考えてみると、家でも学校でもきちんと教えてもらった覚えがないデリケートゾーンの洗い方。なんとなく洗ってはいるけれど、これが正解なのかといわれると、自信が持てない人が多いはず。そこで、正しいデリケートゾーンの洗い方を、専門医であるパークサイド広尾レディスクリニックの風本真希先生に伺ってきました。
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デリケートゾーンのニオイやムレ、かゆみといった女性特有の悩み。これらを解消するのには清潔に保つのが一番ですが、実は誰にもちゃんとした洗い方を教わっていないという人が多いのが現状です。ひだや隆起など複雑な形状をしている女性のデリケートゾーンをしっかりケアするためにも、正しい洗い方を知っておきましょう。
正しい洗い方ポイント
弱酸性の洗浄剤をしっかり泡立てる
「女性の性器は、太ももの付け根の内側にある外側の大陰唇と、その内側にある小陰唇があり、小陰唇の中は口の中と同様の粘膜になっています。そのため、粘膜もあるデリケートゾーンは刺激が少ない弱酸性や、低刺激性の石けんや洗浄剤を使いましょう。そして、顔を洗うときと同様に石けんや洗浄剤をしっかり泡立て、指の腹を使って、泡で優しく洗うようにします。
丁寧に毎日洗っているのにニオイが気になる人や、かゆみを引き起こすカンジダ膣炎に繰り返しかかる人は、抗真菌成分配合のデリケートゾーン専用の石けんが市販されているので、それらを選ぶのもいいかもしれません」(風本先生)
基本は前から後へ洗う
「トイレでお尻を拭くときと同様に、大腸菌などの雑菌が膣内に入らないように前から後ろに、陰毛、デリケートゾーン、肛門の順で洗うのが重要です。特にデリケートゾーンは、大陰唇と小陰唇の間のひだに恥垢(ちこう)と呼ばれる尿や膣からの分泌物のかたまりがたまりやすいので、指の腹を使い、傷をつけないよう優しく泡で洗いましょう。このとき小陰唇の膣側は、粘膜なので石鹸で洗う必要はありません。お湯で優しく流すだけで十分です。」(風本先生)
どこまで洗う?問題
「ニオイなどを気にするあまり、中には膣の中にまで指を入れて洗ってしまう人がいますが、それは絶対にやめましょう。膣内は、雑菌の侵入や繁殖を防ぐためにデーデルライン桿菌(かんきん)という常在菌によって酸性に保たれています。そこを石けんなどで膣の中まで洗ってしまうと酸性が保てなくなり、雑菌が繁殖しやすくなって膣炎などにかかりやすくなってしまいます。生理の終わりかけなどのデリケートゾーンのニオイを気にして、精製水で膣内を洗い流すビデなどもありますが、膣内の常在菌のバランスが崩れてしまうため、あまりおすすめしません。毎日、きちんと洗っているのに、トイレなどで下着をおろした途端に強いニオイや魚臭いニオイを感じたり、パートナーなどにニオイを指摘されたという人は、一度婦人科を受診してみることをおすすめします」(風本先生)
洗いすぎると黒ずむので注意
「デリケートゾーンをキレイにしたいあまり、ゴシゴシと力任せに洗うのも厳禁です。どこの部位でもゴシゴシ洗いすぎては皮膚が黒ずんでしまいます。とても繊細な部位だけに、手で優しく洗ってあげましょう。また、下着の締めつけなども黒ずみの原因になるので、締めつけ感がないサイズで、コットンやシルクなど肌への刺激が少なく、通気性のいいものを選びましょう。」(風本先生)
以上のように、洗い方などにいくつかの注意点はありますが、だからといって神経質になりすぎる必要はなく、やり方も難しいものではありません。これを機会に、改めてデリケートゾーンのケア方法を見直してみてはいかがでしょう。
いろいろあるデリケートゾーン専用石けん
抗菌しながらやさしく洗う泡石鹸
「コラージュフルフル泡石鹸[ピンク]」(メーカー希望小売価格(税抜)150ml ¥1800、300ml ¥2300/持田ヘルスケア)
デリケートゾーンの汚れやニオイはもちろん、肌トラブルの原因になる細菌やカビをW抗菌できる薬用抗菌石けん。ワンプッシュでクリーミーな泡が出てくるので、泡立てる必要がなく、手軽に使えるのも魅力です。
世界で愛されるフェミニンウォッシュ
「ラクタシード® オールデイ ケア」メーカー希望小売価格250ml ¥907(税抜)/サノフィ
ラクタシード®は、現在、世界29か国で販売されています。天然ミルク由来の保湿成分である乳清(ホエイ)と乳酸を配合。フェミニンゾーンに隣接している膣内のpH値を考慮したpH3.8付近に調整されています。フランス生まれの液体ソープタイプで、華やかな甘い香りが特徴です。
肌本来の自浄作用を損なうことなく清潔に
「インティマ D」実勢価格200ml ¥750(税抜)/アイケイ
ポーランド生まれのデリケートゾーン用ウォッシュジェル。ヨーロッパでは、「インティメイトケア」と呼ばれ、習慣になっているデリケートゾーンのケア。アルカリ性のボディソープと違い、デリケートゾーンのph値に合わせた弱酸性で作られています。
取材・文/奥沢ナツ 写真(イメージ)/ⓒvarts-fotolia.com