テレビを見ながら食事をしている人にはドキッとする話かもしれません。このたび英国から、食事中にほかのことに意識がいっていると、満腹感がわからなくなり食べ過ぎてしまうことが報告されています。習慣になってしまっている人は注意したほうがよさそうです。
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英国人120人を対象に調査
テレビを見ながら食事をするのはよくないとは言われますが、意識がテレビに向いてしまって、食事に集中しないとついつい食べ過ぎてしまうとされます。これは実際にダイエットに好ましくない影響があるのでしょうか。
このたび英国サセックス大学の研究グループは、「選択的注意」のメカニズムが満腹感と関連しているのかを調べています。これまでの研究によると、脳には重要な情報だけを選んで注意を向ける機能があるそう。これは「選択的注意」と呼ばれており、テレビに注目すると、食事の意識が低下してしまう可能性が考えられます。
研究グループは、対象者120人に満腹感が得られにくい飲みもの(75kcal)、あるいは満腹感が得られやすい飲みもの(272kcal+飲み応えあり)をとってもらいながら、それと同時に脳を働かせる必要のある「知覚的負荷」が高い作業、または低い作業を行ってもらい、さらにその後、おやつをとってもらっています。
食事に集中していないと食べ過ぎてしまう
今回の研究結果から、食事に意識が向いていないと、満腹感が得られにくいことがわかりました。
選択的注意が食事以外に向けられることで満腹感がとり除かれていたのです。知覚的負荷の高い作業に没頭していた人は、いずれの飲みものの場合でも、その後、ほぼ同量のポテトチップスを消費していました。しかし、知覚的負荷が低めの作業を行った人では、どちらの飲みものを飲んだかでおやつの量を調節していました。カロリーの高い飲みものを飲んだあとは、カロリーの低い飲みものを飲んだあとに比べて、ポテトチップスを食べる量を45%も減らしていました。知覚的負荷と満腹感との関係が実験からたしかに確認されたのです。
研究グループは、これは健康的な体重を維持したいと考える人にとってはとても重要な結果だと説明。「たとえばサスペンスやミステリー系、音楽や映像がにぎやかな映画など、没頭してしまうようなものを習慣的に食事中に見ていれば、満腹感に気づいていないことがある」と注意を促します。これはビデオゲームでも同じだそう。
研究グループによると「満腹感には、食べものの食感や見た目のほか、その食べものでどれくらいお腹がいっぱいになるかを予測することが影響する」と説明。さらに、「今回の結果から脳が処理する知覚的な情報も満腹感に影響する」と言います。テレビやゲームを楽しむのは、やはり食事時間以外にしておいたほうがよさそうです。
<参考文献>
TV-watching snackers beware: you won’t notice you’re full if your attention is elsewhere
https://www.sussex.ac.uk/news/research?id=52535
Ingested but not perceived: Response to satiety cues disrupted by perceptual load
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0195666320302919