小さいころは、よくかむことであごがしっかりとするといわれます。大人でも、かんで口もとをエクササイズすることで小顔につながるといわれることも。そんなか、むことの効果は単に口もとの筋肉ばかりでなく、あごの形そのものを変える効果もあるよう。東京医科歯科大学の研究グループが報告しました。
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かむことでどんな変化が?
あごのまわりのたるみをどうにかしたい。丸顔ではなく、締まった口もとにしたい。そんなふうに思って、ふだんから口もとのエクササイズをしたり、マッサージをしたりしている人も多いかもしれません。では、本当にそうした口もとを動かすことは顔の形を変えてくれるのでしょうか。
東京医科歯科大学の研究グループが注目しているのは、あごの骨の形が咀嚼によってどう変わっていくのか。骨は一度できるとそのまま変化しないわけではありません。一生を通じて、骨は新しく生まれ変わり、再構築を続けてきます。これまでの研究によって、食べ物をかむことで、あごの骨が変化することはわかっていました。研究グループは動物実験を行い、咀嚼の力によってあごが変化するメカニズムについてさらに詳細に調べたのです。
咀嚼の影響であごの骨は変わる
そうしてわかったのは、かむことでやはりあごの骨の形が変化していくこと。しかも、変化をするときに、あごの筋肉が幅広くなったり、脳の活性化が起こったりするほか、あごの骨を作る細胞レベルで、成長因子が増える変化を起こすということも明らかに。単純にかむときにあごにかかる力があごの骨を変えるばかりではなく、さまざまな変化が起きるということがわかったのです。
研究グループはこうした細胞の機能も含めた変化によって、顔の形を変えるような変化が起こってくると指摘しています。あくまで医学的な研究ではありますが、あごを使うときに体に変化が起きていることを裏づける発見です。口もとのエクササイズやマッサージをするときには、こんな研究について知っておいても損はないのかもしれません。
<参考文献>
Sci Rep. 2019 Mar 20;9(1):4404. doi: 10.1038/s41598-019-40463-3.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30890758
“Hard food, strong jaw: jawbone structure responds to forceful chewing”
http://www.tmd.ac.jp/english/press-release/20190320_1/index.html