心臓の6割、筋肉の8割、骨の3割。皮膚の6割、脳の約半分。そんな超重要ポジションを占める栄養素は何でしょう。答えは、そう、たんぱく質。私たちの体から水分を除いたとき、残る固形分の半分程度がたんぱく質だと聞けば、なるほど、「体のもと」と言われるわけだと納得がいきますね。一方で、美容・健康のキーワードとなるビタミンや食物繊維に比べ、そこまで意識して摂取されていないようにも。「たんぱく質=筋トレ」のイメージを抱く人もいるのでは? じつは実生活を送るうえで欠かせないたんぱく質の大切さと、効率のよいとり方を2回に分けてお送りします。
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食べものからとったたんぱく質が、私たちの体の材料に!
皮膚や髪の毛、筋肉はもちろんのこと、たんぱく質は骨や腸、心臓や脳など体じゅうのあらゆる部位で重要な位置を占める栄養素です。たんぱく質は20種類のアミノ酸が数百個以上つながってできています。その数や配列の違いで、種類は約10万もあるそう。
食べものから摂取したたんぱく質は、胃や腸でアミノ酸に分解されます。それが小腸で吸収され、血液によって体じゅうの細胞へと運ばれます。こうして細胞にたどり着いたアミノ酸はさまざまな組み合わせで結合されて、ヒトのたんぱく質に再合成。私たちの体の材料になるのです。
先ほどもふれたように、ヒトの体内でたんぱく質を構成するアミノ酸は20種類あります。そのうち11種類は非必須アミノ酸と呼ばれるもので、体内で合成することができます。けれども残りの9種類は必須アミノ酸と呼ばれ、体内で合成することができません。自分では作り出すことができないからこそ、食べものからたんぱく質をとって、体の材料にしていく必要があるというわけですね。
たんぱく質、1日にどのくらいとるのが理想?
では、1日にどのくらいの量のたんぱく質を食べものからとる必要があるのでしょうか。
大人の女性の1日のたんぱく質の「推奨量」は50g。これは「病気にならないギリギリの量」ということで、決して十分な量とはいえません。それでも食べものに換算すると、ゆで卵なら7.7個分、納豆なら10パック、ウインナーなら25本分、とけっこうな迫力です。
さらに追い打ちをかけるようですが、「推奨量」とは別に「目標量」というものが存在します。これは厚生労働省が設定した「生活習慣病の予防のために現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量」の中で定められた、たんぱく質の量のこと。
たんぱく質の「目標量」は、総摂取エネルギーの13~20%とされています。この計算でいくと、身体活動レベルが普通(エネルギー必要量=1日2000kcal)の30~49歳の女性が目標とすべきたんぱく質の量は「65~100g」。体を元気に保つためには、推奨量の2倍近くたんぱく質をとったほうがよいということになりますね。
たんぱく質不足で体はどうなる?
さて、たんぱく質の重要性を理解したところで、もうひとつ、ぎょっとするお話。たんぱく質が不足すると、私たちの体はどうなってしまうのでしょうか。
たとえば、こんな自覚症状があったら、たんぱく質不足に原因があるかも…
□イライラする
□集中力が低下した
□髪の毛がうねる・枝毛・切れ毛・ツヤがない
□顔のしわ・たるみ・むくみ
□血色が悪い
□姿勢が悪くなった
□疲れやすい
□太りやすくなった
□筋力が低下した
□ボディラインがくずれてきた(お腹まわり、二の腕など)
□貧血
□足のむくみ
□爪が割れたり欠けたりする・縦にすじが入る
□免疫力の低下
もちろん体の不調の原因は、ひとつだけとは限りません。ただ、たんぱく質摂取不足になると、体内でのたんぱく質は生命維持に重要な部位から使われていくので、これらの部位でのたんぱく質不足の影響が出やすくなり体の不調の原因となるそうです。また、たんぱく質が不足しているために、筋肉が「ゆるみ筋」となってお腹まわりのゆるんだお肉となったり、髪や皮膚、爪が変化し見た目の老化につながることもあるそうです。