体重を減らすためにふだんの食事に気を遣うのは当たり前。炭水化物や脂肪をとり過ぎず、カロリーを抑える。このほか栄養のバランスにも配慮するなど、やれることはさまざまです。そうしたなかで海外の研究では、脂肪の一種である「リポ酸」の補充が体重を減らすうえでは効果的という研究結果が報告されました。その実力とは?
Contents 目次
リポ酸をとるとやせる?
リポ酸はチオクト酸またはα-リポ酸とも呼ばれ、人の体内でも合成されている化学物質です。細胞のなかでエネルギーをつくり出しているミトコンドリアで使われており、エネルギー源であるブドウ糖をうまく燃やせない人の新陳代謝を高める効果があると考えられています。こうした特徴から、体重を減らすために有効ではと想定されています。
このたび米国オレゴン州立大学などの研究グループは、リポ酸が体重減少にどのような効果をもたらしてくれるのかを検証しています。BMIが25以上で、中性脂肪が100mg/dL以上に上昇している男女を対象として、毎日リポ酸を600mg服用するグループと、プラセボ(偽の薬)を服用するグループの2グループにランダムに分けて、24週間にわたって摂取を続けてもらったのです。そのうえで、体重にどのような変化が見られるのかを比較しました。
体重を減らす効果を確認
ここから判明したのが、リポ酸をとったグループのほうがプラセボのグループよりも体重が減ることです。具体的にはリポ酸をとるグループはプラセボのグループよりもBMIを0.8減らす効果が確認されました。
そのうえで、内訳を見ると、リポ酸をとったグループのなかでも女性及び過度な肥満の人で顕著な体重の減少効果が見られることがわかりました。女性では体重が5.0%減り、BMIが35以上の過度な肥満の人の場合は4.8%の減少でした。体脂肪もそれぞれ9.4%、8.6%減少。リポ酸は中性脂肪を減らす効果は見られませんでしたが、体重を減らす効果が認められると考えられたのです。
リポ酸は抗酸化物質としても知られ、血液中の細胞の抗酸化物質を増やす変化が確認されるなど、健康につながる変化も認められました。リポ酸の摂取が心臓や糖尿病といった病気に進行するのを防いでくれる可能性もあると研究グループは指摘しています。
リポ酸はサプリメントとして摂取できるほか、自然の食品では幅広い食品に含まれていると考えられており、ほうれん草やブロッコリー、トマト、豆、芽キャベツなどを食べることによってとり入れられることができると考えられています。ダイエットなどの際に参考にしてもよいかもしれません。
<参考文献>
リポ酸(日本微量栄養素情報センター)
https://lpi.oregonstate.edu/jp/mic/%E9%A3%9F%E4%BA%8B%E6%80%A7%E5%9B%A0%E5%AD%90/%E3%83%AA%E3%83%9D%E9%85%B8
Lipoic acid supplements help some obese but otherwise healthy people lose weight
https://today.oregonstate.edu/news/lipoic-acid-supplements-help-some-obese-otherwise-healthy-people-lose-weight
Gerd Bobe, Alexander J Michels, Wei-Jian Zhang, Jonathan Q Purnell, Clive Woffendin, Cliff Pereira, Joseph A Vita, Nicholas O Thomas, Maret G Traber, Balz Frei, Tory M Hagen. A Randomized Controlled Trial of Long-Term (R)-α-Lipoic Acid Supplementation Promotes Weight Loss in Overweight or Obese Adults without Altering Baseline Elevated Plasma Triglyceride Concentrations. The Journal of Nutrition, 2020; DOI: 10.1093/jn/nxaa203
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32692358/