ウォーキングやサイクリングの健康効果はよく知られています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のこともあり自転車の利用が増えているよう。徒歩や自転車の利用が増えると、自動車に乗らず排気ガス削減につながって環境にも体にもいい、一石二鳥といわれることも。ただ、運動が増えると食べる量が増えて、環境という面では、こうした影響で「温室効果ガス」が増える可能性もあるそうです。
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運動すると環境にいい?
日本でもレンタルサイクルの利用が広がっているなど、自転車での通勤をする人は増えているよう。各種の国の調査でも自転車利用の増加が報告されてきました。最近はブームを超えて定着してきたといっていいのかもしれません。
ウォーキングやサイクリングを含めて運動すると、エネルギー消費量は増えます。ダイエットにつながるとも期待されますが、食べる量が増える面もあり、長期的な効果は不明な点もあるよう。食べる量が増えることで、環境への負荷も増えるという考え方もあるようです。先進国であるほどこうした運動に伴う食べる量が増える影響は大きくなることがわかっているといいます。
このたびニュージーランド、オタゴ大学の研究グループは、運動して食べる量が増えた影響を踏まえて、どれくらい温室効果ガスが増えるのか分析しています。具体的には、過去のさまざまな研究データを使って、1kmを徒歩や自転車で移動したときに、ふだんの1日の生活で消費する平均的なエネルギー(カロリー)に比べてどれくらい消費量が増えるか、さらに、増えたエネルギー消費の増加分から温室効果ガス排出量がどれくらい増えたのかを計算しました。
食べる量が増えて環境にも影響あり
わかったのは、運動によって消費したエネルギーを食べもので補うとすると、温室効果ガスが無視できないほど増えそうだということです。
研究グループによると、運動によってエネルギーを補うとすると、排出される二酸化炭素の量は徒歩であれば1km当たり先進国だと最大0.26 kg、自転車はそのおよそ半分となりました。自動車では1 kmあたり0.08〜0.21 kgなので、少なくありません。研究グループは加工肉や肉類を減らして、野菜・果物、豆類、全粒穀物を増やせば、環境にも体にもよさそうと提案しています。
今回の研究は環境面での影響を調べた研究ですが、たしかに運動後はかえって食べ過ぎてしまう心配もあります。ダイエットやフィットネスではあらためて意識するのは大切なのでしょう。
<参考文献>
Fuel walking and cycling with low carbon diets, researchers say
https://www.otago.ac.nz/news/news/releases/otago738315.html
Fuelling walking and cycling: human powered locomotion is associated with non-negligible greenhouse gas emissions
https://www.nature.com/articles/s41598-020-66170-y