「風邪をひいたときは、お風呂に入ると悪化する」と聞いたことはありませんか? じつは風邪をひいたときのお風呂問題は、医師も悩む問題だといいます。そこで今回は、『お風呂研究20年、3万人を調査した医者が考案 最高の入浴法』の著者で医学博士の早坂信哉さんに、風邪をひいたときに有効なお風呂の入り方を教えていただきました。
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住宅事情の変化で、お風呂に入ってもOKに?
風邪をひいたときは、お風呂に入ったほうがいいのか、入らないほうがいいのか、じつは医者によっても二分するというこの問題。どちらのほうが直りが早いのでしょう?
「2000年に発表された小児科医に対する調査では、『風邪のときに入浴してもいい』という肯定派は88%、『入らないほうがいい』という否定派は12%でした。入浴の専門家としては、『基本的に入ってOK』です。
昔は、『風邪のときはお風呂に入らないほうがいい』とされていましたが、じつはこれは一般家庭にまだお風呂が普及されていない時代の話です。一般家庭にお風呂が普及したのは1960年代以降です。それ以前、多くの人々は銭湯を利用していました。そのため、とくに秋〜冬の夜道は冷え、入浴後に湯冷めすることも多かったため、『風邪のときはお風呂に入らないほうがいい』といわれるようになったのです。しかし、住宅事情が変わった現在では、家で湯冷めする可能性はなくなったので、基本的に風邪のときに入浴しても大丈夫です。逆に、入浴したほうが風邪ウイルスを撃退してくれる場合もあります」
風邪を早く治してくれるお風呂の入り方とは?
「私たちが風邪をひくのは、『ウイルス』に感染するからですが、このウイルスをやっつけてくれるのが体内の『免疫システム』です。ウイルスは高温に弱いので、免疫システムは体の温度を温めてウイルスを攻撃します。これが風邪のときの発熱の原理です。
そのため、お風呂の作用で体温が上がれば、ウイルスにとって好ましい環境ではなくなり、また免疫物質も働くようにもなります。さらに、風邪のウイルスは湿気に弱いので、浴室の湯気や蒸気といった環境がウイルスを弱らせ、のどや鼻の不快な症状も緩和しやすくなります。
ただし、体温が37.5℃以上の高温の場合は、体力が低下しているので、入浴は控えたほうが無難です。37.5℃以下の微熱で、体調がそれほど悪くない場合に限り、40℃ほどのお湯にサッと入り、入浴後は湯冷めしないようにすぐに布団に入りましょう」
参考書籍
『お風呂研究20年、3万人を調査した医者が考案 最高の入浴法』
文/奥沢ナツ