さまざまな種類が存在するダイエット・サプリメント。その中で「燃焼系サプリメント」を飲んでいる人も多いと思います。ところで、この「燃焼」について、みなさんはしっかり理解しているでしょうか。「脂肪を燃焼させる」とは、どういう作用? よくわからないまま、なんとなく摂取しているのでは? そこで、コンディショニング・トレーナーの桑原弘樹先生に、脂肪燃焼のメカニズムから燃焼系サプリメントの選び方まで、詳しくうかがいました。
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脂肪燃焼のプロセスには3つのハードルが
「体の脂肪を燃焼させるまでの過程には、3つの大きなハードルがあるんです」と桑原先生。
ひとつめのハードルは「分解」。体内の脂肪はまず脂肪酸という物質に分解されます。
2つめのハードルは「運搬」。分解によってできた脂肪酸はさらにさまざまな物質に変化し、細胞の中のクエン酸回路という場所まで運ばれます。
3つめのハードルが「燃焼」です。クエン酸回路というのはいうなれば体のエネルギー生産工場。この回路内で、脂肪から変化を遂げて運搬されてきた物質が最終的にエネルギーに変わって燃焼されます。
この3つのハードルをクリアしなければ、脂肪の量を減らすことはできないのです。
「分解」「運搬」「燃焼」のハードルに影響するものは何?
この「分解」「運搬」「燃焼」という3つのハードルの高さは個人差があり、それぞれの能力が高い人、低い人がいます。それは何が影響するのでしょうか?
「“分解”が影響を受けるのは、ライフスタイル。例えばふだんデスクワークが多い人は、残念ながら脂肪の分解がうまく進みません。ですから、通勤時にはなるべく階段を使うとか、家事を積極的に行うとか、自分のできる範囲で体を動かす努力が大切です。
そして、「運搬」には、年齢が大きく影響します。「運搬」を担う成分にカルニチンというアミノ酸がありますが、このカルニチンを合成する力が30代半ばを過ぎると低下するためです。
「燃焼」はトレーニングの内容が関係します。ウォーキングなど、有酸素系のトレーニングを中心に行う人は燃焼能力が高く、無酸素運動が多い人はそれほど高くありません。
燃焼系サプリメントは、この3つのプロセスとの関係を理解したうえで活用すると、脂肪の燃焼効率をより高めることができるんです」(桑原先生)
燃焼系サプリメントを上手に選ぶには
では、「分解」「運搬」「燃焼」それぞれに、どんな成分が有効なのでしょう。
「分解」に効果的だと言われているのはカフェイン。カフェインは眠気覚ましの効果が知られていますが、これはカフェインがアドレナリンなどの覚醒系の脳内物質の分泌を促すから。じつはアドレナリンは交感神経を刺激して脂肪分解も促進する作用があるのです。ほかには、コレウスというハーブも脂肪分解に効果があるとされています。
前述しましたが、「運搬」を担う成分は、カルニチンというアミノ酸。カルニチンは体内ではリジンとメチオニンという必須アミノ酸から合成されるので、肉や魚や卵などの良質なたんぱく質をとることが大切です。ただし加齢とともに運搬能力が衰えている年代の人は、カルニチンがメインのサプリメントも販売されていますので、試してみるといいでしょう。
「燃焼」と関係する成分は、HCA(ハイドロキシクエン酸。ガルシニアとも呼ばれます)です。HCAはクエン酸回路のエネルギー生産力を長く持続させる効果が期待できます。ちなみに、カフェインとHCAはとても相性がよく、両方配合したサプリメントもあります。
「燃焼系サプリメントとひとくちに言っても、いろいろな種類がありますが、配合されている成分が、3つのプロセスのどれに役立つのか理解することが重要ですね。分解や運搬の機能が衰えている人が、HCAをたくさん飲んでも高い効果は得られなかったりするからです。それから注意してほしいのは、『これを飲むだけでやせる』というような宣伝を信じて、サプリメントに頼りきるのはダメだということ。仮に効果があったとしても、それは美しいやせ方ではないはずです」(桑原先生)
ライフスタイルやトレーニングをきちんと見直したうえで、やせるモチベーションを高めるための手助けのひとつとして、サプリメントを上手にとりいれていきましょう。
文/鈴木みずほ