ダイエットの終わりが見えないとお悩みの人も多いかもしれません。太り過ぎがなかなか治らない原因については、遺伝子や環境の問題などの観点からも研究が進んでいますが、このたび、心理的な側面に注目した研究結果が報告されました。慢性的な肥満の人は過食などの食習慣の障害が多く見られ、それは子どものころの体験から形成されている可能性が濃厚といいます。
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正常体重の人との違いを調べた
肥満の問題は「いたちごっこ」。ダイエットをしてもまた太ってしまうことはよくあること。海外の研究からは、たとえ手術や専門家のカウンセリングを通した認知行動療法といった専門的な治療で効果が出ても、元に戻ることは日常茶飯事との報告も。
根本的な解決に至らない原因について、イタリアの研究グループは、子ども時代に体に染みついた感情や考え方、行動のクセが問題と想定。正常な体重の人と太り過ぎ、または肥満と判定された人との間で、子どものころの経験にどのような違いがあるのかを調べてみました。愛情の受け方などによって感情や考え方、行動パターンがどのように形作られたのかを分析したのです。
過食で自分をなだめている?
わかったのは、太っている人には、特有のパターンがあるということでした。太っている人の場合、正常体重の人と比べて、「不十分な自己コントロール」「見捨てられた気持ち」「依存」「服従」といった感情パターン(認知心理学で「スキーマ」と呼ばれます)が強く表れたのです。傷ついた子どものように衝動的に振る舞ったり、逆につらい気持ちを自分から切り離してしまったりといった行動も多く見られました。また、むちゃ食いなどの摂食障害も多くなっていました。
特に太った人では「ストレスへの対応や衝動の抑制が難しい」という側面が明らかに現れていました。自己コントロールをうまくできない感情パターンといえるものです。過食やむちゃ食いなどの行動は、自分をなだめて感情を切り離したり自分を罰したりする役目になっているようです。
研究グループは、「このような個人の感情、心理と行動の仕組みを深く理解し、子どものころの影響を知って細やかに対処する取り組みが、長期的な効果につながるのでは」と指摘します。
なかなかダイエットがうまくいかないというときには、自分の考え方や行動のクセについて深く理解することも大切といえるかもしれません。
<参考文献>
Deeper understanding of early life experiences can help combat chronic obesity and frequent bingeing
https://www.sciencedaily.com/releases/2019/09/190917133050.htm
https://www.elsevier.com/about/press-releases/research-and-journals/deeper-understanding-of-early-life-experiences-can-help-combat-chronic-obesity-and-frequent-bingeing(同文)
Early maladaptive schemas in overweight and obesity: A schema mode model
https://www.heliyon.com/article/e02361(全文)