太らないためにはダイエット。でも、なかなか大変、という人に朗報になるかもしれません。海外研究によると、必須ミネラルのひとつ「セレン」をふだんの食事に加えると、肥満を防ぐなどのメリットがありそうという結果が出たのです。報告されている効果のほどは?
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セレンの効果とは?
セレンは必ず摂取する必要があるミネラルであることが知られています。意識して摂取することは少ないかもしれませんが、豚レバーや魚、卵などさまざまな食品に含まれています。知らず知らずのうちに摂取できているミネラルのひとつでしょう。セレンは脂肪の燃焼などとも関係。ダイエットにもつながるミネラルではないかと考えられています。
そこで、このたび米国の研究グループが、セレンの摂取による、体重の減少効果を検証しました。動物実験において、高脂肪のエサをとった場合に、セレンの摂取によって体重の増加が抑えられるのかを調べたのです。ホルモンの変化なども確認しました。
脂肪の蓄積を防ぐ効果を確認
こうしてわかったのは、セレンの摂取によって、脂肪の蓄積と肥満が見られなくなったということです。血液を分析した結果から、脂肪の蓄積に関係する「IGF-1」というホルモンが大きく減ることを確認。食欲をうながすなどの効果をもつホルモンである「レプチン」の量も減っていることもわかりました。こうした観察から、セレンによって肥満になりづらくなると研究グループは推測しています。
メカニズムについては完全にはわかりませんが、研究グループが注目しているのが、IGF-1の低下です。
今回の実験では、最近、研究が進んでいる「メチオニン制限」の効果についても調べています。あまり聞き慣れないかもしれませんが、必須アミノ酸のひとつ「メチオニン」の摂取量を減らすもので、ダイエット効果などが研究されています。ビーガン食などの方法によりメチオニンを制限できると考えられています。
今回の研究では、セレンの摂取とメチオニン制限との間に共通してIGF-1への効果が見られました。長期的には、加齢による病気を防ぐような効果もあるかもしれないと研究グループは説明しています。メチオニン制限とともにセレンへの関心が高まってくるかもしれません。
Plummer JD, Postnikoff SD, Tyler JK, Johnson JE. Selenium supplementation inhibits IGF-1 signaling and confers methionine restriction-like healthspan benefits to mice. Elife. 2021 Mar 30;10:e62483. doi: 10.7554/eLife.62483. PMID: 33783357; PMCID: PMC8009673.
https://elifesciences.org/articles/62483
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33783357/