ダイエットのためには筋肉を増やすことが重要ですが、そのためには、筋トレとともに“育筋食”をとるのがポイントです。育筋食は糖質をオフし、たんぱく質だけ過剰にとるというのではなく、バランス食。各種指導者へのパーソナル指導を手がけるスポーツ&サイエンス主宰の坂詰真二さんは、「ダイエットにザセツしないコツのひとつは食事を『減らす』よりも先に『変える』から始めること」と話します。
今回は、坂詰さんの初の育筋食本、『筋肉がよろこぶ最高の食べ方』(宝島社)から、たんぱく質摂取の基本についてお伝えします。
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肉・魚・卵・乳製品・大豆。毎日すべてをとるのが理想
タンパク源としてアミノ酸スコアや吸収効率だけを考えるのであれば、肉でも 魚でも好きなものだけをとればいいということになります。
しかし、それぞれの食品にはたんぱく質以外の成分が含まれることを忘れてはいけません。
たとえば牛肉は鉄分や亜鉛などのミネラル、豚肉はビタミンB群などを豊富に 含んでいますが、一方で、とりすぎると悪玉コレステロールを増やす飽和脂肪酸が脂身に含まれています。
脂身を避けて赤身の肉を食べるという選択もありますが、赤身肉もまた食べすぎるとがんや糖尿病などのリスクを高めるという報告があります。
大豆の場合は日本人にとって古くからよく食べてきた食品であり、消化酵素も十分に備わっています。また、ビタミン、ミネラルのほか、食物繊維、脳の活性化が期待されるレシチンなどさまざまな栄養素が含まれています。しかし、たんぱく質量は動物性食品よりも少ないので、大豆だけで十分なタンパク質をとるためには相当な量を食べなければいけません。
ひとつの食品だけに偏りすぎないというのは、たんぱく源だけに限ったことではありません。それだけを食べていればよい、完全な食品というものは自然界に存在せず、食品にはそれぞれ健康にとってプラスとマイナスの側面があります。
日ごろから偏食をせず、複数の食品をとっていれば栄養素をバランスよくとれるだけでなく、そのような食品や栄養素のマイナス面を最小限に抑えることができるのです。
1日のたんぱく質は手ばかり法で
たんぱく質も1日に必要な量を肉、魚、卵、大豆や大豆製品、牛乳及び乳製品のすべてでとるのが理想的です。
量の目安としては「手ばかり法」を覚えておくと便利です。手のひらを器として考え、左手には肉と魚、右手には大豆製品と卵。これに乳製品を、牛乳ならコップ1杯、小分けのチーズ1個程度をプラスした量が1日分です。
ただし、筋トレもするという人はそれだけでは足りません。魚か肉を同量足しましょう。
難しく感じるかもしれませんが、朝に目玉焼きと冷奴、昼に肉料理、夜に魚料理、おやつとして乳製品というイメージです。生活に合わせてとり入れてください。
育筋食というと「鶏ささみとブロッコリー」というようなメニューを毎日食べ続けることだと想像するかもしれませんが、それは健康的で若々しい体とは程遠いものです。極端な低糖質、低脂肪かつ高タンパクなメニューでは、ダイエットのザセツのもとになりかねません。バランスのとれた育筋食によって筋肉を減らさない食事ができると、自然とベストな体型をキープできるようになります。
文/庄司真紀
参考書籍
坂詰 真二『筋肉がよろこぶ最高の食べ方』(宝島社)