食事制限をしてやせたあと、その体重をキープすることは難しいものですよね。それには理由があったのです。正しくやせるには栄養バランスが大事。
今回は、慈恵医大病院で食事指導を行う栄養士の濱 裕宣さんと赤石定典さんにやせる食材とメニューについて教えていただきます。監修書籍の『あなたが太っているのは、栄養不足のせい 慈恵医大病院栄養士の正しくヤセる食べ方』(マガジンハウス)から、お伝えしていきます。
Contents 目次
2つのやせる最強おかずとは?
それぞれの食材がもつ栄養素が互いに働き、ダイエット向きのメニューになります。
最強のやせるおかずとなるお肉を使った2皿は、「豚肉のしょうが焼き」と「鶏のさっぱり煮」。
「1つめのおかずは豚肉のしょうが焼き。ただし、スライスした玉ねぎを一緒に炒めるのが前提条件です。まず、豚肉には糖質をエネルギーに替えるビタミンB1がとても豊富。ビタミンB1が不足すれば、糖質はそのまま脂肪に変身し、蓄積されてしまうため、やせるためには必須といえます。そして玉ねぎ。玉ねぎに含まれているアリシンは、ビタミンB1の吸収率を高めることがわかっています。豚肉を玉ねぎと一緒に食べることにより、豚肉が糖質をエネルギーに替える力が格段に上がるのです。しょうがの辛み成分のジンゲロールは、加熱するとショウガオールに変化して、血行を促進。体が温まるので、基礎代謝も上がります」(濱さん)。
もうひとつは血糖値の上昇を抑える「鶏のさっぱり煮」。
「鶏の手羽元をしょうゆとお酢で煮る、さっぱりとした煮物です。お酢はやせる体づくりをサポートしてくれる調味料ナンバーワン。食後の血糖値が急上昇するのを防ぐ力があることがわかっています。また、内臓のまわりにつく内臓脂肪を減少させる働きがあります」(濱さん)。
ふだんの主食は麦ごはんが正解
慈恵医大病院で提供される病院内の昼食はすべて麦ごはんです。
現在の麦ごはんブームのパイオニア的存在。
「慈恵医大病院の麦ごはんは[麦3:白米7]の割合で炊いていますが、お茶碗1杯当たりの食物繊維はおよそ2.3g。日本人女性が不足している食物繊維の8割に相当します。大麦ほど効率的に食物繊維をとれる食材は多くありません」(濱さん)。
食べごたえもあり、腹もちのよい麦ごはん。食べ過ぎ防止にもなります。
デザートを食べるなら小麦粉が少ないティラミス
和菓子と洋菓子、ダイエット中なら断然、洋菓子がオススメです。
なぜなら、和菓子は主成分が糖質で食べると急激に血糖値が上昇します。
しかし洋菓子ならなんでもよいわけではありません。洋菓子の中でダイエットによいデザートは?
「洋菓子のなかでもオススメは、ティラミス。 マスカルポーネというチーズが主原料で、小麦粉の割合が少ないので炭水化物が控えめです。ボリュームがあって満足感を得られるわりに、じつは低カロリーのスイーツなのです」(濱さん)。
食べる量を減らさずに中身を替えるだけ。これならダイエットだと思わずに毎日、無理なく続けられそうです。外食のときなど参考にしてみてくださいね。
文/庄司真紀
参考書籍
濱 裕宣 (監修), 赤石定典 (監修)『あなたが太っているのは、栄養不足のせい 慈恵医大病院栄養士の正しくヤセる食べ方』(マガジンハウス)
【プロフィール】
濱 裕宣(写真右)
東京慈恵会医科大学附属病院栄養部課長。『慈恵大学病院のおいしい大麦レシピ』(出版文化社)など、多数の健康レシピ本に関わる。給食栄養管理と臨床栄養管理をバランスよく機能させ、患者の立場に立った食生活の向上指導にあたる。
赤石定典(写真左)
東京慈恵会医科大学附属病院栄養部係長。『慈恵大学病院のおいしい大麦レシピ』(出版文化社)など、レシピ本のプロジェクトリーダーとして、栄養食事指導によって、病態改善・治療・治癒への貢献を目指す。