昔から「体にいい」と考えられてきたお酢。発酵食品として世界中で利用され、穀物や果物などの原材料や製法によって多くの種類がありますが、このたび海外研究から、りんご酢が肥満の解消に有効だという報告がありました。毎日少量を飲み続けると、体重やBMI、体脂肪が減るだけでなく、血糖値や中性脂肪、コレステロール値が改善するそうなのです。
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肥満をどう改善する?
肥満は糖尿病、心臓や血管の病気といった慢性疾患へのリスクファクターとなっており、全世界で共通の健康課題です。日本の「国民健康・栄養調査」によると、日本では男性のおよそ3割、女性のおよそ2割がBMI25以上で肥満傾向にあります。そのようななか、体重管理の助けとして注目されているのがアップルサイダービネガー、つまり「りんご酢」なのだそう。いくつかの小規模な研究では、体重や体脂肪の減少につながるという結果も出ています。
そこで今回、18歳以上の女性のおよそ40%、男性の30%が肥満だというレバノンの研究グループは、初めて自国民を対象としてりんご酢の効果を調べてみました。BMI27〜34で慢性疾患がなく、医薬品を使用していない12〜25歳の120人(平均およそ18歳、全員が非喫煙者で飲酒もなし)を4グループに分け、それぞれに5、10、15mlのりんご酢を加えた水250ml、または乳酸を加えた水を12週間、朝の空腹時に飲んでもらいました。
その間はいつもの食事を続け、食事と運動の内容も記録。研究開始時と4、8、12週目に身体測定と血液検査を行ない、それぞれの結果を比較しました。
飲む量と期間も影響?
この研究により明らかになったのは、りんご酢を定期的に摂取したグループにおいて、体重やBMIの減少、血糖値やコレステロール値の改善が見られたことです。
具体的には、体重とBMIはりんご酢が多いグループでより多く減り、5mlのりんご酢を飲んでいたグループでは平均5kg、15mlのグループでは平均7kgの減量となりました。胴まわりと腰まわりのサイズ、体脂肪も減少し、12週目でもっとも多く減少。血糖値、中性脂肪、総コレステロール値については、りんご酢を飲んだ全グループで減少しましたが、15mlを飲んでいたグループの場合で、12週目にもっとも多くの減少が見られました。一方、りんご酢を飲まなかったグループでは、こういった変化はありませんでした。
ただ、今回の研究は参加者の年齢が若かったため、まだ成長過程にあることが結果に影響した可能性や、摂取カロリーや栄養素による影響が統計的に考慮されていない点を指摘する声が専門家から上がっているようです。
研究グループも、りんご酢には肥満や代謝異常を改善する可能性があるとしながらも、より大規模な長期間の研究で確認する必要も指摘しています。また、長い間には酸が歯のエナメル質を溶かす問題もあるため、口腔内の健康を守り、より飲みやすくするためにも、りんご酢の酸性を中和した場合の効果を調べてはどうかと提案しています。
りんご酢の効果についてはさらに調べるべき点もあるようですが、一般に販売されている食品でもあるので、ふだんの食事にとり入れてみてよいのかもしれません。
<参考文献>
Can apple cider vinegar aid weight loss?
https://www1.racgp.org.au/newsgp/clinical/can-apple-cider-vinegar-aid-weight-loss
Abou-Khalil R, Andary J, El-Hayek EApple cider vinegar for weight management in Lebanese adolescents and young adults with overweight and obesity: a randomised, double-blind, placebo-controlled studyBMJ Nutrition, Prevention & Health 2024;e000823. doi: 10.1136/bmjnph-2023-000823
https://nutrition.bmj.com/content/early/2024/01/18/bmjnph-2023-000823
令和元年「国民健康・栄養調査」の結果
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14156.html