空腹の時間をつくる「プチ断食」の健康効果に注目が集まっています。ものを食べない時間が10時間を超えると脂肪が燃焼し始め、12時間を超えると「オートファジー機能」が発動し、アンチエイジング効果がプラス。16時間になると、古くなった細胞を内側から新しく生まれ変わらせるその機能がしっかり稼働するそう! とはいえ、ガマンはツライ…。『「空腹」こそ最強のクスリ』(アスコム)の著者であり、糖尿病などを専門とする医学博士・青木厚先生に、ムリやガマンをしない空腹時間の作り方について伺いました。
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“プチ断食”はガマンせず、習慣の一部にするつもりで
「最後にものを食べてから10時間以上たって、体内に食べものでとり入れた糖質がすっかりなくなると、中性脂肪を分解して使う“ケトン体代謝”となります。この代謝の切り替わりを“メタボリックスイッチ”といいますが、プチ断食は、メタボリックスイッチを発動させ、ブドウ糖代謝からケトン体代謝に切り替わるため、脂肪が分解されやすくなり、減量効果が期待できます。
さらに空腹の時間が12時間以上になると、古くなった細胞を内側から新しく生まれ変わらせるオートファジーという仕組みが働き始めます。この機能では、アンチエイジング効果や免疫力を高めるという健康効果も期待できます。
オートファジー機能がしっかりと働くのは空腹時間が16時間に達する頃ですから、できれば16時間のプチ断食を目標にしたいところです。けれども、始めは、10~12時間の空腹時間を作るところから始めるのがよいでしょう。
12時間の空腹時間をつくるというと、大変そうな気もしますが、睡眠時間を組み込めばラクに実践できます。たとえば、8時間睡眠の人であれば、睡眠の前後2時間を食べない時間にすればよいのです。やり方としては、朝食を抜くというイメージです。プチ断食中でも、ヨーグルトやチーズ、生野菜、ナッツ、血糖値が上がらないものなら、食べてもOKです」
プチ断食を行ううえで大切なのは、「目標体重や期間を決めないこと」と青木先生はアドバイスします。
「ムリやガマンはだめです。つらいと感じたら、どこかにムリがあるのです。継続は力なりで、プチ断食は、続けることが大切。夜に会食がある日や、旅先の旅館でおいしい朝ご飯が出たときは、空腹時間にこだわらず、食べてもかまいません。できる日にやればいい、という軽い気持ちでトライしてください」
平日は、空腹が気になって仕事に集中できない、という人は、週末に1日だけ行うという方法でもOKです。
「毎日、続けたほうが効果は大きいですが、1日でも空腹の時間を作れば、それだけ脂肪も分解され、オートファジーも働きます。週末にたまった脂肪と疲れをリセットするという感覚でとり入れてもいいでしょう」
睡眠時間を組み込んで12~16時間の空腹時間を
10時間のプチ断食でも、ある程度の減量効果は期待できますが、オートファジー機能が発動する12時間のプチ断食から始めるほうが「夜8時から朝8時まで食べない」など、時間の管理もしやすいのでおすすめです。もちろん、10時間のプチ断食から16時感のプチ断食へと、徐々に空腹時間を延ばしていただいてもかまいません。
ここでは12時間のプチ断食の例と、オートファジーがしっかり働く16時間のプチ断食の例を紹介します。オフィスワーカー、学生、主婦など、主に日中に活動している人が始めやすいタイムスケジュールです。
〈空腹時間の設定の仕方(例)〉
【12時間のプチ断食(前日20時~翌朝8時)の場合】
起床時間:7時
朝食:8時
※好きなものを食べてOK
昼食:12時
※好きなものを食べてOK
夕食:19時
※好きなものを食べてOK
就寝:24時
【16時間のプチ断食(前日20時~翌昼12時)の場合】
起床時間:7時
朝食:なし
※何も食べずに出社するのがつらいときは、ヨーグルトやナッツを朝食代わりに食べましょう。
昼食:12時
※好きなものを食べてOK
夕食:19時
※好きなものを食べてOK
就寝:24時
空腹時間の間は、飲みものはできるだけノンカロリーのお茶などがおすすめ。ただ、お酒を飲む場合は、糖質が入っていないウイスキーなど蒸留酒がおすすめです。
シフト勤務で夜勤がある人は、睡眠時間(8時間)+前後4時間というルールで実行します。
体調が悪いときはやめるなど、プチ断食はムリのないように行っていきましょう。
取材・文:海老根祐子 イラスト:クロカワユカリ
参考書籍
『「空腹」こそ最強のクスリ』