春が来たかと思えば季節はずれの雪が降ったり、真冬に初夏のような暖かい日がやってきたり、いつのまにか日本の四季に応じたファッションの楽しみ方のハードルも上がっています。ひと昔前、オシャレに興味がある人なら誰もがやっていた“季節先取り”の買いものをしても、結局着る機会に恵まれずそのまま…なんてことが起きていませんか? このように、先取り買いというのは、今の時代に合わなくなってきているのです。しかし、季節の変わり目は、誰もが毎年のように経験しているのにもかかわらず、毎年「着るものがない」という状態になりがちですよね。着るものがないスパイラルに陥ることなく、季節の変わり目にムダ使いで終わる“先取り買い”をすることもなく乗り越える方法を、スタイリストの筆者がお話します。
Contents 目次
固定概念を取り払おう
「3月だから、ブーツを履くのは変ですか?」「4月だから、コートを着たら変ですか?」これは、わたしが毎年必ず複数のお客さまから聞かれることです。
Tシャツは夏に着るもの、ニットは冬に着るものというように、無意識のうちに自分のなかで“季節ごとに着ていいもの制限”をつけているという人は非常に多いです。
これが今の時代の気候のなかで、自分を必要以上に悩ませる原因となってしまっています。
異常気象が当たり前になってきている今、「この季節にこれを着てはいけない」「この季節にこれを着ると変な目で見られる」なんてことは決してありません。
4月であろうと雪が降ったり寒かったらガマンしないで、ダウンコートを着ればいいのです。2月でもゴールデンウィーク前の気温になる時代です。暑かったらガマンしないで、コートを脱いでTシャツ姿になればいいのです。
海外旅行へ行ったことがない人は、日本とはまったく異なる気候の国や、日本と真逆の気候になる国へ行くときっと気づくはずです。海外の人たちは、もっと自分の体感に正直。この季節にこれを着たら変か、なんてことを気にする人がほとんどいないことに気づかされるでしょう。
“今、この瞬間”に徹底フィット
まずは、毎年着ないままたまっている“先取り服”たちを使ってコーディネートが完結するように、努めてみてください。そのためには“今の自分の体感”をしっかり感じることです。
例えば、春に感じやすい「春色の服が着たい」という気持ちにフィットする服。長年買い続けた先取り服のなかに、ひとつもまぎれ込んでいないわけはないでしょう。
見つけたその先取り服を見て「この色は今の気分じゃない」のなら、それは即刻捨てること。そのままためても「何を着ればいいの?」を毎年くり返す材料にしかなりません。
そして、今の気分に合う春色の服をすぐ見つけに行って、それを着てください。「すぐに着ない」なら不要。「もう少し暖かくなったら着よう」も不要です。
“今、この瞬間”に合うものだけ買って、着る。これが、これからのオシャレの基本です。