ファストフードやお菓子などは、ダイエットを考えるとできるだけ避けるべき食品とわかっていても、どうしても手が伸びてしまう人もいるかもしれません。糖分や油を多く含み、カロリーも高い食品は健康にも好ましくないのに、食べるとおいしく感じてしまうのはなぜでしょう。海外の研究によると、油の味をおいしく感じる理由には遺伝も関係あるそう。注意するきっかけにするとよいかもしれません。
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味覚や嗜好は遺伝と関係?
新型コロナウイルス感染症の発生で外出自粛となり、自宅で食事をとる機会が増えたという人もいるでしょう。実際にライフスケープマーケティングの調査によると、日本では2月くらいから昼食や夕食を中心に家庭内で食事をする人が増加しているそう。野菜をたくさんとったり、塩分を抑えたり、健康に気を遣っている人もいるでしょう。
ただ、ファストフードで済ませたり、お菓子につい手が伸びたりしているという人がいたら要注意。糖分や脂肪をとり過ぎてカロリー過多になり、肥満に直結する恐れもあるからです。そうした背景には脂肪好きの遺伝子の存在があるのかもしれません。
米国ペンシルベニア州立大学などの研究グループが脂肪の好きな人とそうでもない人との間に遺伝的な違いがあるのかを分析しています。一卵性双生児と二卵性双生児を対象として、ポテトチップスの脂肪の味をどう感じるのか、またそれらがどれくらい好きであるのかを調べて、遺伝的な特徴と比較したのです。
同じ双子でも一卵性と二卵性では差がある
ここから見えてきたのが、ポテトチップスの脂肪の感じ方は遺伝の影響で変わってくる可能性がありそうだということです。同じ双子でも一卵性双生児は脂肪の味を同じように感じる傾向があったのですが、二卵性双生児は、互いに感じ方に違いがあるとわかりました。それは一卵性双生児が遺伝的に近いためだと考えられます。実際に遺伝子のパターンも調べると、脂肪の感じ方に関係する遺伝子があるとわかりました。
研究グループはこうした結果から、生まれつき脂肪を多く含んだ食品の味を好きだと感じる人、逆に脂肪が少ない食品の味を好きだと感じる人がそれぞれいるようだと指摘します。脂肪好きに生まれた人は、肥満につながりやすいので要注意というわけです。研究グループは今回ポテトチップスで調べましたが、ピザやマフィン、アイスクリームでも調べる計画だそう。研究グループによると、人は好きなものを多く食べたがるというよりも、嫌いなものを避けるという面のほうが大きいと指摘します。脂肪好きなうえ、脂肪が少ないものを避ける傾向があるとしたら要注意。意識的に脂肪の少ないものを選ぶような工夫を考えるとダイエットにもフィットネスにもよさそうです。
<参考文献>
「新型コロナウイルスの食卓影響にみる”課題と兆し”」(ライフスケープマーケティング)
https://www.lifescape-m.co.jp/topics/news/articles/000571.shtml
Perceiving the Flavor of Fat: A Monell Center Twins Study
http://www.monell.org/news/news_releases/fat_perception_individual_genetic_variation_food_liking_twin_research
Lin C, Colquitt L, Wise P, et al. Studies of human twins reveal genetic variation that affects dietary fat perception [published online ahead of print, 2020 Jun 9]. Chem Senses. 2020;45(6):467-481. doi:10.1093/chemse/bjaa036
http://dx.doi.org/10.1093/chemse/bjaa036
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32516399/