やせるためのダイエットプログラムで重要になるのが食事の記録。最近では便利なスマホアプリもあるとはいえ、すべての飲食物を記録し続けるのはなかなか大変です。でもこのたび海外研究で、毎日完璧に記録しなくても、健康的な減量に成功できそうという報告がありました。スマホアプリに記録すればよい頻度とは?
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ポイント制のプログラムで調査
ダイエットプログラムの要でありながら、続かない原因にもなっている毎日の食事記録。実際にやってみるとわかりますが、外食をしたり、食事を抜いたり、食事の習慣はさまざまな要因に影響されます。毎度、食事内容を入力するのは思いのほか大変です。
今回、米国の研究グループは、米国の企業『WeightWatchers(WW)』社と手を組んで、もっと面倒ではない方法がないかと調べてみました。同社は、食べたり飲んだりしたものに点数をつけるという新しいデジタルプログラムを採用しています。これでユーザーの負担を軽くしようとしているのです。カロリー計算の手間を減らすために、初めからゼロポイントの飲食物もあります。
研究グループは、このプログラムに参加した153人を6か月追跡。そのデータを分析して、食事記録をどのように続けたかに応じて体重の減り具合に違いがあるかどうかを調べました。そのうえで、現実的に意味のあるレベルの減量を達成するためには、どの程度の食事記録を行えばよいかを分析しました。
記録は完璧でなくてよい
こうして研究で確認されたのが、減量に成功するためには、毎日完璧に飲食物を記録する必要はないということです。今回の研究では、6か月間で体重を少なくとも3%減らすには全日数のおよそ30%、5%以上減らすには40%、10%以上減らすには70%近くの日数だけ食事を記録すればよいとわかりました。
研究グループによると、6か月のダイエットプログラムでは通常、5〜10%の減量で血圧や血液中の脂質によい影響が見られ、週におよそ0.5〜1kgという健康的なペースの減量でこれが達成できるそう。そのため、有望な結果であり、ときどき食事を記録し損なっても、望ましい減量が達成できると指摘しています。
また、食事記録の頻度の推移も調べたところ、高/中/低頻度の3パターンが明らかになりました。高頻度パターンの人は、6か月間ずっとほぼ毎日記録を続け、平均して10%減量していました。多くの人で見られた中頻度パターンでは、初めは定期的に記録していたものの、しだいに少なくなって4か月目には週に1日くらいになりましたが、それでも5%減量しました。低頻度パターンの人は、初めから週に3日くらいで、3か月目以降はまったく記録しなくなり、平均して2%の減量でした。
こういった記録頻度の推移のデータは、将来のダイエットプログラムを個人に合わせてさらに改善するために利用できると研究グループは説明。デジタルプログラムで収集されたデータを活かして、さらに効果的なプログラムが開発される可能性もあるようです。
<参考文献>
Diet Tracking: How Much is Enough to Lose Weight?
https://today.uconn.edu/2023/06/diet-tracking-how-much-is-enough-to-lose-weight/
Xu R, Bannor R, Cardel MI, Foster GD, Pagoto S. How much food tracking during a digital weight-management program is enough to produce clinically significant weight loss? Obesity (Silver Spring). 2023 Jul;31(7):1779-1786. doi: 10.1002/oby.23795. Epub 2023 Jun 4. PMID: 37271576.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/oby.23795