美肌のためなら、「これは効く!」といわれるアイテムやケア法をつい試してみたくなるけれど、じつは、それが逆効果になっていることも。『女医が教える、やってはいけない美容法33』の著書を持つ皮膚科医で銀座ケイスキンクリニック院長の慶田朋子先生に、間違い保湿ケアについてうかがいました。
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保湿の役割、知っていますか?
保湿は、美肌におけるとても重要な要素です。正しい保湿ケアについて、おさらいしてみましょう。
保湿というと、「化粧水で肌に水分を与える」というイメージを持っている人も多いかもしれませんが、それは間違い。
「肌にとって保湿とは、セラミドやアミノ酸などの保湿因子を与えたり、クリームなどで覆って水分の蒸発を防ぐことで、化粧水で水分を与えることではありません」と慶田先生。
肌の角層には、角質細胞が並び、その間を細胞間脂質が埋めています。この細胞間脂質こそが肌内部の水分を保持する“保湿因子”で、セラミドが半分を占めています。
「しかし、クレンジングや洗顔で、どうしても細胞間脂質が流れ出してしまうため、細胞間脂質が元の状態に戻るまでの間、代わりに肌を守ってくれる保湿成分を保湿剤で補うことが大事で、それが保湿ケアの役割なのです」(慶田先生)
化粧水の使い方を間違えると乾燥肌に
そこで、水分を与える=保湿ケアという勘違いが、間違いケアのもとになります。
■NGケア その1:シートパックで肌荒れ?
顔型のシートに化粧水がひたひたに含まれたシートパック。顔にのせただけで、うるおいが吸い込まれていくような気がして、気持ちいいものですが、使い方を間違えるとNGケアになってしまいます。
「シートマスクを顔にのせる時間は5~15分間。肌はぬれると角層の保湿因子が流れ出す性質があるため、シートパックをのせる時間が長いほど、肌の乾燥を招く一因になります。化粧水をコットンに含ませた“化粧水パック”も同様です。そればかりか、シートマスクに含まれる“防腐剤”や類似成分で肌荒れを起こすことも。肌の弱い人は避けたほうが無難です。肌の丈夫な人であれば、ときどき使うぶんには問題ありません。個包装のものを使うようにしましょう」(慶田先生)
シートパックは浸透率がよく、化粧のりがよくなる効果があるので、ここぞというときのスペシャルアイテムとして活用したいですね。
■NGケア その2:化粧水パッティングは肌への刺激に
化粧水を含ませたコットンで肌をパッティングすると、肌の奥までうるおい、毛穴が引き締まる―――という説もありますが、これも間違いです。
「コットン表面の細かい繊維をこすりつけるという行為は、肌にとっては刺激です。シートパックと同じで、肌がぬれた状態が長く続くことで、うるおいが逃げ出し、肌も乾きやすくなってしまいます」(慶田先生)
保湿の観点からすれば、保湿成分と油分の入ったクリームを塗ればOKで、化粧水は必ずしも必要なものではないそうです。でも、化粧水には、みずみずしい使用感でつけたときに心地いい、角質をやわらかくして、クリームののびがよくなるなど、さまざまなメリットもあり、やはり手放せないアイテムといえます。
「化粧水を使うときは、両手にとってやさしく肌になじませましょう。その後で、美容液、乳液、クリームなどを塗り、うるおいが逃げない肌に仕上げることを忘れずに」(慶田先生)
取材・文/海老根祐子
もっとくわしく先生の美容法が知りたい人はこちら
『女医が教える、やってはいけない美容法』(小学館)