ダイエットの道は誘惑の連続。始めても、つい禁断のスイーツに手を伸ばしてしまうといった脱線もよくあること。そんな小さな「つまずき」のときは罪悪感にさいなまれがちです。しかし、最新の海外研究によると、くじけずにダイエットを成功させるには、失敗した自分を責めるのではなく、愛情をもって自分にやさしくすることが大切なのだそう。どういうことでしょうか。
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自分への思いやりがカギ?
ダイエットの旅は決して平坦ではありません。誘惑は至るところに。最悪の場合、目指していた目標から大きく遠ざかってしまうこともあります。失敗や中断の挫折を経験するとやる気が低下して、減量自体をあきらめてしまう人もいます。しかし、最近の研究によると、こんな失敗にうまく対処できれば、ダイエットの成功につながる可能性はアップするようです。
今回、米国ドレクセル大学の研究グループは、「自分への思いやり」(英語で「self-compassion=セルフコンパッション」)―思いやりや慈しみをもって自分に接すること―という自分との関わり方に着目。自分自身をどうとらえるかが、ダイエットにどのように影響するかを確かめています。
これまでの研究では、この自分への思いやりがダイエットの成功につながるカギである可能性が指摘されています。というのも、思いやりをもって失敗に対応することで、自分の欠点を受け入れ「誰にでも失敗はある」と理解できるようになるからです。そのうえで、自分をよくしようという意思が強くなり、マイナスの感情や失敗をくよくよ悩むことが減るという研究結果が出ているのです。
今回の研究では、生活習慣改善による減量プログラムの参加者140人(90%近くが女性)を対象に調査を行いました。7日間にわたり1日数回、スマートフォンを通じて日常生活に関するデータを収集。ダイエットや運動の様子や継続状況、失敗を経験したか、また失敗に対してどれくらい自分に思いやりをもって対応したか、その後の気持ちなどの情報を集めて分析しています。
やさしくするほうが目標の達成につながる
こうして研究で確認されたのが、失敗に対して自分を思いやるようにすることで、失敗後の気分を改善させ、ダイエットや運動をより早く再開できるようになるということです。
自分への思いやり―セルフコンパッション―には、いくつかの要素がありますが、特に「自分をいたわってやさしくすること」が重要でした。失敗によってやる気がなくなるのを防いで、減量という困難な目標に向かって前進する助けになるようです。
自分にやさしくすることはマイナスにもなりそうですが、研究グループは「そうではない」と指摘。自己満足につながり、不十分なレベルで妥協するということはありませんでした。研究結果によると、こうしたネガティブな影響は見られず、失敗に打ち負かされることなく、その人の基準や目標を保てるようになっていたことが示されました。
さらに、減量やダイエットに失敗すると、意志が弱いと自分を責めてしまいそうですが、「現実的には誰もが失敗しやすい環境にある」といいます。そこで、研究グループが提案しているのは、環境のせいにすること。ダイエット中の失敗を乗り越えるには、「意志が弱い」と思うのではなく、「減量が困難な世界でベストを尽くそうとしている」と考えることが重要とのこと。
自分を批判するのではなく、友人や愛する人に話すように、自分に愛情をもってやさしく話しかけてみる。そんな発想転換が必要なのかもしれません。
<参考文献>
Can Practicing Self-Compassion Help People Achieve Weight Loss Goals?
https://drexel.edu/news/archive/2024/January/Can-Practicing-Self-Compassion-Help-People-Achieve-Weight-Loss-Goals
Hagerman CJ, Ehmann MM, Taylor LC, Forman EM. The role of self-compassion and its individual components in adaptive responses to dietary lapses. Appetite. 2023 Nov 1;190:107009. doi: 10.1016/j.appet.2023.107009. Epub 2023 Aug 22. PMID: 37619622; PMCID: PMC10543633.
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0195666323024716