炭水化物をあまりとらないようにするローカーボ食は、その効果などに賛否両論あるものの、減量や代謝の改善を目指す人たちの間で一定の支持は受けているようです。そんななか、最近の海外研究では、ローカーボダイエットでは単に炭水化物を減らすだけではなく、食事の中身に注意することで新しい可能性が開けると報告されています。主役を全粒穀物や野菜にするのがカギといえそうです。
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食事の内容も考える
美容と健康に気を遣う女性にとって、ローカーボダイエットの効果は関心の高いトピックスのひとつ。この食事法については多くの研究結果が行われてきました。たとえば、よい面として炭水化物の摂取を摂取エネルギー全体の5〜10%に制限すると、短期間での減量効果が得られることが報告されています。ただし、炭水化物を極端に制限する食事は長続きしないのも事実で、長期的な体重管理における効果はまだ明確ではありません。
加えて、最近の食に関する研究では、炭水化物を含む栄養素を単純に増減するだけではなく、食事を構成する食品の種類が重要という認識が強まっています。炭水化物についていえば、全粒穀物や野菜、果物は健康にとって有益とされる一方、精製されたでんぷん類、加糖飲料などはマイナスの影響があるのではと見なされるようになっています。
そこで今回、ハーバード大学など米国の研究グループは、ローカーボに食事の質を加味して、長期的な体重の変化との関連性を調べてみました。医療従事者のライフスタイルや身体測定を含む詳細な情報を定期的に集める米国の大規模な追跡研究3件から、20年以上にわたる健康な成人12万人以上のデータを使い、4年ごとの食事と体重の変化を見たのです。
食事内容については、「全体的な炭水化物摂取量のレベル」に加えて、さらに「動物性のたんぱく質や脂質が多い」「植物性のたんぱく質や脂質が多い」「健康的(植物性のたんぱく質やヘルシーな脂肪が多く、精製された炭水化物が少ない)」「不健康(動物性のたんぱく質や不健康な脂肪と炭水化物が多い)」の4つの要素を考慮しました。これらのカテゴリーに基づき、ライフスタイルなどの要素も考慮したうえで体重との関連性を分析しました。
植物性のたんぱく質や脂質が好ましい
こうして研究で明らかになったのが、植物由来の高品質なたんぱく質や脂質、全粒穀物の炭水化物が多いローカーボ食では長期的な体重増加が少ないことです。対照的に、動物性のたんぱく質や脂質、精製された炭水化物が多いと、ローカーボであっても体重が速く増えることもわかりました。
この関連性は若い人(55歳未満)、過体重または太った人、あまり活動的ではない人で顕著でした。
全体的に単純に炭水化物をとる量が少ないというだけでは、体重のコントロールは難しい可能性があるというわけです。重要なのは、植物性の食品が豊富な「健康的」とされるローカーボ食を続けること。
今回の結果を踏まて、長期的な体重管理には、同じローカーボでも食事の質が重要と研究グループは指摘。炭水化物を減らすだけでなく、全粒穀物や野菜や果物、低脂肪の乳製品といった食品に重点を置いた食生活が大切だとしています。
<参考文献>
Liu B, Hu Y, Rai SK, Wang M, Hu FB, Sun Q. Low-Carbohydrate Diet Macronutrient Quality and Weight Change. JAMA Netw Open. 2023 Dec 1;6(12):e2349552. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2023.49552. PMID: 38150249; PMCID: PMC10753393.
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2813286
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https://news.harvard.edu/gazette/story/2024/01/looking-for-the-best-low-carb-diet-plant-based-wins-again/