「太っている人とやせている人の決定的な差は『味覚』にある」と話すのは、ダイエット外来でこれまで延べ10万人以上の患者を診てきた工藤孝文先生。
味覚を変えなければダイエットはザセツしやすくなります。また近年では肥満傾向にある人は第6の味覚 「脂肪味」を感じにくいということも明らかとなってきました。今回は、著書の『1日1杯飲むだけダイエット やせる出汁』から、リセットしたい脂肪味の味覚についてお伝えしていきます。
Contents 目次
第6の味覚 「脂肪味」への鈍さが太るもとに
前回は、こってり味と甘味が味覚を狂わせ、肥満になる元凶だとお伝えしました。
近年ではこのようなデータもあります。
神奈川工科大学大学院の研究では、BMI(体格指数) や体脂肪率の高い人ほど「家庭の味つけは外食と比べて濃くなる」傾向にあり、「麺類のスープ・汁を飲む量」も増える傾向にあることがわかりました。
また、体脂肪率が上がるにつれて、「ビタミンなどの多くの栄養素の摂取量」が 減って「コレステロールの高いものを好む」など、栄養バランスに偏りが生じがちだという結果も出ています。
さらに興味深いのは、体脂肪率が上昇するにつれ、「うま味の味覚感受性が低くなる傾向が見られた」という点です。肥満傾向にある人は、だしのうま味を感じにくい味覚の持ち主である可能性が高いことがわかったのです。
高脂肪食は味覚を狂わせる
さらに、最近の研究では、脂肪にも味があることがわかってきました。
「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「うま味」を基本五味といいますが、「脂肪味」が第6の味覚として認められ始めています。
脂肪味の代表的なものは、脂肪を多く含む加工肉、チョコレート菓子、ケーキ、 ドーナツ、フライドポテトなど。
中毒性の高い食べ物ばかりが並びますが、これらの高脂肪食を食べ続けていると、脂肪味を感じにくくなるという報告があります。
つまり太りやすい味覚になってしまうのです。
脂肪味に敏感な人は少量で満足できるので、脂肪の摂取量が減り太りにくく、脂肪味に鈍感な味覚になると脂肪の摂取量が増え、当然の結果として、肥満になるのです。
高脂肪食は脳の報酬系システムを活性化させるため、アルコールやタバコよりも依存性が高いといわれます。
意思の力でやめることは難しいからこそ、舌から変えていく必要があるのです。
甘いものに依存してしまう仕組み
もうひとつ、依存しやすいのが「甘いもの」です。
空腹時に甘いものを食べると幸せホルモンのセロトニンが一瞬増えます。
ところが、血糖値が急上昇し、それを下げようとするインスリンの分泌量が増えます。すると血糖値が急激に下がり、今度はその下がった血糖値を上げようとしてアドレナリンが分泌され、イライラ感が増してしまうのです。
そして、また甘いものを欲する。この負のスパイラルが続くうち、糖質を強く欲する依存体質ができあがります。
砂糖には、こってり高脂肪食と同じように中毒性があることが知られています。
「どうしても甘いものがやめられない」という方は多いですが、味覚リセットに成功した方は、「いままで食べていたものは甘すぎて食べたいと思わない」と口をそろえておっしゃいます。
安心してください。甘いものは、やめられます。
参考著書
工藤孝文著『1日1杯飲むだけダイエット やせる出汁』(アスコム)
文/庄司真紀