肉や魚から乳製品に至るまで動物性の食品をいっさい口にしないベジタリアン「ヴィーガン」は、健康面でどんなメリットがあるのでしょうか。研究が進んでいるテーマとなっているのですが、このたび米国の研究グループが、体重を減らす効果などのメリットがありそうだと発表しました。
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腸内細菌の役割に注目
今回の研究は、スペインで開かれている医学会で米国の研究グループが報告したもの。ここで注目されたのは腸内細菌の役割です。これまでの研究から、腸内細菌はダイエットなどにも密接に関係していることがはっきりしてきました。単に腸のなかに存在しているばかりではなく、体重のコントロールや新陳代謝などさまざまな体の機能に影響を与えていると明らかにされているのです。
研究グループは、ヴィーガンの生活を16週間にわたって続けたときに、腸内細菌のほか、体重や体組成などにどのような変化が起こるかを調べました。行ったのは、147人を、ヴィーガンの食事を続ける73人と、通常の食事を続ける74人に分けてその後の変化を比べるという研究です。
体重がおよそ6kg減る結果に
その結果わかったのは、ヴィーガンを続けたグループに、体重減少をはじめとした変化が見られるということでした。体重は平均5.8kg減り、これは脂肪が平均3.9kg減ったことが大きく関係しているという結果です。
腸内細菌の変化も見られ、「フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ」と呼ばれるタイプの菌が4.8%増加。また、「バクテロイデス・フラジリス」と呼ばれるタイプの菌も19.5%増えていました。こうした細菌の増加が、体重や脂肪の減少などにつながったと研究グループは解説します。
さらに、血糖値を下げるホルモン、インスリンへの感受性が高まる効果も確認されました。植物性の食品を多くとることで、食物繊維を分解する短鎖脂肪酸を作る腸内細菌が増加。この変化が、体重を減らすような効果を出すために欠かせないようでした。
研究グループによると、腸内細菌が作り出す脂肪酸によって植物のもつ炭水化物が分解されて、ブチル酸や各種の脂肪酸が作られ、体重が増えるのを防ぐために役立っているとみられるようです。
研究グループは食物繊維をたくさん食べることが大切と説明しています。ふだんから食物繊維が豊富な食生活を送ることが大切だと、こうした研究から考えることもできそうです。
<参考文献>
Short-term study suggests vegan diet can boost gut microbes related to body weight, body composition and blood sugar control
https://www.sciencedaily.com/releases/2019/09/190916185819.htm