美しい体を手に入れるため、もしくは美容のために「プロテイン」を摂取する人が増えています。ですが、その役割を正しく理解できている人は意外と少ないはず。そこで今回は「プロテイン」の知識と、同じく体づくりに役立つ「アミノ酸」や「ペプチド」についてコンディショニング・トレーナーの桑原弘樹先生にお話を伺いました。
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プロテインの上手な使い方は?
「プロテイン」は、高たんぱく低脂質の食品。この低脂質というのがポイントで、たんぱく質はもちろん他の食品からも補うことができるのですが、その多くはたんぱく質だけでなく脂質がセットでついてきます。例えば高たんぱく・低脂質に見える納豆でさえ、エネルギー比ではたんぱく質よりも脂質の方が多く含まれているのです。
「日常生活の中でたんぱく質だけをとるという行為は非常に難しく、ボディビルダーや一部のアスリートはとても苦労しています。鶏のササミを調理したり、ノンオイルのツナ缶を利用したり……。そういう意味では、シェイクして飲むだけの『プロテイン』は楽にたんぱく質だけをとれるので便利です」(桑原先生)
「プロテイン(たんぱく質)」は筋肉を増やすためのものというイメージが強いですが、他にも、髪の毛や皮膚、血液、内臓などをつくる材料でもあるのです。ちなみに皮膚をつくっている主たる材料は、コラーゲンという名前のたんぱく質。
「意外に思うかもしれませんが、年齢を重ねれば重ねるほど体の中で必要となるたんぱく質の量は増えていきます。特に高齢者になると食も細くなるので、たんぱく質不足が原因で体を弱らせてしまうことにも繋がります。そんなときにもプロテインの活用がオススメです」(桑原先生)
1日に必要なたんぱく質の摂取量は、体重1kgに対して、最低1g以上が理想だと言われています。例えば体重が50kgの場合、1日に最低50g以上のたんぱく質を補う必要があるということ。その量が満たされていないと、体の材料も不足しがちに。
日頃からトレーニングやランニングなどの運動をしている人は、その量が1.5~2倍必要になってきます。体重が50kgの場合、1日に100g程度摂取しなければいけません。
ただし、やみくもにたくさんとれば良いということではなく、たんぱく質はいちどに利用される上限があって、一般的には一度に20g程度しか体内で利用することができません。さらに注意が必要なのは、「プロテイン」にも純度があるということ。例えば20gの「プロテイン」を飲んだとしても、20gすべてがたんぱく質というわけではありません。これは他の食品でも同じこと。
たんぱく質は20種類の「アミノ酸」でつくられている
では「アミノ酸」とはどんな物質なのでしょう?
「体をつくっているたんぱく質は、20種類の『アミノ酸』でつくられています。前述のように、髪の毛や皮膚、血液、内臓などは全てたんぱく質が原料となっているのですが、『アミノ酸』の配列や長さが変わることで、髪の毛になったり血液になったり……いろいろな部位に変化しているのです」(桑原先生)
この20種類の「アミノ酸」のうち、9種類は体内でつくることができません。これを必須アミノ酸と呼んでいます。20種類の『アミノ酸』を全て摂取した場合と、9種類の必須アミノ酸のみを同じ量摂取した場合、どちらが筋肉の修復が早いと思いますか?
正解は、9種類。
「体内に入った『プロテイン』(たんぱく質)は、まず『アミノ酸』に分解されるのですが、例えばホエイプロテインを飲んだとすると、消化されて血液の中でピークを迎えるのに2時間ぐらいかかるのです。一方、9種類の『アミノ酸』を飲んだ場合は、空腹時の場合は20分ぐらいで濃度があがっていきます」(桑原先生)
「プロテイン」は栄養を補うために、筋肉を早く修復して運動のパフォーマンスを上げたいときには必須アミノ酸を補うのが最適なようです。
たんぱく質でもない、アミノ酸でもないのがペプチド
最後に教えて頂くのは「ペプチド」。
「アミノ酸」がいくつかつながったものを「ペプチド」と言います。明確な決まりはないのですが、「アミノ酸」が100個以上つながっているものをたんぱく質、2~99個つながっているものを「ペプチド」と呼んでいます。
たんぱく質と同じように栄養を補うという役割を持つほか、一部のペプチドには疲労を回復させる、免疫力を高めるといった機能的な役割をも持っているのが特徴です。
「『プロテイン』や『アミノ酸』、『ペプチド』は、体をつくる上で大切な物質。これらをどういう目的で摂取しているのか、どうやって使い分けるのか、ということを理解しておくこと、ボディメイクやスポーツをする上で役に立つはずです」(桑原先生)
文/FYTTE編集部