ダイエットは続けるのが難しいので、なるべく簡単な方法で体重を減らしたい…。「体重を測るだけでやせる」という話を聞くこともありますが、本当なのでしょうか。海外から、まさに毎日体重を計ることで体重を減らせるかを調べた研究が報告されました。ポイントは、自分のありのままの状態を可視化することにあるようです。
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体重はゆっくりと増える
そもそも太っているというのは、医学的には体重と身長から計算されるBMIの値から判定されています。BMIが25以上だと太りすぎ、30以上だと肥満症。厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、日本では男性の3人に1人、女性の5人に1人が太りすぎ、または肥満です。
これは米国ではもっと深刻。米国での同じような調査である「国民健康栄養調査(NHANES)」のデータでは、3人に2人は太りすぎまたは肥満症で、今後はさらに増えると予想されています。一般的に体重は1年間で0.4〜1 kg増えていき、長い期間をかけて肥満への道を歩んでいくのです。
毎年の体重の増加が起こるのは主に年末年始だそう。これは日本でも米国でも一緒で、ホリデーシーズンの食べ過ぎの結果です。
今回、米国ジョージア大学の研究グループは、毎日の体重測定と測った体重が自動的にグラフになる方法を組み合わせることで、体重増加を防ぐことができるかを調べました。
研究グループは111人を「体重測定するグループ」と「体重測定しないグループ」に分けて、身長や体重、血圧などが年末年始の前後、年明けから14週後にわたってどのように変化していくかを分析しています。
「体重測定するグループ」は、年末年始中には毎日体重を測定して、体重キープに努めるように求められます。体重を保つための手段はお任せです。
年末年始の体重増加をみごとに予防
こうしてわかったのは、体重測定しないグループだけが、年末年始の間に体重が平均2.5 kg増えてしまうということ。逆に、体重測定したグループは、BMIが25を超える人だけではあるものの、むしろ体重を平均1.5 kg減らすことができました。
年明けから14週間後、体重測定しなかったグループは、少しは体重を戻せたものの、結局は平均1.5 kgの体重増加のままとなっていました。年末年始に体重を測ることで、普段の生活に気をつけるなどした成果が現れるという結果です。
研究グループによると、人は目標にしたい体重との違いが目で見えるようになることで行動を変えられるようになるとのこと。こんな研究も参考に、早速毎日体重を測って、こまめに数字をグラフにつけてみるのもよいかもしれません。
<参考文献>
平成29年「国民健康・栄養調査」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177189_00001.html
Obesity (Silver Spring). 2019 Jun;27(6):908-916. doi: 10.1002/oby.22454.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31119881