今や肥満の原因のひとつとされ、敬遠されがちな「糖質」。フルーツも糖質が多いといわれるので、ダイエット中は控えたほうがいいか悩む人もいるかもしれませんね。糖質制限ダイエットに詳しい管理栄養士の大柳珠美先生は「フルーツも太るかどうかは食べ方しだい。じょうずにとり入れれば太る原因になることはありません」と話します。そこで、太らない食べ方のコツをおうかがいしました。
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「果糖」はエネルギー源としてとるべし!
フルーツを食べると太るの?という素朴なギモンに対して、「フルーツも糖質ですから、食べた量に比例して体脂肪になります」と答えてくれた大柳先生。ただし、「フルーツに含まれる糖質の特徴を理解して、食べるタイミングや量さえ間違えなければ太りにくい」ともいいます。
フルーツの糖質に含まれるのは、「果糖」と「ブドウ糖」、果糖とブドウ糖が結合した「ショ糖(砂糖)」の3種類で、これらがさまざまなバランスで含まれています。なかでもフルーツに多く含まれる「果糖」は、ほかの糖に比べて代謝が早く食後の血糖値が上がりにくい、という特徴があるそう。
「血糖値が上がりやすいと血液中の余分な糖が脂肪として蓄えられてしまいますが、血糖値を上げにくいフルーツは太りにくい食材といえます。フルーツの糖質は代謝も早いので、エネルギー源として使い切ってしまえば太る心配もありません。ただし使い切れないとすぐ中性脂肪にもなるので、食べ過ぎたり、夜寝る前に食べたりするのはNGです」
フルーツは「ビタミンや食物繊維たっぷり」の誤解
フルーツといえばビタミンや食物繊維が豊富なイメージがありますが、この「誤解」が食べ過ぎを招いているようです。
「たしかにフルーツにはビタミンや食物繊維が含まれていますが、その量は肉や魚、海藻類などに比べたら桁違いに少ない」と大柳先生。栄養はあくまでも肉・魚・野菜などからの摂取がオススメといいます。
「ビタミンBが豊富なのは主に肉か魚で、ビタミンAそのものは肉か魚にしか含まれません。ビタミンEがとれるのは基本的に魚か、ナッツやアボカドなどの脂質系食品。ビタミンCは比較的多くフルーツに含まれていますが、すべてにではなく、みかんやグレープフルーツといった柑橘類やキウイフルーツ、いちごなど酸味のあるもののみ。ちなみに食物繊維をとりたいなら、海藻やきのこのほうが豊富です。
フルーツは“栄養”ではなく“エネルギー”としてとらえるのが正解。とはいえ、エネルギーの過剰摂取は肥満につながりますから、栄養摂取を理由にしたフルーツの食べ過ぎにはくれぐれも注意してくださいね」
フルーツは主食やおやつ代わりと考えること
では、どれくらいの量が適切なのでしょうか。
「肥満の有無やその他の糖質摂取量などによっても異なるので、毎日どのくらいの量を食べましょう、と一概にいうことはできません。ただ糖質はふだん、基本的にごはんやパン、麺類などの主食からもとっているので、糖質の多いフルーツは食後のデザートではなく、あくまでも“主食代わりの良質なエネルギー”と考えると、とり入れやすくなると思います」
主なフルーツ100gあたりの糖質とエネルギーは下記の通り。
(日本食品標準成分表2015年版(七訂))
バナナ・・・・・・・・・・・・・・21.4g 86kcal
りんご(皮むき)・・・・・・・・・14.1g 57kcal
温州みかん・・・・・・・・・・・・11.2g 45kcal
キウイフルーツ(緑肉種)・・・・・11.0g 53kcal
ぶどう(皮なし)・・・・・・・・・15.2g 59kcal
いちご ・・・・・・・・・・・・・7.1g 34kcal
「たとえば、食欲のない朝は主食の代わりに、みずみずしいフルーツの盛り合わせなどにすると、食べやすくなります。または“良質な甘み”として、ダイエット中などは適度に甘みを楽しみたいときにもよいですよ」
糖質が多いからとやみくもに控えるのではなく「上質なエネルギー」または「上質な甘み」として、季節の旬のフルーツを上手においしく食事やおやつにとり入れたいですね。
取材・文/井上幸恵