れさせておくことで溶け出しやすくなります。そのため、浴槽にお湯を貯める段階から果皮を入れておくと効果的。さらに入浴中には、ネットごしに果皮をお湯の中で揉むようにしましょう」(前田先生)
入浴後はリモネンが肌に付着しているため、湯冷めもしにくくなるそう。一番風呂以降の方は、新たに果皮を追加するのがおすすめです。
また、血行促進効果の高いゆず湯には、注意すべき点もあります。
「ゆず湯は水道水だけのお湯よりも早く、体温上昇がもたらされます。水道水を41℃にしたお風呂に15分入浴すると、体温上昇は1℃程度ですが、ゆず湯は1.5℃。0.5℃の違いが体に負担をかけ、つらいと感じる方もいらっしゃいますので、額に大粒の汗をかいたくらいで我慢をせずに湯船から出るのがいいでしょう。41℃のゆず湯なら、10~15分が目安です」(前田先生)
冬至だけの入浴ではもったいなさすぎる、ゆず湯の健康パワーを、この冬はたくさん活用してみてはいかがでしょうか?
文/本間美加子