新年、そして寒い冬を彩る伝統的な食べ物といえばお餅。オーブントースターやレンジであたためるだけで、さっと簡単に食べられる切り餅は、忙しい朝の食事にもピッタリです。しかし、お正月太り、というイメージも手伝って、どうしても頭をよぎるのは「太るのではないか?」という素朴な疑問。実はそれは勘違い。お餅は意外と低カロリーなんです。そこで、管理栄養士の安中千絵先生に、お餅をダイエットの味方にするポイントをお聞きしました。
Contents 目次
<食べ方ポイントその1>きちんと食べる量を決めてから
市販されている標準的な切り餅1個は約120kcalなのに対して、ご飯1膳は252kcal。じつは意外にカロリーが低いお餅ですが、その食べ方が「お餅太り」につながるようです。
「お餅はあっという間に2個、3個と食べられてしまうため、注意が必要です。お餅の原料である“もち米”は、ふだん食べている白米よりもアミロペクチンという糖が多く含まれており、消化されやすいという特徴があります。消化されやすいということは、お腹にたまりにくいということ。“お餅は腹持ちがいい”という認識は、ついついたくさん食べてしまうために生まれたものだと思います」(安中先生)
手軽さとおいしさで、つい「もう1個」と手を伸ばしてしまいがちですが、はじめから「2個しか食べない」などと、きちんと食べる量を決めるようにするのがポイントというわけですね。
<食べ方ポイントその2>食物繊維やたんぱく質と一緒に食べる
「お餅は糖質を非常に多く含むため、血糖値を上げやすい食品なのです」(安中先生)
糖質が消化・吸収されて血液中に送り出されることで生まれる血糖は、体を動かすエネルギー源となります。一方で、血糖が増えるのにしたがい、すい臓からインスリンというホルモンが追加で分泌されます。このインスリンには、余った糖質を脂肪としてためこもうとする厄介な働きが。そのため、血糖値の上昇を引き起こす食べ方をすると肥満や生活習慣病の原因となってしまうのです。
「血糖値の上昇を防ぐには、お餅と一緒にたんぱく質や脂質、食物繊維を食べるようにしましょう。脂肪をつきにくくするだけでなく、食べ物を消化、吸収するのに必要なほかの栄養素をとることができます。その点、野菜やお肉がたっぷり入ったお雑煮はおすすめですよ」(安中先生)
スープも一緒に飲むことで満足感が生まれやすいお雑煮は、確かにダイエットの味方になってくれそうですね。ほかにも納豆とからめた「納豆餅」や、チーズと海苔を一緒に巻いて食べる「チーズ海苔餅」などがオススメです。
<食べ方ポイントその3>食べ順は食事の最後
主食として食べることの多いお餅ですが、食事のはじめから口にするのはNG。
「先にも述べましたが、お餅は血糖値を上げやすい食品です。血糖値の上昇は、糖質よりも先に食物繊維やたんぱく質、油脂などをお腹に入れておくことでゆるやかにできます。そのため、お餅はほかのおかずなどを食べた後、食事の最後に食べるようにしましょう」(安中先生)
また、お餅の糖質に加えて砂糖の糖分も加わるお汁粉や、餅単体をそのまま食べることになる磯部焼きなども血糖値が上がりやすいメニュー。ダイエット中の人は避けたほうがいいといえるでしょう。
ダイエット中も安心のレシピ「具だくさんの餅巾着」
少ないお餅の量で満足感も得られ、血糖値も上がりにくくなる、安中先生オススメレシピは以下になります。
材料(1人分)
- 油揚げ…1/2枚
- 切り餅…1/4個
- スライスチーズ…1/4枚
- キャベツ…10g
- 出汁…150cc
つくり方
- 油揚げを1/2、切り餅を1/4、スライスチーズを1/4に切る。
- キャベツを千切りにする。
- 油揚げを開き、切り餅、スライスチーズ、キャベツの千切りを入れ、つまようじなどで口を閉じる。
- (3)を出汁汁とともに鍋に入れ、中火で餅がやわらかくなるまで煮る。
キャベツの代わりにキノコやモヤシを入れてもOK。
食べ方のポイントに気をつければ、ダイエット中だから、とお餅をガマンしなくても大丈夫。日本の伝統食でもあるお餅を気軽に楽しみましょう!
文/本間美加子